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CrossHealth / 薬局持久度レポート
東京でもっとも高齢者が増える圏域が、もっとも多くの薬局を失っている
区中央部医療圏5区の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
区中央部医療圏は千代田区・中央区・港区・文京区・台東区の5区からなる、東京都の真ん中です。65歳以上人口は2025→2045年で+52.3%増え、これは都内13医療圏で最大の伸びです。総人口も+12.0%と都内で最も増えます。それなのに、暦年2025(2025年1月〜12月)にそのまま消えた薬局は27軒(3.76%)で、これも都内最多・最高率でした。「高齢者が増える=薬局は安泰」という読み方が、いちばん通用しない圏域です。
区中央部医療圏は、東京都でもっとも人が増える二次医療圏です。総人口は99.2万→111.1万人(+12.0%)、65歳以上は17.8万→27.1万人(+52.3%)。5区すべてで65歳以上人口が2050年まで増え続け、ピークを過ぎている区は0区もありません。いまの高齢化率は17.9%で都内最低、2045年でも24.4%。つまりこの圏域は、これから高齢化の本番を迎えます。それでいて、薬局が消える速さは都内最大でした。暦年2025(2025年1月〜12月)の廃止届61件のうち34件は移転・承継で事業が続きましたが、そのまま消えたのは27軒(3.76%)。4年ぶん(4年(2022年1月〜2025年12月))で数えても真の閉局104件・年あたり3.62%で、どちらの数え方でも都内13医療圏の1位です。引き継がれなかった割合は4年ぶんで43.9%。区内では文京区の34.2%から台東区の53.8%まで開きます。件数でいちばん多いのは港区の30件です。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内の相対値)で見ると、いちばん沈むのが台東区(-11.0%)、いちばん伸びるのが中央区(+20.5%)で、その差は31.5ポイント、2区がマイナス側です。ただしこれは圏内でのシェアの取り合いを示す相対値で、65歳以上人口そのものは台東区の+35.6%から中央区の+83.5%まで全区が増えます。その落差47.9ポイントは、島しょを除く東京都12医療圏どうしの落差(42.8ポイント)に迫る大きさです。なお、この圏域の数字を読むときは昼間人口に注意してください。千代田区の1軒あたり5,783枚という値は、そこに住んでいる高齢者だけで按分した結果であり、通勤者や近隣区からの来局は含んでいません(下の注記)。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、区ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが台東区(-11.0%)、いちばん緑なのが中央区(+20.5%)で、同じ区中央部医療圏の中に31.5ポイントの開きがあります。赤い区も「高齢者が減る」わけではなく、圏内での取り分が薄くなる、という意味です。
人口動態 ── 需要の源5区すべてで、65歳以上は2050年まで増え続ける
区中央部医療圏全体では、総人口は99.2万→111.1万人(+12.0%)と増え、65歳以上は17.8万→27.1万人(+52.3%)と大きく増えます。高齢化率は17.9%→24.4%へ。65歳以上のピークは推計期間の終わり(2050年)でも来ておらず、圏内5区すべてが同じです。伸びが最大なのは中央区の+83.5%、最小でも台東区の+35.6%。いま高齢化率がいちばん高いのは台東区の22.0%ですが、それでも東京都全体の22.8%を下回ります。高齢化が「これから」の地域だ、ということです。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局4年で104軒が、引き継がれずに消えました
暦年2025(2025年1月〜12月)の廃止届は61件、うち34件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは27軒でした。単年では振れるため、4年(4年(2022年1月〜2025年12月))でも数えています。真の閉局104件・移転承継133件で、引き継がれなかった割合は43.9%。東京都全体(40.4%)を上回ります。区内では文京区が34.2%、台東区が53.8%。同じ圏域の中で、引き継ぎ手が見つかる度合いが19.6ポイント違います。ただしこの割合には、同じ日にまとめて出る移転・承継(管内をまたぐ法人再編)が混ざります。その日を除くと、この圏域は43.9%→51.7%になります(東京都全体は40.4%→47.6%)。なお東京都全体では、閉局の起きやすさは区部7医療圏(2.06〜3.62%/年)と多摩5医療圏(1.23〜1.81%/年)で重なりませんが、引き継がれなかった割合は区部と多摩に分かれません。この圏域の位置づけは「消えやすさが都内最大」であって、「引き継がれにくさが都内最大」ではありません。
ランキング ── 区の差経営がしんどくなる区・楽になる区
台東区(-11.0%)から中央区(+20.5%)まで31.5ポイントの開き。マイナスは2区です。現在の1軒あたり処方せんは千代田区の5,783枚から台東区の26,891枚まで4.65倍の開きがありますが、この差の大部分は昼間人口で説明できます。住民の数で按分しているため、働きに来る人が多い区ほど値が小さく出ます。この圏域では1軒あたりの絶対値の比較より、変化の向き(増えるか減るか)を見てください。
くわしい数字5区データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 港区 | 179 | 16.5% | 17,524 → 18,345 | +4.7% |
| 文京区 | 141 | 18.5% | 23,172 → 21,874 | -5.6% |
| 千代田区 | 137 | 16.1% | 5,783 → 5,926 | +2.5% |
| 中央区 | 134 | 15.0% | 14,244 → 17,166 | +20.5% |
| 台東区 | 127 | 22.0% | 26,891 → 23,939 | -11.0% |
※処方せん需要は区中央部医療圏全体の実績(NDB)を区の高齢人口で按分した推計です。昼間人口は反映していません。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 東京都(ひとつ上・Lv1)=13の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 区中央部医療圏(このページ・Lv2)=5区で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 区(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・区市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】区中央部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間12,520,318枚)を、区ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは区別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【この圏域で特に注意すべき点:昼間人口】按分は、そこに住んでいる65歳以上の人数を基準にしています。千代田区・中央区・港区のように昼間人口が夜間人口を大きく上回る区では、実際の処方せんは通勤者や近隣区の住民からも来ているため、住民ベースの按分は実態から外れます。本ページの「薬局1軒あたり処方せん」は、居住している高齢者から見た薄さであって、その区の薬局の経営実態ではありません。区どうしの絶対値の比較には使わないでください。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。マイナスの区も、65歳以上人口そのものは増えます(圏内で最小の台東区でも+35.6%)。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(東京都=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に152.3)。
- 【薬局数は2025年で固定】区別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)で、この圏域の廃止届61件のうち34件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。単年では区ごとの件数が振れるため、承継率については4年(2022年1月〜2025年12月)の集計(真の閉局104件・移転承継133件)を併記しています。4年ぶんの値を、他県の単年値と並べないでください。
- 【一斉承継】同じ廃止日に移転・承継がまとめて出る日(管内をまたぐ法人再編)を、日付を決め打ちせず管内10都県の分布から機械的に検出し、除いた版を併記しています。この圏域の4年ぶんの「引き継がれなかった割合」は43.9%、一斉承継の日を除くと51.7%です。真の閉局(主指標)はほとんど影響を受けません。
- 【閉局の位置の割り当て】廃止届の住所(区市町村名)から割り当てています。東京都の廃止情報 全2,030件が住所で解決でき、未割当は0件です。名簿の再取り込みで座標がブロックごとNULLに戻ることがあるため、座標は正本にしていません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は718店すべてに申告データがあり、分母は718店です。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母について】この圏域には薬局が8軒に満たない自治体はありません(最少は台東区の127軒)。ただし単年の閉局件数は区あたり数件なので、1件の増減で率が大きく動きます。承継率は4年ぶんの値を主にお読みください。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが関東を学習していないため)。
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