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CrossHealth / 薬局持久度レポート
同じ10軒の市と町が、正反対を向いている
大北医療圏5市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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大北医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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大北医療圏の薬局27軒のうち、大町市と池田町が10軒ずつを分け合っています。同じ軒数でも中身は正反対で、大町市は1軒あたり56.5km²・経営体力-8.1%、池田町は4.0km²・+8.6%。圏全体では65歳以上人口がすでにピークを過ぎ(2025年)、-8.4%と減っていきます。
大北医療圏は5市町村・薬局27軒。暦年2025の廃止届は1件(移転・承継1件)で、4年(2022〜2025)に広げても真の閉局は0件——県内10医療圏でここだけです。ただし「動きがない」ことは安心材料とは限りません。圏の65歳以上人口は2025年がピークで、2045年までに-8.4%減。総人口は-26.2%減ります。圏内の対比が鮮明です。大町市は面積が広く(1軒あたり56.5km²)、65歳以上人口が-15.8%と減り、経営体力-8.1%。池田町は平地に10軒が密集し(1軒あたり4.0km²)、1軒あたり処方せん5,714枚は圏内で最も小さいものの、経営体力は+8.6%とプラス側です。小谷村には薬局がなく、65歳以上人口は-25.7%減——圏の北端に、供給の空白と需要の縮小が重なっています。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが大町市(-8.1%)、いちばん緑なのが松川村(+12.8%)で、同じ大北医療圏の中に20.9ポイントの開きがあります。小谷村は薬局が0軒のため1軒あたりの数値が計算できず、色がつきません。
距離 ── この圏域のかたち薬局1軒がかかえる面積は、池田町と白馬村で15.2倍ちがう
大北医療圏の面積は1,102.4km²(県内7位)、薬局1軒あたり40.8km²は県内2位の広さです(県平均13.4km²)。市町村別では池田町の4.0km²から白馬村の60.8km²まで開きます。いっぽう薬局1軒あたりの人口は圏全体で1,935人(県平均1,951人)。薬局のない1自治体には2,330人(うち65歳以上894人)が住み、面積では圏の24.3%を占めます。その住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する市町の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。面積は道路網・公共交通・冬期の通行止めを含まない幾何の指標です。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は29.4%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、大北医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は29.4%(県全体54.4%)、20分圏で59.3%です。徒歩10分圏の外には36,876人が住んでいます。市町村別では池田町の44.9%から小谷村の0.0%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。冬期の通行止め・公共交通は含みません。
人口動態 ── 需要の源大北医療圏の65歳以上人口はもう減っていく
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。大北医療圏全体では、総人口は5.2万→3.9万人(-26.2%)と減り、65歳以上は2.0万→1.8万人(-8.4%)と減ります。高齢化率は38.6%→47.9%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内5市町村のうち2市町村でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町村は4あります。
医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
この圏域を名指しした記述は、収録済みの計画本文からは見つかりませんでした。
4年の推移この圏域で、4年間に閉じた薬局と、引き継がれた薬局
長野県は廃止名簿が2022年から連続してそろうため、暦年で4年ぶんを並べられます。大北医療圏の真の閉局は0件→0件→0件→0件、移転・承継は0件→0件→3件→1件でした。4年合計では真の閉局0件・移転承継4件、薬局27軒に対する年平均の真の閉局率は0.0%になります。注意が要るのは承継側です。暦年2025の移転・承継1件のうち1件は、県全体で特定の日にまとまって出た法人単位の一斉付け替えの一部で、個々の薬局の代替わりが活発だったという意味ではありません。1年ぶんだけを見ると数件の差で印象が変わってしまう規模なので、単年の数字は幅をもって読んでください。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
大町市(-8.1%)から松川村(+12.8%)まで。ただし圏全体の65歳以上人口が-8.4%減るため、プラス側も「圏内で相対的にまし」という意味です(松川村の65歳以上は+3.3%)。なお白馬村・松川村は薬局8軒未満のため1軒あたりの数値は振れやすく、小谷村は薬局0軒のため空欄です。
くわしい数字5市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 大町市 | 10 | 40.7% | 16,305 → 14,992 | -8.1% |
| 池田町 | 10 | 39.9% | 5,714 → 6,206 | +8.6% |
| 松川村 | 4 | 35.6% | 13,732 → 15,488 | +12.8% |
| 白馬村 | 3 | 34.5% | 15,745 → 17,084 | +8.5% |
| 小谷村 | 0 | 38.4% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は大北医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 長野県(ひとつ上・Lv1)=10の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 大北医療圏(このページ・Lv2)=5市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。大北医療圏にいまある27軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.00です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-26.2%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は96.4%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。大北医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は28軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 27軒=96.4%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 17軒=60.7%、在宅薬学総合体制加算 9軒=32.1%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 22軒=78.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回60.7%/これまで66.7%(差-6.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回96.4%/これまで44.4%(差+52.0ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回32.1%/これまで44.4%(差-12.3ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】大北医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間337,306枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(長野県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に91.6)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(大北医療圏で0件)。廃止届は全部で1件出ていますが、そのうち1件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は暦年2025(暦年2025年(1〜12月))です。名簿が2022年から連続してそろうため、暦年2022〜2025の4年ぶんも clo_multiyear に持っています。件数は生成時点の名簿によるもので、掲載遅れにより今後も増える可能性があります。
- 【廃止届の総数を閉局と読まないでください】長野県全体では、廃止届の80.5%が移転・承継で、しかもその大半が特定の日にまとまって出た法人単位の一斉付け替えです(Lv1の注記を参照)。この圏域でも、暦年2025の移転・承継1件のうち1件がこの一斉付け替えに当たります(clo_relo_bulk_2025 として別に保持)。承継の件数を「地域で代替わりが活発」と読まないでください。
- 【面積の指標について】面積は国土数値情報の行政区域ポリゴンから計算した幾何の値です。道路網・公共交通・冬期の通行止め・地形の起伏はまったく含みません。「薬局1軒あたり40.8km²」は距離のものさしであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
- 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率29.4%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・冬期条件で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全27店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【小さすぎる分母】白馬村・松川村は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局1〜2軒の自治体では届け出るかどうかで0%か100%かに振れます。
- 【薬局が0軒の自治体】小谷村には薬局がありません(長野県の13市町村のうち1がこの圏域)。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。住民が薬局を使っていないという意味ではなく、隣接する自治体の薬局を利用していると考えられますが、本レポートはその越境利用を推計していません。なお薬局の有無は薬局機能情報提供制度(GMIS)由来の名簿によるもので、厚生局の保険薬局一覧との突き合わせは行っていません。
- 【按分が閉じません】薬局が0軒の市町村があるため、市町村別の1軒あたり処方せんに薬局数を掛けて足し戻しても、圏の実績には届きません(95.57%までしか閉じず、残り4.43%は薬局が1軒もない自治体に住む方のぶんです)。その処方せんは実際には隣接する市町の薬局が受けていると考えられますが、居住地ベースの按分ではどこに出ているか特定できません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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大北医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。
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