奈良県中和(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

同じ圏の中に、増える市と、もう増えない市がある

中和医療圏8市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 中和医療圏 8市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

中和医療圏は8の市町村からなり、薬局は158軒(奈良県内3位)。面積240.9km²は県土のわずか6.5%。圏内で薬局の重心どうしがいちばん離れている2市町村でも13.0kmです。それでも、薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)は御所市の-31.8%から香芝市の+22.2%まで54.0ポイント開きます。奈良県の5医療圏どうしの落差(33.7ポイント)より大きい差が、この狭い圏の中にあります。

8
中和医療圏の市町村
158
圏内の薬局数
9/10
廃止届のうち移転・承継だったもの
-32〜+22%
経営体力の変化レンジ(市町村差)

中和医療圏は、橿原市(薬局66軒=圏内の41.8%)を中心に、大和高田市・葛城市・香芝市などが並ぶ、奈良盆地の南半分です。人口は35.7万→29.4万人(-17.8%)と減りますが、65歳以上は11.0万→11.8万人(+6.9%)と増える側で、その伸びは奈良県5医療圏で最大です。ところが中を割ると景色が変わります。御所市は65歳以上人口が-27.1%減り、高齢化率は45.0%→56.3%。経営体力は-31.8%です。いっぽう香芝市は65歳以上が+30.6%増え、経営体力は+22.2%。この2つの市は、薬局の重心どうしで9.5kmしか離れていません。薬局のある7市町村のうち3市町村がマイナス側、3市町村は65歳以上人口がすでに2025年でピークを過ぎています。そして明日香村には、薬局が1軒もありません。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届10件のうち9件が移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは1軒(0.63%)でした。引き継がれなかった割合10.0%は奈良県5医療圏で最も低く、廃止届が出ても担い手が見つかっている圏域だと読めます。ただし10件という規模の話であり、1件動けば10.0ポイント動く数字です。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が72.7%と県平均(69.6%)を上回り、5医療圏で2位です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが御所市(-31.8%)、いちばん緑なのが香芝市(+22.2%)で、同じ中和医療圏の中に54.0ポイントの開きがあります。明日香村は薬局が0軒のため色がつきません。

御所市:薬局8/1軒あたり処方せん -31.8%御所市高取町:薬局3/1軒あたり処方せん -23.3%大和高田市:薬局27/1軒あたり処方せん -7.1%高田市橿原市:薬局66/1軒あたり処方せん +0.9%橿原市葛城市:薬局12/1軒あたり処方せん +2.2%葛城市広陵町:薬局7/1軒あたり処方せん +8.7%広陵町香芝市:薬局35/1軒あたり処方せん +22.2%香芝市明日香村:薬局なし日香村
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-32%)増える(+22%)
薬局なし(明日香村)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源中和医療圏は「圏としては増える。市町村では割れる」

なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中和医療圏全体では、総人口は35.7万→29.4万人(-17.8%)と減り、65歳以上は11.0万→11.8万人(+6.9%)と増えます。高齢化率は30.9%→40.1%へ。65歳以上のピークは2040年です。ただし圏内8市町村のうち3市町村ではそのピークがすでに2025年——これから減っていく局面に入っています。高齢化率の高いほうは御所市の45.0%、低いほうは香芝市の25.1%で、2045年にはそれぞれ56.3%・35.4%になります。65歳以上人口が2045年までに減る市町村は4あります。

総人口65歳以上
0万10万20万30万40万20252030203520402045205028万11万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年まで一貫して減り、65歳以上は2040年にピークを迎えます。

徒歩アクセス ── 250mメッシュで測る圏内で徒歩10分以内に薬局がある人は82.7%

250mメッシュの人口(357,201人ぶん)から、いちばん近い薬局までの直線距離を測りました(市町村の境は越えてよい)。中和医療圏で徒歩10分以内に薬局がある人は82.7%で、奈良県平均(82.6%)とほぼ同じ。20分以内なら96.1%になります。市町村別では大和高田市の91.9%から明日香村の1.6%まで開きます。薬局0軒の明日香村は10分圏が1.6%ですが、20分まで広げると58.7%まで戻り、住民の半分は17.9分の距離にいます。村内に薬局が無くても、圏内の他の市町の薬局が近いためです。同じ「薬局0軒の村」でも、県南部(南和医療圏)の村が30分歩いても0%なのとは事情が違います。なお「徒歩◯分」は直線距離を分速80mで割ったものさしで、道路網・標高・公共交通は考慮していません。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届10件のうち、9件は引き継がれた

直近12ヶ月(2025-05-01〜2026-04-30)に中和医療圏で出された薬局の廃止届は10件。うち9件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いています(大和高田市・橿原市・葛城市・香芝市)。そのまま消えたのは1軒で、橿原市の1件でした。引き継がれなかった割合は10.0%——奈良県5医療圏で最も低い水準です。薬局が少ない高取町・広陵町では、この12ヶ月に廃止届そのものが出ていません。件数が小さいので、来年も同じ比率になるとは限りません。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

御所市(-31.8%)から香芝市(+22.2%)まで54.0ポイントの開き。マイナスは3市町村です。なお高取町・広陵町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。明日香村は薬局0軒のため、1軒あたりの値そのものが計算できません。

御所市
-31.8%
高取町
-23.3%
大和高田市
-7.1%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
葛城市
+2.2%
広陵町
+8.7%
香芝市
+22.2%
薬局0の自治体(明日香村)はランキング対象外です

くわしい数字8市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
橿原市6630.5%11,014 → 11,117+0.9%
香芝市3525.1%11,328 → 13,843+22.2%
大和高田市2734.6%15,154 → 14,076-7.1%
葛城市1228.5%17,622 → 18,009+2.2%
御所市845.0%24,690 → 16,841-31.8%
広陵町728.3%27,468 → 29,844+8.7%
高取町344.0%18,484 → 14,185-23.3%
明日香村044.0%薬局なし

※処方せん需要は中和医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 奈良県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 中和医療圏(このページ・Lv2)=8市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】中和医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,232,625枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたもので、どこの薬局で調剤されたかではありません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(奈良県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に106.9)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(中和医療圏で1件)。廃止届は全部で10件出ていますが、そのうち9件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。奈良県分の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
  • 【閉局の件数が小さいこと】中和医療圏の12ヶ月の廃止届は10件、真の閉局は1件です。承継率・閉局率は1件で10.0ポイント動くので、年ごとの振れが大きい指標としてお読みください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
  • 【薬局0軒の市町村】明日香村には薬局がありません(GMISと近畿厚生局の保険薬局一覧の両方で0軒を確認)。1軒あたりの指標は計算できないため、表・地図では空欄になります。「近くに薬局が無い」ことと「薬が手に入らない」ことは同じではありません(院内処方・隣接市町村の薬局・オンライン服薬指導などは見えていません)。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある143店を分母にしています(圏内全158店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩アクセスの測り方】250m実メッシュの人口から最寄りの調剤薬局までの直線距離を測り、分速80m(時速4.8km)で分に換算したものです。道路網・標高・公共交通は考慮していません。市町村の境をまたいだ最寄り薬局を認めています(METHODS §4)。市内の薬局だけを候補にした参考値は各市町村の cov10_city_only_pct に入れてあり、主表示より下がります(境の薬局にどれだけ頼っているかの目安)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】高取町・広陵町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタに従っています。御所市(旧・南和)と広陵町(旧・西和)は、以前の内部データでは別の医療圏に割り当てられていました。本レポートはマスタ側を正としています。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。

この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。

登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン

Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。

お仕事のご依頼

自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

お問い合わせ →