CrossHealth / 薬局アクセスレポート

歩いて行ける薬局が1軒しかない人は、県内に15万人。
その“1軒”にあたる薬局は、223軒※。

山形県 4二次医療圏・35市区町村/いま=2025年・将来=2040年/薬局は厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)/概要版・無料 数字の出どころと数え方 →

46.8%
徒歩10分では薬局に届かない人(全国で9番目に大きい)
15万人
徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人
223軒
誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局(県内の40.5%・19市区町村を除く)
39.5〜69.2%
徒歩10分では届かない人の割合の、医療圏ごとの開き

なぜ数えるのか

「ここがなくなると遠くなっちゃって困るのよ」——閉局が心配されている薬局で、患者さんから聞いた声です。米国では、薬局が閉まったあと、残された人の服薬が続かなくなることが報告されています(処方薬を切らさず手元に持っていた日数の割合が、閉局のなかった人と比べて閉局後3か月で約6ポイント低くなり、その差が12か月続いた)。私たちが確かめた範囲では、日本で薬局が閉まったときに、服薬がどれくらい続かなくなるかは、まだ調べられていません。車を使えない人にとって、歩いて行ける1軒は、便利さではなく薬を受け取り続けるための足場です。制度の上でも、健康の相談や自宅への訪問を担う薬局が位置づけられています(健康サポート薬局・地域連携薬局/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号)。どこにその1軒があるかを知っておけば、閉まる前に、別の届け方を用意できます。

文・木内翔太

いま(2025年)── 歩いて届くか徒歩10分で届かない人は46.8%。医療圏では39.5%から69.2%まで開く

県全体は全国で9番目に大きい。開きの両端は村山と最上である。

いま(2025年)── 歩いて行ける唯一の薬局誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局は、223軒(19市区町村を除く)。置賜では54.9%にあたる

徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人は15万人(住民の14.7%・全国13.8%)。その唯一の薬局は県内の薬局の40.5%にあたる(19市区町村を除く。全国は35.2%)。

この数は、徒歩10分という1つの物差しで見た場合です。どの薬局も、在宅の訪問・健康の相談・夜間や休日の対応などで、地域を支えています。

その圏の薬局のうち、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合(色は地図と同じ)。軒数は補足の表に。※印の圏は、町ごとの値を出していない市区町村(薬局が少ないなど、数字が1つの店を指してしまう町)を除いた合計で、割合の分母(その圏の薬局の数)からも除いています:村山(尾花沢市・山辺町・中山町・西川町・朝日町・大江町・大石田町)・庄内(三川町・庄内町・遊佐町)・置賜(小国町・白鷹町・飯豊町)・最上(金山町・最上町・舟形町・真室川町・大蔵村・戸沢村)。

2040年 ── 処方せん2040年の処方せんは、分業率が上がると置いても減る

県内の院外処方せんは2025年の755万枚から2040年に659万枚へ、12.6%減る(4圏すべてで減る)。院外処方率(山形79.0%・全国80.7%)が中央値81.2%まで上がる圏があると置いても、8.5%減る(4圏のうち2圏が対象)。

では、どうすればよいか薬局が10軒以上ある14市区町村のうち13で、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局が3割を超える

3割を超えるのは一部の市区町村ではなく、大半です。3割で市区町村を選び分けても、対象は絞れません。どちらの薬局名簿にも薬局が載っていない1村(住民 計3,502人)と、徒歩10分では薬局に届かない47万人(46.8%)が、計画の中で数える対象になりえます。その地域で、備える手立て(承継の相談先・自宅への訪問・オンライン服薬指導と配送)が使える状態にあるかを、確かめておくことができます。

3割を超える市区町村:高畠町 90.9%・南陽市 70.6%・村山市 60.0%・河北町 53.8%・長井市 53.3%・上山市 50.0%・東根市 48.1%・天童市 42.9%・寒河江市 40.0%・酒田市 40.0%・米沢市 40.0%・新庄市 37.5%・鶴岡市 36.1%

