CrossHealth / 薬局持久度レポート
薬局は多い。需要は、4つの医療圏すべてで減ります
山形県4つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
山形県の調剤薬局は610軒。人口1万人あたり6.07軒で、47都道府県のなかで多いほうから4番目です。いっぽう「高齢化で処方せんの需要は増える」という、このレポートの出発点は、山形県では成り立ちません。65歳以上の人口は20年で-8.9%減り、4つの医療圏がひとつ残らずマイナスになります。薬局1軒あたりの年間処方せんは12,555枚から11,434枚へ、20年で1,121枚減る計算です。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが最上医療圏(-19.0%)、いちばん穏やかでも村山医療圏(-3.4%)で、4圏ともマイナスです。
人口動態 ── 需要の源4つの医療圏すべてで、高齢者の数が減ります
山形県全体では、総人口が1,005,352人→769,130人(-23.5%)と減るのに加えて、65歳以上人口も362,021人→329,689人(-8.9%)と減ります。高齢化率は36.0%→42.9%へ上がりますが、それは分母が速く減るからで、高齢者の実数は増えません。65歳以上人口のピークは2025年=推計の初年、つまりすでに通過しています。全国333の二次医療圏のうち180圏が同じ状態ですが、県内の医療圏がひとつ残らず減る県は6県しかありません(山形県/徳島県/秋田県/青森県/高知県/鳥取県)。35市町村のうち65歳以上が増えるのは3つだけ(東根市・山形市・天童市)で、3つとも村山医療圏にあります。
供給 ── 薄さの出どころ処方せんが少ないのではなく、薬局が多いのです
薬局1軒あたりの年間処方せんは12,555枚で、全国平均13,525枚を下回り、47都道府県では多いほうから35番目=薄いほうです。ただしその理由は「処方せんが少ないから」ではありません。住民1人あたりの院外処方せんは7.62枚で全国7番目に多く、医薬分業率も79.0%と全国の80.7%とほぼ同じ(低いほうから21番目=真ん中)です。残るのは分母のほうで、人口1万人あたりの薬局数6.07軒は全国4位。富山県や岡山県では「1軒あたりが薄いのは院内に処方せんが残っているから」と説明できましたが、山形県ではその説明が効きません。仮に分業率が全国平均まで上がっても院外は年167,890枚(1軒あたり275枚)増えるだけで、高齢化が20年で減らす1,121枚の0.25倍にしかなりません。
閉局 ── 数えられるのは7ヶ月ぶんです号がそろっている7ヶ月で、8軒が閉じ、3軒が引き継がれました
まず、数えられる範囲を正直に書きます。厚生局が毎月出す「廃止機関一覧表」は、山形県ぶんが直近12ヶ月ぶん公表されています。ところが2025-11・2026-05・2026-06の3号はPDFに文字が入っておらず(紙をスキャンした画像)、集計用データに変換する私たちの側の工程がこの3号を丸ごと読み飛ばしていました。出典の欠測ではなく、こちらの取り込みの穴です。今回この3号を画像認識で読み直したところ、薬局の明細が合わせて5行見つかりました(うち1号は薬局の節そのものがありません=その月は0件)。廃止の届出は出てから1〜2ヶ月遅れて載るので、ある月の廃止を漏れなく数えるにはその月・翌月・翌々月の3号がそろっている必要があります。山形県でそれを満たすのは7ヶ月(2025年5〜8月と2025年12月〜2026年2月)で、連続した1年にはなりません。この7ヶ月に山形県で出された薬局の廃止届は11件。うち3件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えたわけではありません。残る8件が、地域から薬局が1軒減った「真の閉局」です。年率に直すと2.25%になりますが、8件という数から出した数字なので95%信頼区間は0.97〜4.43%と4倍以上に開きます。この幅を外して点推定だけを読まないでください。収録されている全期間(2025年2月〜2026年4月)まで広げると廃止届25件・真の閉局20件になりますが、こちらは号が欠けている月を含むので下限値です。画像だった3号を読み直したぶん(真の閉局3軒・承継2件)を足すと廃止届30件・真の閉局23軒になります。これも下限です。なお、同じ日に法人がまとめて機関コードを付け替える「一斉付け替え」は、山形県では1件も見つかりませんでした(東北6県では3件・23行が見つかっていますが、すべて他県のものです)。ですので、引き継がれなかった割合(72.7%)は一斉付け替えを差し引いても変わりません。そして4つの医療圏や35市町村に割ることはできません——7ヶ月で11件を割ると、1件の増減で数字が数倍動いてしまいます。他県と閉局率を並べることもできません。東北6県は号の欠け方が県ごとに違い、6県そろって数えられる月が1ヶ月もないからです。
機能の届出 ── これは出せませんかかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、未算出です
他県版にある「かかりつけ薬剤師指導料の届出率」「地域連携薬局」「在宅患者訪問薬剤管理指導」の3つは、山形県では出せません。薬局機能情報提供制度(GMIS)の機能情報が山形県ではほぼ取り込まれておらず、9つの届出項目のどれかに「あり」が立っている薬局は610店中14店しかありません。これをそのまま割り算すると2.3%という数字になりますが、それは山形県の薬局の実態ではなく、データの取り込み漏れです。0%でもなく、この数字でもなく、未算出としてあります。
ランキング ── 圏域差処方せんが速く減る医療圏・あまり減らない医療圏
最上(-19.0%)から村山(-3.4%)まで、その幅は15.6ポイント。4圏ともマイナスなので、この幅は「どこが伸びるか」ではなく「どこが速く細るか」の幅です。薬局1軒あたりでは、いま最も厚いのが最上(13,045枚)、最も薄いのが村山(12,230枚)で、その差は1.07倍しかありません。
