秋田県 › 北秋田(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
需要の縮みが、県内でいちばん深い
北秋田医療圏2市村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
北秋田医療圏は、上小阿仁村・北秋田市の2市村からなる圏域です。薬局は15軒(秋田県の3.0%)。処方せん需要は2045年までに-30.9%と、県内8医療圏で最も深く縮む推計です。薬局は15軒と県内で最も少なく、院外処方率99.2%は県内で最も高い=処方せんがほぼすべて薬局の外に出ている圏でもあります。
圏を構成するのは上小阿仁村と北秋田市の2市村だけです。上小阿仁村は薬局1軒・65歳以上人口のピークは2025年、北秋田市は薬局14軒・ピークは2025年。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)は上小阿仁村-11.1%、北秋田市+0.8%で、開きは11.9ポイントです。絶対量では2市村とも65歳以上人口が減ります(上小阿仁村-38.6%・北秋田市-30.4%)=圏内でどちらが取り分を増やすかより、圏全体が細ることのほうが大きい圏です。閉局については、この11ヶ月(2025年4月〜2026年2月)に出た廃止届は0件でした。薬局が消えなかったという事実そのものは静かな朗報ですが、廃止届が無いため「引き継がれなかった割合」は分子分母が存在せず、定義できません(率はnull)。名簿の掲載遅れにより、後から件数が立つ可能性はあります。なお、かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、秋田県ではデータの取り込みが済んでおらず算出していません(下の注記)。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)
地図 ── 地域差を見る上小阿仁村と北秋田市
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力・圏内での相対値)。この圏は2市村のみで、上小阿仁村(-11.1%)と北秋田市(+0.8%)の対比になります。圏全体では処方せん需要は-30.9%と減る推計です。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は27.4%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、北秋田医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は27.4%(県全体50.1%)、20分圏で41.8%です。徒歩10分圏の外には20,934人が住んでいます。市町村別では北秋田市の27.9%から上小阿仁村の19.0%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。冬期の積雪・通行止め・公共交通は含みません。
人口動態 ── 需要の源2市村すべてが、もうピークを過ぎている
なぜ地域で差が出るのか。もとをたどると人口の動きです。北秋田医療圏全体では、総人口は2.9万→1.7万人(-40.7%)と減り、65歳以上も1.4万→1.0万人(-30.9%)と減ります。高齢化率は47.9%→55.7%へ。65歳以上のピークは圏全体で2025年です。圏内2市村はすべて、65歳以上人口が2025年でピークを打っています。ピークがこれから来る自治体はひとつもなく、2050年になっても増え続ける自治体もありません。2045年までに65歳以上が減るのは、全自治体です。
2市村の対比 ── ランキングは作りません上小阿仁村と北秋田市
この圏は2市村のみで構成されるため、圏内ランキングは作っていません(順位が事実以上の意味を持ってしまうため)。経営体力は上小阿仁村-11.1%・北秋田市+0.8%です。
医療計画県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。
また、北秋田圏域では常勤医師が不在となっています。
秋田県医療計画 秋田県医療保健福祉計画 分割2(5疾病) PDF 19ページこのほか,無医地区等及び無歯科医地区等における受診者に係る対策については、市町村の取組として、北秋田市(岩谷地区)では乗り合いタクシー、由利本荘市(西沢、西久米、野宅、須郷・大吹川、向田・智者鶴・泡ノ渕、高村)及びにかほ市(釜ケ台)では、コミュニティバスを運行し、通院支援を実施しています.。
秋田県医療計画 秋田県医療保健福祉計画 分割3(6事業等) PDF 66ページ並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
くわしい数字2市村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 北秋田市 | 14 | 47.4% | 15,167 → 15,295 | +0.8% |
| 上小阿仁村 | 1 | 55.4% | 16,182 → 14,392 | -11.1% |
※処方せん需要は北秋田医療圏全体の実績(NDB)を自治体の高齢人口で按分した推計です。閉局は圏の合計としてのみお読みください。機能の届出率は秋田県では算出していません(GMIS未取込)。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 秋田県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 北秋田医療圏(このページ・Lv2)=2市村の対比を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)に寄りますが、軒数が少なく目安です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。北秋田医療圏にいまある15軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.17です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-40.7%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。ただしこの圏にある薬局は15軒と少なく、比率は1軒の性格に引きずられます。目安として読んでください。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。廃止届の名簿がそろっている期間が15ヶ月しかありません。この分類は2025〜26年の実績水準がこの先も続くと置いた場合の姿です。東北6県は画像PDFの廃止届が未回収で、閉局の捕捉が下限にとどまる可能性があります(統計的な下限の証拠は出ていませんが、回収の来歴から保守的に扱っています)。この県で数えられた「本当の閉局」は19件と少なく、1件の増減で率が動きます。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は94.1%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。北秋田医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は17軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 16軒=94.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 5軒=29.4%、在宅薬学総合体制加算 2軒=11.8%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 14軒=82.4%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】北秋田医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間228,522枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【NDBは院外だけを数えています】北秋田医療圏の院外処方率は99.2%で、処方せんのおよそ1%は病院・診療所の中で渡されています。この分は上の推計に入っていません。秋田県内では北秋田医療圏が最も高く(99.2%)、能代・山本医療圏が最も低い(72.5%)です。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。プラスでも、その市町村の処方せんが絶対量で増えるという意味ではありません。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(秋田県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に69.1)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【★廃止届0件=率が定義できない圏です】集計期間(2025年4月〜2026年2月(11ヶ月))に、この圏域の廃止届は0件でした。真の閉局も移転・承継も0件です。「引き継がれなかった割合」は分子分母が存在しないため定義できません(JSONではnull。0%ではありません)。件数は2026年7月時点の名簿による値で、名簿の掲載遅れにより今後件数が立つ可能性があります。**集計期間は11ヶ月で、1年ぶんではありません。****年ごとの推移はこの県では作れません。**
- 【機能の届出率】厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(8厚生局・47都道府県を同じ月の版でそろえたもの)で数え直し、掲載に切り替えました。分母は名簿に載る17軒で、地域支援・医薬品供給対応体制加算94.1%/かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定)29.4%/在宅薬学総合体制加算11.8%/電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)82.4%です。かかりつけ薬剤師と電子的調剤情報連携体制の2項目は、令和8年度改定で届出名称が変わったため代理指標を用いた推定です(本文に明記)。届出は「その体制をとると届け出た」記録で、提供実績ではありません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(秋田県は全店に市区町村コードがあり、座標による補完は0件でした)。
- 【圏そのものが小さい分母です】この圏域の薬局は15軒と30軒未満で、圏レベルの率も少数の薬局の動きで大きく振れます(small_n_area)。率の解釈は幅をもってお読みください。
- 【★徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率27.4%は、250mメッシュ推計人口(2025年・28,830人)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・冬期条件で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。公開済みの秋田周辺Lv2にはまだこの軸が無く、次回更新で8圏そろえる予定です。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。
もっとも近かったのは長崎県五島ですが、「1軒あたり面積」が基準を超えました。
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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
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