CrossHealth / 薬局持久度レポート
8つの医療圏すべてで、高齢者はもう減りはじめている
秋田県8つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
秋田県の調剤薬局は495軒。高齢化で処方せんの需要は今後20年、県全体で-15.7%——増えるのではなく、減ります。65歳以上人口の2025→2045変化は全国47都道府県のなかで第1位に減り幅が大きく、総人口の変化も第1位です。しかも8つの医療圏はすべて、65歳以上人口が2025年にピークを打っています。増える圏はひとつもありません。圏域差は25.9ポイントですが、これは「どこが増えるか」ではなく「どこがより速く減るか」の差です。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが北秋田医療圏(-30.9%)、いちばん緩やかなのが秋田周辺医療圏(-5.0%)。8圏すべてがマイナスで、プラスの圏はありません。県庁所在市を含む秋田周辺医療圏でも-5.0%です。医療圏をクリックすると、その中の市町村差まで下りられます。
人口動態 ── 需要の源8つの医療圏すべてで、65歳以上がもう減りはじめている
秋田県全体では、総人口は88.8万→62.2万人(-30.0%)と減り、65歳以上も35.6万→30.0万人(-15.7%)と減ります。高齢化率は40.1%→48.3%へ上がりますが、これは高齢者が増えるからではなく、若い世代がそれ以上に減るからです。65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っている医療圏は8/8——全部です(薬局495軒=県内の100.0%)。市町村で見ても23/25がピーク済みで、2040年まで増えるのは秋田市と大潟村の2つだけです。既刊で最も需要が縮む県はこれまで高知県(-10.1%)でしたが、秋田県は-15.7%——公開済み41県で最も大きく縮みます。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届42件のうち、そのまま消えたのは17件でした(11ヶ月)
まず期間の話から。秋田県の廃止名簿で完全にそろうのは2025年4月〜2026年2月の11ヶ月ぶんです。厚生局の一覧表そのものは公開されているのに、2025年11月処理分だけスキャン画像のPDFで作られており、文字が取り出せずデータベースに1行も入っていませんでした。そのページを目視で確認したところ薬局が2件載っており(1件は移転・承継、1件は真の閉局)、この2件を足しています。この11ヶ月に出された廃止届は42件。うち25件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは17軒(薬局495軒の3.43%・1年に直すと3.75%)。引き継がれなかった割合は県計40.5%です。ただしこの承継25件のうち17件は、同じ日に、まとめて新しい機関コードが発番された分です(2025年6月の1回ぶん)。屋号はばらばらでも、番号が連番で振られていることから一括処理だと分かります。これを差し引くと68.0%になります。ここでひとつ、正直に書いておきます。この17件を8つの医療圏に割ると、1圏あたり0〜8件にしかなりません。しかも薬局30軒未満の医療圏が2圏(北秋田/湯沢・雄勝)あります。秋田県では、閉局・承継は県全体の数字としてだけお読みください。圏ごとの閉局率の順位づけは、この件数では意味を持ちません。
機能の届出 ── 今回は出せませんかかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、この県では算出していません
既刊の県ページでは、かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率を出しています。秋田県では出していません。届出状況のもとになる薬局機能情報提供制度(GMIS)のデータが、秋田県ぶんはほとんど取り込めていないためです。9つの届出項目のいずれかに「あり」が立っている薬局は県内495店のうち14店(2.8%)しかありません。これは秋田県の薬局が届出をしていないという意味ではなく、こちらのデータ取り込みが済んでいないという意味です。この状態で割り算をすると、実在しない低い届出率ができてしまうので、0%でもなく、割り算した値でもなく「未算出」として空欄にしています。同じ状態の県が東北にあと3つ(宮城県・岩手県・山形県)あります。取り込みが済み次第、このページに追記します。数字を埋めるより、間違った数字を出さないほうを選びました。
ランキング ── 圏域差1軒あたりはむしろ厚い。ただし、高齢化がそれを支えています
