CrossHealth / 薬局持久度レポート
6つの医療圏のうち5つで、高齢者はもう増えません
大分県6つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。
大分県の調剤薬局は568軒。高齢化で処方せんの需要が増える県が多いなかで、大分県は県全体で-6.2%と減る側にいます。6つの二次医療圏のうち5圏では65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っており、そこに薬局が288軒=県内の50.7%あります。増えるのは中部医療圏(+4.9%)だけで、それも大分市1市が引っ張っています。医療圏に割ると-31.4%(豊肥)から+4.9%(中部)まで36.3ポイント開きます。
地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが豊肥医療圏(-31.4%)、次が南部医療圏(-23.4%)。増えるのは中部医療圏(+4.9%)ひとつだけです。医療圏をクリックすると、その中の市町村差まで下りられます。
人口動態 ── 需要の源「高齢化するから処方せんは増える」が、大分県では成り立ちません
大分県全体では、総人口は108万→89万人(-17.6%)と減り、65歳以上も38万→35万人(-6.2%)と減ります。高齢化率は35.0%→39.8%へ上がりますが、それは分母(総人口)がもっと速く減るからで、高齢者の実数は増えません。65歳以上人口がすでに2025年でピークを打っている医療圏は豊肥・南部・西部・東部・北部の5圏(薬局288軒・県内の50.7%)。市町村で数えると18市町村のうち16市町村がすでに減少局面で、そこに薬局が316軒(55.6%)あります。推計期間内に65歳以上が増え続けるのは大分市・日出町の2つだけです。
集中 ── どこに何軒あるか薬局の49.3%が中部医療圏に、42.1%が大分市の中に
中部医療圏には薬局が280軒=県全体の49.3%あります。この圏の面積は県土の18.8%、65歳以上人口は45.4%です。さらに大分市1市だけで239軒=県全体の42.1%を占めます。ただし薬局がどれだけ集まっているかと、1軒あたりの厚みはほとんど連動しません。1軒あたり処方せんは西部の12,613枚から南部の14,860枚まで1.18倍しか開かず、県内の薬局の半分がある中部(14,351枚)と、薬局43軒しかない西部(12,613枚)の差は13.8%です。県平均は13,735枚。
広さ ── 歩ける距離の代わりに1軒あたりの受け持ち面積が、市町村どうしで74倍ちがう
大分県の面積は約6,342km²、薬局1軒あたり11.2km²です。医療圏で見ると中部の4.3km²/店から豊肥の38.6km²/店まで9.0倍。市町村まで下ろすと別府市の1.83km²/店から九重町の135.8km²/店まで、約74倍です(ただし九重町は薬局2軒の話です)。面積は「歩いて行けるか」そのものではありませんが、大分県は250mメッシュの人口基盤が未投入で徒歩カバー率が出せないため、広がりを示す実測値としてこれを置いています。
データの穴 ── 姫島村に薬局が0軒高齢化率61.9%の島に、保険薬局が1軒もありません
18市町村のうち、薬局が0軒なのは姫島村1村です(人口1,484人・65歳以上918人=県の0.2%)。高齢化率61.9%は県内で最も高く、2045年には70.9%になります。これはデータの取りこぼしではありません。薬局機能情報(2025年12月時点)だけでなく、九州厚生局の「コード内容別医療機関一覧表(薬局・現存/休止)令和8年7月1日現在」(県内567軒)でも姫島村は0軒で、同名簿の医療機関番号の地区コードは大分県では市町村とほぼ1対1に対応しているのに、姫島村に当たる番号が1件も存在しません。いっぽう姫島村には診療所が1つあります(病院・歯科診療所は0)。いつ・なぜ0になったのかは、手元のデータでは分かりません。廃止名簿(2020年8月以降)にも姫島村の廃止届は1件もありませんが、これを「2020年より後に姫島村で薬局が閉じていない」証拠と読んではいけません。いま0軒なのに廃止届が0件という2つの事実は、名簿だけでは整合しません。分かるのは「いま0軒である」という事実だけです。なお東部医療圏の1軒あたり12,668枚は、姫島村ぶんの需要を残り4市町の薬局で割った値です。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局直近12ヶ月の廃止届は35件。そのまま消えたのは13件でした
直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に大分県で出された薬局の廃止届は35件。うち22件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは13軒(薬局568軒の2.29%)でした。引き継がれなかった割合は37.1%です。ここでひとつ、正直に書いておきます。この件数を6つの医療圏に割ると、1圏あたり0〜8件にしかなりません。1件の増減で「引き継がれなかった割合」が数十ポイント動きます。ですから大分県では、閉局・承継は県全体の数字としてだけお読みください。圏ごとの閉局率の順位づけは、この件数では意味を持ちません。もうひとつ、この件数を他の地方の県と並べないでください。同じ12ヶ月窓で薬局1軒あたりの廃止届の数を都道府県別に出すと、九州厚生局の8県は3.78〜9.55%であるのに対し、東海北陸厚生局の6県は1.42〜2.65%しかありません。8県そろって高いので、これは「九州で薬局が閉じやすい」のではなく名簿の載り方の差と読むのが妥当です。比べられるのは同じ厚生局の福岡・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島・沖縄までです。なお、この12ヶ月に必要な号はすべてそろっています。69ヶ月のうち廃止届が0件の月が12ヶ月ありますが、そのすべてで「その月をカバーする号は取り込まれていて、同じ厚生局の他県の届はその号に載っている」ことを確認しました。ただし『廃止届が0件』は、薬局が閉じなかったことの証明にはなりません。休止や届出の遅れは名簿に出ません。
ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏
豊肥(-31.4%)から中部(+4.9%)まで、36.3ポイント。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。いっぽう現在の1軒あたり処方せんは西部の12,613枚から南部の14,860枚まで1.18倍しか開いていません。いま薄いから将来も薄い、という単純な話ではありません——1軒あたりが県内で最も厚い南部(14,860枚)は、需要の変化では-23.4%と下から2番目です。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は出していません(下の注記)。
くわしい数字6医療圏データ一覧
| 地域(医療圏) | 薬局 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045(枚/年) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 中部 | 280 | 14,351 → 15,050 | +4.9% |
| 東部 | 107 | 12,668 → 11,279 | -11.0% |
| 北部 | 79 | 13,139 → 11,999 | -8.7% |
| 西部 | 43 | 12,613 → 10,327 | -18.1% |
| 南部 | 31 | 14,860 → 11,385 | -23.4% |
| 豊肥 | 28 | 13,816 → 9,483 | -31.4% |
※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。閉局は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)の集計で、移転・承継を除いています。圏ごとの閉局は件数が少ないため、率の比較には使えません。他の厚生局ブロックの県とも比べられません(名簿の捕捉率が違います)。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、大分県では元データが未取込のため算出できません(0%ではありません)。姫島村は薬局0軒のため1軒あたりの値が出せません。個店のランキングは作りません。
いま出していない数字供給の将来推計と、機能の届出率は出していません
このページでは2つのものを外しています。ひとつは2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類です。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、そのモデルは近畿6府県のデータで学習したもので、大分県は学習対象に入っていません。当てはめれば数字は出ますが、根拠のない数字になります。もうひとつはかかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率です。これらの元データ(薬局機能情報提供制度)が大分県はまるごと未取込で、県内の薬局にフラグが1件も立っていません。0%と表示すれば「県内のどの薬局も届け出ていない」というまったくの誤りになるため、空欄にしています。同じ状態の県が全国で14県・薬局11,630店あります。数字を急いで出すより、根拠のない数字を出さないほうを選びました。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 大分県(このページ・Lv1)=6つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 二次医療圏(Lv2)=圏内の市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。大分県では中部医療圏を用意しています。
- 市町村(Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- ★【かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は出していません(0%ではありません)】薬局機能情報提供制度(GMIS)の機能フラグが、大分県では県内の薬局に1件も立っていません。データが県まるごと未取込である、という意味です。ここで「届出率0.0%」と書くと、県内のどの薬局もかかりつけ・地域連携・在宅を届け出ていないという、事実と違うことを公開してしまいます。そのため本レポートでは空欄(null)にしています。同じ状態の都道府県が全国で14県・薬局11,630店あります。取り込まれ次第、他県と同じ軸を追加します。
- 【姫島村の薬局は0軒です】18市町村のうち姫島村だけが薬局0軒です(人口1,484人・高齢化率61.9%)。薬局機能情報(2025年12月時点)に加え、九州厚生局の「コード内容別医療機関一覧表(薬局・現存/休止)令和8年7月1日現在」でも0軒で、医療機関番号の地区コードのうち姫島村に当たる番号が存在しません。姫島村には診療所が1つあります(病院・歯科診療所は0)。いつ・なぜ0になったかは手元のデータでは分かりません。廃止名簿(2020年8月以降)に姫島村の廃止届は1件もありませんが、「いま0軒」と「廃止届0件」は名簿だけでは整合せず、0件を『閉局が無かった』と読むことはできません。姫島村の1軒あたり処方せんは計算できないため、表では空欄になります。
- 【処方せんの推計方法】NDBオープンデータの医療圏別・院外処方せん実績(2023年・県全体で年間7,801,574枚)に、その医療圏の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。医療圏より細かい単位では公表されていません。院外処方率は県全体で79.5%、医療圏では70.5〜84.6%と差があります(最低は西部、最高は豊肥)。
