東京都島しょ(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

9つの町村に薬局4軒——都内で唯一、需要が減っていく圏域

島しょ医療圏9町村の薬局と医薬品アクセスの記録。薬局4軒という構造上、圏内比較の地図とランキングは設けていません。

対象 島しょ医療圏 9町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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島しょ医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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島しょ医療圏は9の町村に薬局4軒。6村町には届出のある薬局がありません。65歳以上人口は2025→2045年で-18.2%と都内で唯一減り、2025年がすでにピークです。数字がいちばん極端な圏域だからこそ、比較ではなく記録として残します。

9
島しょ医療圏の町村
4
圏内の薬局数(届出ベース)
6
届出のある薬局が0軒の村町
-18%
65歳以上人口の変化(→2045)

島しょ医療圏は伊豆諸島・小笠原諸島の9町村からなり、薬局機能情報提供制度に届出のある薬局は4軒しかありません。利島村・新島村・神津島村・御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村の6村町は届出0軒です。65歳以上人口は0.8万→0.7万人(-18.2%)と、都内13医療圏で唯一減っていきます(2025年がすでにピーク)。収録範囲(2020年5月号以降の関東信越厚生局名簿)で、この圏域の薬局の廃止届は0件=記録されていません。薬局1軒あたりの処方せん26,252枚は都内最大ですが、分母が4軒しかないための数字で、経営が楽だという意味ではありません。島の中で見ると、薬局があるのは三宅村・八丈町・大島町の3町村だけで、いずれも2軒以下=自治体単位の集計がそのまま個店の記述になってしまう規模です。そのため、この圏域では町村どうしを率や1軒あたりで比較するページは作りません。徒歩アクセスは島ごとに閉じて測りました(海を挟んだ「最寄り薬局」は徒歩の意味を失うため)。徒歩10分カバー率は圏全体で11.2%、薬局0軒の6村町では0%です。ただし、この0軒・0%は「届出のある薬局が無い」という意味であって、医薬品アクセスが無いという意味ではありません。診療所の院内投薬・配送・巡回診療は本データの外です。

人口動態 ── 都内で唯一の需要減65歳以上人口は、2025年がすでにピーク

総人口は2.3万→1.9万人(-17.7%)、65歳以上は0.8万→0.7万人(-18.2%)。高齢化率は35.8%→35.5%と高止まりのまま、総数が縮んでいきます。町村別では、ピークを過ぎているのが5町村、2050年まで増え続けるのは2町村(御蔵島村・小笠原村)です。

総人口65歳以上
0万2万5万8万10万2025203020352040204520502万1万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。小さな村では数十人の増減で率が大きく動きます。

医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

○島しょ圏域は、病院薬剤師・薬局薬剤師ともに少数区域となっており、地域のニーズに応じた薬剤師確保の取組を支援していく必要があります。

東京都保健医療計画 東京都保健医療計画(令和6年3月改定)全文 PDF 106ページ

○島しょ町村が行う医療従事者を対象とした確保・定着のための現地見学会などの事業を支援しています。

東京都保健医療計画 東京都保健医療計画(令和6年3月改定)全文 PDF 316ページ

政令が適用されていない多摩・島しょ地域では、東京都医師2とする法令改正等に対応した立入検査を実施していく必要があります。

東京都保健医療計画 東京都保健医療計画(令和6年3月改定)全文 PDF 415ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

閉局 ── 記録なし収録範囲で、廃止届は0件

関東信越厚生局の名簿(2020年5月号以降)に、島しょ医療圏の薬局の廃止届はありません(暦年2025(2025年1月〜12月)・4年窓とも0件)。薬局が4軒しかないため、閉局率や承継率という指標そのものが計算できません(分子も分母も0件)。1軒の動きがそのまま圏域の姿を変える構造であることが、この圏域のいちばん重要な事実です。

徒歩アクセス ── 島ごとに閉じて測る徒歩10分カバー率は11.2%(島内のみ・直線近似)

島しょでは「市区町村境界を越えた最寄り薬局」という本土のルールが意味を失うため(海を挟んだ直線距離は徒歩ではない)、同一町村内の薬局だけを候補にして測りました。圏全体の徒歩10分カバー率は11.2%・20分でも20.9%。薬局のある三宅村・八丈町・大島町でも、島内の集落の広がりに対して薬局は1〜2地点しかありません。薬局0軒の6村町は0%です。徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似(下の注記)。繰り返しますが、これは届出のある薬局までの距離であって、島の医薬品アクセス(診療所の院内投薬・配送・巡回)を否定するものではありません。