薬局が9軒以下の21市区町村は、1軒の増減で割合が大きく動くため、3割の数え方には入れていません。

どちらの薬局名簿(保険薬局名簿・施設基準届出受理医療機関名簿)にも薬局が載っていない村:鮭川村(1村・住民 計3,502人)

無料レポート

市区町村ごとの1枚(A4)

薬局の数と、歩いて届く範囲を、A4の1枚にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま会議やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください(35地域)。

無料・パスワード不要です。ご登録のメールに確認リンクをお送りし、そこからレポートをお読みいただけます。登録済みの方はログイン(対象地域は順次拡大しています)

都道府県・薬剤師会の方へ:会議に合わせた版をお作りします(30万円〜・税別)

補足数字の中身と数え方

4つの医療圏の数字(表)
医療圏薬局数徒歩10分では
届かない人
歩いて行ける
唯一の薬局
処方せん 2025→2040
(分業率そのまま)
同
(分業率の仮定)
院外
処方率
村山 →31739.5%110軒(36.9%)
(7市区町村を除く)
−9.1%−3.1%76.1%
庄内 →13451.1%48軒(37.8%)
(3町を除く)
−16.1%−11.8%77.2%
置賜 →11153.0%56軒(54.9%)
(3町を除く)
−15.6%−15.6%※87.5%
最上 →3369.2%9軒(37.5%)
(6市区町村を除く)
−19.7%−19.7%※86.6%

徒歩10分では届かない人の割合が小さい順。「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の割合は、その圏の薬局数に対する割合。処方せんの2列は2040年の推計で、いま(2025年)の数字とは時点が違います。※は院外処方率がすでに全国の中央値(81.2%)以上で、分業率の仮定を当てていない圏です(左の列と同じ値)。

閉局 ── 廃止届と、本当に閉まった薬局

2025年8月から2026年5月までの10か月に、県内で出された薬局の廃止届は23件でした(集計期間が10か月(12か月に満たない))。そのうち6件は承継か移転で、営業は続いています。本当に閉まったのは17軒(県内の薬局の2.86%)です。

期間は、厚生局の名簿がそろっている直近の月から自動で選んでいます。2026年6月は、厚生局の名簿に届出がまだ載り切っていないため数えていません。10か月ぶんの件数で、1年ぶんではありません。

山形県保健医療計画のなかの薬剤師

山形県保健医療計画(第8次・令和6〜11年度)の本文から、薬剤師・薬局に関する記述を抜き出しました。計画は、薬剤師偏在指標について書いています。薬剤師少数区域・薬局の偏在・薬剤師確保策・二次医療圏ごとの薬剤師については、記述が見あたりません。

◆ 国が試算した薬剤師偏在指標※によると本県の薬剤師偏在指標は0.82となってい ます。

引用は計画本文からそのまま抜き出したものです(要約・言い換えはしていません)。計画の改定により記述は変わります。

機能の届出(厚生局の名簿)

地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(令和8年7月1日版)に載っている県内の保険薬局は594軒です。届出の割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算 95.5%(全国90.8%)、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1・推定)48.8%(全国59.4%)、在宅薬学総合体制加算 28.1%(全国40.9%)、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)86.0%(全国84.2%)です。県の順位は付けていません(名簿の版や旧い届出名の扱いで入れ替わるため)。「推定」の2項目は、令和8年度改定で届出の名称が変わったため、後継と判断した区分で数えています。届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、提供した量ではありません。分母が名簿の薬局数なので、このページの他の薬局数(595軒)とは一致しません。

2045年の薬局の店数を出していない理由

将来の薬局の店数は、閉じる側(廃止届)と開く側(新規指定)の数え方がそろわないため、推計を出していません。そのまま計算すると全国で薬局が2割以上増える結果になり、実態と合わないからです。