- 【薬局数は2025年で固定】1軒あたり処方せんの将来値は、薬局の数がいまのまま変わらないと置いた場合の数字です。開局・閉局による店数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)。この期間の廃止届は35件で、うち22件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだと読めます。そのまま消えたのは13件です。名簿は現行ライブ収集で2026年7月号まで入っており、大分県の掲載遅れは3ヶ月以内94.9%・4ヶ月以内99.0%。完全とみなせる右端は2026年4月で、2026年5月・6月は右側打ち切りのため既定窓に入れていません。
- ★【この閉局率を、他の地方の県と比べないでください】同じ12ヶ月窓で「薬局1軒あたり何件の廃止届が出ているか」を都道府県別に出すと、九州厚生局の8県は3.78〜9.55%であるのに対し、東海北陸厚生局の6県は1.42〜2.65%しかありません。九州でいちばん低い佐賀県(3.78%)でさえ、東海北陸でいちばん高い富山県(2.65%)を上回ります。8県そろって高いことから、これは「九州で薬局が閉じやすい」のではなく、名簿の収集経路の差(九州は厚生局サイト本体からのテキスト抽出、東海北陸は画像PDFのOCR)による捕捉率の差と読むのが妥当です。大分県は6.16%でブロック内6番目。他ブロックの都道府県と直接比べてはいけません。比べられるのは同じ厚生局の福岡・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島・沖縄までです。(この分離は岐阜県係・三重県係が東海北陸側で独立に確定したもので、大分県係が反対側から同じ枠組みで確認しました。)
- 【既定の12ヶ月窓に号の欠落はありません(ただし0件=閉局なし、ではありません)】廃止名簿の号を生CSVのファイル名から復元したところ、2020-09〜2026-07の66号がそろっており、既定の12ヶ月窓に必要な号(2025年6月号〜2026年7月号)はすべて取り込まれていました。全期間69ヶ月のうち廃止届が0件の月が12ヶ月ありますが、そのすべてについて「その月をカバーする号が取り込まれていて、同じ厚生局の他県の届がその号に載っている」ことを確認しました(号が欠けている月は0ヶ月)。ただし『廃止届が0件』は『薬局が閉じなかった』ことの証明ではありません。休止・届出の遅れ・名簿の捕捉率により、実際に消えた店が名簿に載らないことがあります。
- ★【4年窓・全期間窓の件数は「下限」です】復元した号のうち2024-02・2024-03・2024-05・2024-06・2024-08の5号が取り込まれていません(国会図書館WARPの多年収穫から、厚生局サイト本体の現行ライブ収集へ切り替わった時期にあたります)。そのため2023-12〜2024-06の7ヶ月は、廃止届が過少に数えられている可能性が高い期間です。4年窓(廃止届132件)・全期間69ヶ月(同172件)の数字は下限として読んでください。既定の12ヶ月窓はこの穴の外にあり、影響を受けません。
- 【閉局は県計でのみ読んでください】12ヶ月窓の真の閉局13件を6医療圏に割ると1圏あたり0〜8件です。廃止届が5件に満たない医療圏が4圏(豊肥・南部・西部・北部)あります。圏別の真の閉局率・承継されなかった割合はJSONには入れていますが、1件の増減で大きく振れるため、圏どうしの順位づけには使えません。
- 【閉局の位置は住所から割り当てています】大分県の廃止名簿は厚生局PDFからテキスト抽出したもので住所が崩れておらず、174件すべてで市町村名が完全一致しました(石川県のようなOCR誤読の救済は不要でした)。座標も174件(100.0%)に付いており、住所と座標のPIPが食い違ったものは0件です。ただし同一座標に複数件が載る点が24組(最大3件)あり、閉局を地図に点で描くと同じ場所に重なります。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません(県内55店を除外)。位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(大分県は568店すべてに市区町村コードがあり、座標による補完は不要でした)。参考までに、九州厚生局の保険薬局名簿(令和8年7月1日現在)は大分県567軒で、本レポートの568軒との差は1軒(0.2%)です。
- 【小さい分母の市町村】薬局が8軒未満の市町村が3 あります(豊後高田市・九重町・玖珠町)。表・地図では注記を出してください。薬局0軒は姫島村1村です。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。大分県は中部・東部・南部・北部・西部・豊肥の6圏です。南部医療圏は佐伯市1市のみで構成されるため、圏内比較のページ(Lv2)は作れません。
- 【面積の使い方】面積はN03(国土数値情報 行政区域・2024年1月1日)のポリゴンから算出しました(県計6,342.0km²・国土地理院の公式値6340.76km²との差0.02%)。1軒あたり面積は「その市町村の面積÷薬局数」で、実際に住民が歩く距離ではありません。大分県は250mメッシュの人口基盤が未投入のため、千葉県版で出した「徒歩10分以内カバー率」は算出できません。投入されれば追加できます。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【他県との比較について】本文で他の都道府県に触れている箇所は、公開済みのLv1 JSONを生成時に読み直した値です(30都道府県)。ただし閉局の件数・率だけは、公開時の集計期間が県によって違うため、本レポートが同一の12ヶ月窓で数え直した値(clo_source_caveat)を使っています。
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