薬局1軒あたりの年間処方せんは県全体で14,584枚。全国7位/47で、厚い側です。ただしこれを「秋田は1軒が繁盛している」と読むのは早すぎます。高齢化率は40.1%で全国1位=日本でいちばん高い水準にあり、住民1人あたりの院外処方せんも8.1枚で全国3位。人口10万人あたりの薬局数は55.7軒で13位です。いっぽう人口10万人あたりの医師(医療施設従事者)は249.8人で全国30位=少ない側。院外処方率は県全体で84.8%(全国8位)と高く、北秋田医療圏にいたっては99.2%です。つまりいま1軒あたりが厚いのは、高齢者が多く、処方せんがきちんと薬局に出ているから。その高齢者が減りはじめるのが、この県のこれからです。医療圏ごとに見ると大仙・仙北の13,470枚から湯沢・雄勝の15,509枚まで1.15倍で、既刊の県と比べても圏どうしの差は小さいほうです。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。
くわしい数字8医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 秋田周辺 | 205 | 14,560 → 13,828 | -5.0% |
| 大仙・仙北 | 68 | 13,470 → 10,601 | -21.3% |
| 横手 | 53 | 15,313 → 12,183 | -20.4% |
| 大館・鹿角 | 51 | 14,510 → 11,477 | -20.9% |
| 由利本荘・にかほ | 47 | 14,944 → 12,219 | -18.2% |
| 能代・山本 | 37 | 14,627 → 10,886 | -25.6% |
| 湯沢・雄勝 | 19 | 15,509 → 11,939 | -23.0% |
| 北秋田 | 15 | 15,235 → 10,520 | -30.9% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は2025年4月〜2026年2月(11ヶ月)の集計で、移転・承継を除いています(1年ぶんではありません)。圏ごとの閉局は件数が少ないため、率の比較には使えません。機能の届出率は、この県では算出していません(GMIS未取込)。個店のランキングは作りません。
いま出していない数字供給の将来推計と、機能の届出率
このページでは2つのものを外しています。ひとつは2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿の府県で学習したもので、秋田県を対象に含みません。もうひとつは、かかりつけ・地域連携・在宅の届出率です。こちらは薬局機能情報提供制度のデータが秋田県ぶんほぼ未取込のためで、取り込みが済めばすぐに出せます。それまでは、確定している需要側の数字(将来推計人口とNDB処方せん実績)と、現在の供給の事実(薬局数・直近の閉局)だけでお伝えします。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選びました。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 秋田県(このページ・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。ただし北秋田/横手/由利本荘・にかほ医療圏は構成市町村が1〜2しかないため、比較が成立しません。
- 市町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【いま出していない数字(その1)】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類はこのページから外しています。もとにしていた統計モデルは近畿の府県で学習したもので、秋田県を対象に含みません。再学習が済み次第、戻します。
- 【★いま出していない数字(その2)=機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅患者訪問薬剤管理指導の届出率は、秋田県では算出していません。薬局機能情報提供制度(GMIS)の届出フラグ9項目のいずれかに「あり」が立っている薬局が、県内495店のうち14店(2.8%)しかないためです。これは秋田県の薬局が届出をしていないのではなく、**取り込みが済んでいない**という意味で、この分母で割ると実在しない低い率ができてしまいます。0%を出さないのと同じ理由で、**null(未算出)** にしてあります。東北では宮城・岩手・山形も同じ状態です。
- 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間7,219,159枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。
- 【NDBは院外だけを数えています】秋田県の院外処方率は84.8%(全国8位/47)で高い側です。北秋田医療圏は99.2%、最も低い能代・山本医療圏でも72.5%(全国335圏で低いほうから75番目)。院外率が高いぶん、この県の「1軒あたり」は実態に近い値になっています。