限界と数え方・地図の使い方
  • 出所:厚生局・GMIS・NDBオープンデータ・社人研の将来推計人口など。検算と不確実性は方法論のページに。
  • 言えること:地域単位(県・二次医療圏)で、住民が歩いて薬局に行けるか。
  • 言えないこと:個々の薬局の見通し・個店の順位・出店や撤退の判断は扱いません。
  • 徒歩分:250mメッシュ(2025年推計人口)ごとに道路網(OSRM)で計算。県外の薬局も歩いて届けば数えます。
  • 歩いて行ける薬局が1軒しかない人:徒歩10分以内にある薬局がちょうど1軒の人。その1軒が閉まると、歩いて10分では届かなくなる。
  • 薬局の数:厚生局 保険薬局名簿(2026年7月1日現在・近畿厚生局の管内=福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の7府県は6月1日現在)。調剤を行う薬局のみ。
  • 人口は2020年国勢調査をもとにした推計(社人研2023年推計)で、2021年以降の人口の動きは反映していません。薬局は2026年7月の名簿です。
  • なぜ10分か:国の都市評価は徒歩圏を半径800mとしています。これを不動産広告の換算(道路距離80mで1分)に当てると10分。CrossHealthはこの10分を目安に用いています(国土交通省「都市構造の評価に関するハンドブック(改定版)」令和8年1月 p.16・p.21/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第15条第9号)。道路網の徒歩10分は、直線でおよそ600m相当で、800mより狭い範囲です(大阪・茨城・鳥取の72,834メッシュで一致率95.4%)。
  • なぜ数えるのか(出典):Qato DM, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192606(米国の閉局と服薬の継続)/医薬品医療機器等法 第6条の2第1項第4号・同施行規則 第1条の2第2項第5号(薬局の役割)。
  • 地区の物差し:医師には、国が地区ごとに数える「無医地区」があります。薬局について国が公表しているのは、私たちが確かめた範囲で、町村に1軒も無いかどうか(無薬局町村)までです。
  • 誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局:徒歩10分以内に薬局が1軒しかない人がいて、その人にとってのその1軒。所在地で県内にあるものを数えます。
  • ※県の「誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局」の数と割合は、数字が特定の店を指すことになる市区町村を除いて数えています(全国の値は除いていません)。
  • 処方せん:NDBの医療圏別実績に、年齢ごとの受療率を固定して将来人口を当てた推計。分業率の仮定:院外処方率(処方箋料の算定回数を、処方料と処方箋料の合計で割った値・NDBオープンデータ)が全国の医療圏の中央値(81.2%)より低い圏は、2040年までにその値まで上がるとしました。
  • 閉局の数え方:閉局の数を出すのは、厚生局の廃止名簿の号から6か月以上の期間が決まり、その期間の廃止届を集計に使う版で数え直せる(再現率0.85以上)38都道府県です。全国では、2025年4月から2026年6月に出された薬局の廃止届4,175件のうち62.3%が承継か移転でした(47都道府県)。届が集まっている範囲で計算しています。始まりの月は名簿の最初の号の月で、件数はわずかに少なく出うる(下限)。
  • 医療圏は国土数値情報A38由来のマスタ(第8次医療計画準拠)。
  • 人の割合(歩いて行ける薬局が1軒しかない人・徒歩10分では届かない人)は住民(2025年推計人口)に対する割合、誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局の割合は県内の薬局に対する割合です。
  • 全国の値(歩いて行ける薬局が1軒しかない人=住民の13.8%・誰かにとって、歩いて行ける唯一の薬局=薬局の35.2%・院外処方率80.7%)は、47都道府県を同じ名簿・同じ物差しで数えた値です(1枚レポートと同じ計算)。全国での位置は、47都道府県を同じ物差し(徒歩10分では届かない人の割合)で比べたものです。
  • 地図:県 → 医療圏 → 市区町村の3段階で下りられます。医療圏ページの地図は、まだ以前の物差し(1軒あたり処方せんの圏内での動き)です。