くわしい数字4医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2050(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 村山 | 319 | 12,230 → 11,818 | -3.4% |
| 庄内 | 139 | 13,038 → 11,266 | -13.6% |
| 置賜 | 116 | 12,720 → 11,104 | -12.7% |
| 最上 | 36 | 13,045 → 10,561 | -19.0% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局・承継の件数は号がそろっている7ヶ月ぶんの県計のみで、医療圏別・市町村別の率は算出していません。機能の届出率は未算出(0%ではありません)。
いま出していない数字3つあります。うち2つは、山形県だけの事情です
このページでは、(1)2045年の薬局店数の推計と医療圏の「都市型/郊外型」分類、(2)機能の届出率、(3)医療圏別・市町村別の閉局率と承継率——を外しています。(1)は全県共通で、供給の将来推計モデルを再学習中のためです(山形県はそもそも学習対象に入っていません)。(2)はGMISの取り込み漏れ、(3)は数えられる期間が7ヶ月しかなく、件数を医療圏に割ると1件の増減で数倍動いてしまうためです。いずれも「0」ではなく「未算出」です。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 医療圏ページ(Lv2)へ
- 市町村ページ(Lv3)へ
- 自店カルテへ
このレポートの範囲と、正直な限界
- 薬局数は `pharmacies`(`prefecture='山形県' and ds_only=0`)=610軒。調剤をしないドラッグストア専業122店は含めていない(うち121店に医療圏が入っているので、`ds_only` を付け忘れて集計すると水増しになる)。
- 市町村→二次医療圏の対応は `medical_area_master` を唯一の正とした。`pharmacies.iryo_ken` との差分は0件。
- ★機能の届出率(かかりつけ・地域連携・在宅)は**出していない**。GMISの機能情報が山形県ではほぼ未取込で、9項目のどれかに「あり」が立つ薬局は610店中14店しかない。0%でもこの割合でもなく、**未算出**である。
- ★閉局は『号(毎月の廃止機関一覧表)がそろっている廃止月』だけを数えている。既定窓は7ヶ月(2025-05/2025-06/2025-07/2025-08/2025-12/2026-01/2026-02)で、連続した1年ではない。既刊の「直近12ヶ月」「暦年2025」とは期間が違うので、件数をそのまま並べてはいけない。
- ★2025年11月号・2026年5月号・2026年6月号は画像PDFで、取り込み工程が読み飛ばしていた。画像認識で読み直すと薬局の明細が5行あり、その廃止月は2025年10月・2026年3月・2026年4月=**いずれも既定窓の外**だった。したがって既定窓の件数はこの穴の影響を受けない。
- ★閉局率を出すときは年率換算(2.25%)と95%信頼区間(0.97〜4.43%)を必ずセットで示すこと。8件から出した数字である。
- ★閉局率・承継率を他県と並べてはいけない。東北6県は号の欠け方が県ごとに違い、6県そろって数えられる廃止月が1ヶ月も無い。
- ★閉局を医療圏別・市町村別の率にしていない。既定窓の県計が廃止届11件しかなく、割ると1件の増減で数倍動く。件数だけをJSONに持っている。
- 処方せんは院外の枚数だけ。山形県の医薬分業率は79.0%で、院内で出ている2,039,669枚は含まれていない。圏では76.2%(村山)〜87.5%(置賜)と11.3ポイント開く。
- 医薬分業の「桁比べ」は予測ではない。分業率が全国平均まで上がる、という仮定を置いて量を比べているだけで、そうなるという主張でも、そうすべきという主張でもない。
- 市町村別の処方せんは実測ではない。NDBの最小公表単位が二次医療圏なので、65歳以上人口で按分した推計。分母の小さい町村では極端に跳ねる。
- 薬局数は2025年時点で固定。将来の開局・閉局による店数の変化は含んでいない。供給動学モデル(近畿6府県で学習)は山形県を対象に含まないので流用もしない。
- 薬局が0軒の自治体が1つある(鮭川村)。GMISは自己申告で古い独立店が欠落しうるため、「空白地」としては扱っていない。
- 薬局1〜2軒の自治体が11、8軒未満が19ある。市町村単位の集計がそのまま個店の記述になるので、Lv3の対象から外す。
- ★薬局610店のうち27店で、届出上の市区町村コードと座標から求めた市区町村が食い違う。うち24店は同じ座標に固まったジオコードのフォールバック点によるもの。本レポートの位置は**届出コード**で決めているので集計は影響を受けないが、座標を使う分析にこのデータを流用してはいけない。
- 徒歩カバー率は本レポートでは算出していない(Lv3の軸)。面積(km²/軒)で代替しており、面積は「住民から薬局までの距離」ではない(無人の山地も面積に入る)。★250mメッシュの山形県分は2026-07-28に投入済みなので、Lv3では算出できる。
- `e65_peak_year` は5年刻みの推計上のピーク。「2025年ピーク」は起点年なので「すでに減少局面」の意味。
- 個店のランキング・名指しの閉局予測・出店戦略の助言は一切含んでいない。地域単位の事実のみを扱う。
- 言えないこと: 山形県の薬局が今後何軒になるか、どの医療圏の閉局が多いか、他県と比べて閉局が多いか少ないか、機能の届出がどれだけ進んでいるか。いずれも本レポートのデータからは判断できない。
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