- 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【★閉局の数え方と集計期間】東北厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。**集計期間は2025年4月〜2026年2月(11ヶ月)です。1年ではありません。**廃止届は0〜2ヶ月遅れて一覧表に載る(同月12.0%・1ヶ月後までで82.0%・2ヶ月後で100%)ので、ある廃止月をもれなく数えるには3ヶ月ぶんの一覧表が要ります。秋田県では**処理月2025-11の一覧表がスキャン画像のPDFで、文字が取り出せず1行も取り込めていませんでした**。該当ページを目視で確認して薬局2件(真の閉局1・移転承継1)を復元し、これを含めて数えています(DBは読み取り専用のため書き戻していません)。復元を使わない場合は真の閉局16件・承継24件=**下限値**になります。また処理月2026-05の秋田県分は索引そのものに無く、2026年3月以降の廃止月は過少計上になるため窓に含めていません。**名簿が処理月2025-04〜2026-04ぶんしか無いため、年ごとの推移・多年の傾向はこの県では作れません。**
- 【率を他県と並べるときは年率換算で】集計期間が11ヶ月なので、真の閉局率3.43%をそのまま12ヶ月窓の他県と並べてはいけません。1年に直した値(3.75%)を使い、**換算値であることを必ず明示してください**。分子は17件で、1件動くと年率が0.22ポイント動きます。
- 【★県間の順位は出せません】同じ東北厚生局の管内で、既定窓の号が完全にそろうのは秋田県と福島県の2県だけです(青森・岩手・宮城・山形は必要な処理月が索引に無いか画像PDFで取り込めていない)。秋田県の年率3.75%は福島県の1.45%を上回りますが、残る4県は下限値なので**「東北で最も高い」とは言えません**。6県すべての号がそろう共通窓は3ヶ月しかなく、その窓では秋田県が逆に最下位に出ます(真の閉局1件)。**窓を変えると順位が反転する量の事象です。順位を主張にしないでください。**
- 【承継には一括の付け替えが混ざります】既定窓の承継25件のうち17件は、同じ日に新しい機関コードが連番でまとめて発番された分です(屋号は複数にまたがるため、他県で使ってきた「同じ日・同じ屋号」の検出では1件も拾えませんでした。秋田県では機関コードの連番で検出しています)。差し引くと「引き継がれなかった割合」は40.5%→68.0%になります。真の閉局・真の閉局率はこの調整の影響を受けません(一斉付け替えは定義上すべて承継側です)。どちらの数字を引用するかは必ず明示してください。
- 【閉局は県計でのみ読んでください】既定窓の真の閉局17件を8医療圏に割ると1圏あたり0〜8件で、廃止届が5件に満たない医療圏が5圏(北秋田・能代・山本・湯沢・雄勝・大館・鹿角・横手)、薬局30軒未満の医療圏が2圏(北秋田/湯沢・雄勝)あります。圏別の値はJSONには入れていますが、圏どうしの順位づけには使えません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内91店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(秋田県は495店すべてに市区町村コードがあり、座標による補完は0件でした)。
- 【「薬局0軒」は断定していません】秋田県でDB上の薬局が0軒なのは藤里町・井川町の2自治体です。人口規模(2,489人/4,108人)からは0軒があり得る水準ですが、薬局の名簿はGMIS(薬局機能情報提供制度)の自己申告が出所で、古い独立店が欠落しうることが分かっています。とくに秋田県はGMISの機能情報がほぼ未取込であり、GMIS由来のデータを慎重に扱う理由がある県です。実地の裏取りができるまで、断定しない側に倒しています。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。秋田県は大館・鹿角/北秋田/能代・山本/秋田周辺/由利本荘・にかほ/大仙・仙北/横手/湯沢・雄勝の8圏、25市町村です。政令指定都市が無いため、市区町村と自治体の数はズレません。
- 【徒歩アクセスは出していません】250mメッシュの人口基盤(mesh_backbone_250m)に秋田県分が0件のため、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」は算出できません。投入され次第、同じ手順で後から足せます。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
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