くわしい数字9町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
八丈町240.4%17,100 → 16,281-4.8%
三宅村140.5%10,956 → 9,478-13.5%
大島町138.6%32,741 → 33,141+1.2%
利島村025.5%薬局なし
新島村040.8%薬局なし
神津島村035.0%薬局なし
御蔵島村016.1%薬局なし
青ヶ島村021.2%薬局なし
小笠原村015.3%薬局なし

※処方せんは島しょ医療圏全体の実績(NDB)を町村の高齢人口で按分した推計です。薬局1〜2軒の町村の「1軒あたり」は事実上個店の値になるため、表では参考値として扱い、比較には使いません。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 東京都(ひとつ上・Lv1)=13の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 島しょ医療圏(このページ・Lv2)=比較ではなく、構造の記録。
  • Lv3(市町村詳細)=この圏域では作りません(small_cell の運用)。

島しょ医療圏 9市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)に寄りますが、軒数が少なく目安です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。島しょ医療圏にいまある4軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.00です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-17.7%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。ただしこの圏にある薬局は4軒と少なく、比率は1軒の性格に引きずられます。目安として読んでください。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は80.0%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。島しょ医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は5軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 4軒=80.0%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 2軒=40.0%、在宅薬学総合体制加算 1軒=20.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 5軒すべてです。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回40.0%/これまで50.0%(差-10.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回80.0%/これまで25.0%(差+55.0ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回20.0%/これまで75.0%(差-55.0ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・区市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】島しょ医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間105,006枚)を、町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは区市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【按分の限界:昼夜間人口】按分は、そこに住んでいる65歳以上の人数を基準にしています。昼間人口が夜間人口を大きく上回る(または下回る)地域では、実際の処方せんは通勤・通学者からも来るため、住民ベースの按分は実態から外れます。「薬局1軒あたり処方せん」の絶対値を地域間で比較する用途には使わないでください。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(東京都=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に81.8)。65歳以上人口そのものの変化(chg_abs)は青ヶ島村の-30.3%が圏内最小です。
  • 【薬局数は2025年で固定】区市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です。単年では件数が振れるため、承継率については4年(2022年1月〜2025年12月)の集計を併記しています。4年ぶんの値を、他県の単年値と並べないでください。また、名簿の掲載遅れにより、固定窓の件数は生成後も増える可能性があります(2026-07-29時点の値)。
  • 【一斉承継】同じ廃止日に移転・承継がまとめて出る日(管内をまたぐ法人再編)を、日付を決め打ちせず管内10都県の分布から機械的に検出し、除いた版(ex_mass)を併記しています。真の閉局(主指標)はほとんど影響を受けません。
  • 【閉局の位置の割り当て】廃止届の住所(区市町村名)から割り当てています。東京都の廃止情報 全2,030件が住所で解決でき、未割当は0件です。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域の分母は4店です。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【徒歩カバー率はフォールバック法(OSRM不可のため直線近似)】徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似です。OSRM(実道路網)が使えない環境で生成したためで、実際の道路・地形・信号・坂は考慮していません。都県境の外(埼玉・神奈川・千葉・山梨)の薬局は候補にしていないため、都県境沿いではカバー率が実際より低く出ます。メッシュ人口(mesh_backbone_250m)は2020年国勢調査ベースの推計です。OSRM実道路網への置き換えは別波で行います。
  • 【薬局0軒・小さい分母の自治体】利島村・新島村・神津島村・御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村は薬局機能情報提供制度への届出が0軒です(自己申告のため「届出が無い」と「薬局が無い」は厳密には同じではありません。診療所の院内投薬・配送・巡回は本データの外です)。三宅村・八丈町・大島町は薬局8軒未満で、1軒あたりの数値や率は1店の開廃で大きく振れます。
  • 【島しょの徒歩アクセスの測り方】本土では市区町村境界を越えた最寄り薬局を認めますが、島しょでは海を挟んだ直線距離が徒歩の意味を失うため、同一町村内の薬局のみを候補にしています。
  • 【0軒・0%の意味】薬局機能情報提供制度は自己申告のため、「届出が無い」と「薬局が無い」は厳密には同じではありません。また島の医薬品アクセスは診療所の院内投薬・配送・巡回診療が担っている部分があり、本データの外です。
  • 【承継率・閉局率は算出不能】収録範囲で廃止届が0件のため、分子分母が存在しません。「閉局が起きない安全な地域」という意味ではなく、1軒の動きで景色が変わる構造です。

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島しょ医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。

もっとも近かったのは沖縄県北部ですが、「1軒あたり人口」が基準を超えました。

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