茨城県 › 取手・竜ヶ崎(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
同じ圏の中に、増える市と、薬局のない町があります
取手・竜ヶ崎医療圏9市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
取手・竜ヶ崎医療圏は利根川ぞいの9市町村からなり、これは茨城県9医療圏でもっとも自治体数の多い圏域です。薬局は208軒(県内の15.2%・県内2位)。圏全体では65歳以上人口が+4.1%で、茨城県9医療圏のなかでは真ん中——県平均(+5.0%)とほぼ同じに見えます。ところが圏内を割ると、経営体力の変化は利根町(-28.4%)から守谷市(+26.9%)まで55.3ポイント——茨城県9医療圏どうしの落差38.2ポイントよりも大きく開いています。しかもこの圏には、薬局が1軒も無い町(河内町)が含まれます。茨城県で薬局ゼロの自治体があるのは、この圏だけです。
取手・竜ヶ崎医療圏は、性格の違う3つの地域が1つの圏になっています。ひとつめは、つくばエクスプレスと常磐線でひらけた北西側。守谷市は高齢化率24.7%→30.2%と圏内でいちばん低く、総人口も+8.1%——茨城県44市町村のなかで総人口が増える数少ない自治体のひとつです。65歳以上人口のピークは2050年=推計期間の最後まで増え続けます。経営体力+26.9%は圏内で唯一の2桁プラスです。ふたつめが、利根川ぞいの南東側。利根町は高齢化率47.1%→55.3%、総人口-36.5%、65歳以上人口も-25.4%で、ピークは2025年=すでに減少局面です。経営体力-28.4%は圏内最下位。そのとなりの河内町には、薬局が1軒もありません(高齢化率43.0%→56.2%、総人口-38.8%は圏内でもっとも大きな減り方)。みっつめが、常磐線ぞいの旧ベッドタウン(取手市・龍ケ崎市・牛久市)です。この3市に圏内の薬局130軒(圏内の62.5%)が集まっています。なかでも取手市は薬局44軒を抱えながら、65歳以上人口のピークが2025年=すでに過ぎており、総人口は101,460→82,627人(-18.6%)。「都市だからこれから増える」とはかぎらない、という例です。圏内9市町村のうち、65歳以上人口のピークをすでに過ぎているのは4市町村(利根町・稲敷市・取手市・河内町)。2045年までに65歳以上人口が実際に減るのは5市町村(利根町・稲敷市・美浦村・取手市・河内町)で、残り4市町村では増えます。閉局の面では、暦年2025にこの圏で出た廃止届は17件。ただしそのうち14件が2025年4月30日という同じ1日で、これは複数県にまたがる法人再編で機関コードが一斉に付け替わったものです。一斉分を除くと廃止届は3件しか残らず、その3件はすべて真の閉局でした(引き継がれなかった割合は見かけ上17.6%、一斉分を除くと100.0%)。件数が小さいので、4年ぶん(2022〜2025年)で見ると廃止届39件・真の閉局9件(薬局208軒の4.33%)です。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が64.9%で県平均(63.8%)をわずかに上回り、在宅の届出率52.9%は9医療圏で1位=県内最高です。圏内では稲敷市の40.0%から阿見町の86.4%まで開いており、在宅がいちばん厚いのは高齢化率が圏内で2番目に低い阿見町です。「高齢化が進んだ町ほど在宅が厚い」わけではありません。届出は自己申告で、届出=実際の提供ではありません。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが利根町(-28.4%)、いちばん緑なのが守谷市(+26.9%)です。河内町は薬局が0軒なので色をつけていません(1軒あたりの数字が定義できないため)。利根町は薬局4軒、美浦村は5軒で、1店の開廃で数字がまるごと動きます。
人口動態 ── 需要の源取手・竜ヶ崎医療圏は「人は減るが、お年寄りは少し増える」
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。取手・竜ヶ崎医療圏全体では、総人口が44.9万→38.8万人(-13.6%)と減る一方、65歳以上は14.7万→15.3万人(+4.1%)と少し増えます。高齢化率は32.7%→39.4%。圏の65歳以上のピークは2045年です。圏内9市町村のうち、そのピークをすでに過ぎているのは4市町村(利根町・稲敷市・取手市・河内町)。高齢化率が圏内で最も高いのは利根町の47.1%で、2045年には55.3%——住民の2人に1人以上が65歳以上になります。逆に最も低い守谷市は24.7%で、2045年でも30.2%。同じ医療圏の中に、高齢化率で22.4ポイントの差があります。総人口が2045年までに増えるのは1市町村(守谷市)だけです。
広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、市町村で20.6倍違う
取手・竜ヶ崎医療圏の面積は656km²で、薬局208軒で割ると1軒あたり3.2km²。ただし守谷市は1.0km²、稲敷市は20.6km²と20.6倍の開きがあります。そして河内町(44km²・人口7,404人)には薬局が0軒なので、この指標そのものが計算できません。住民は隣接する市町の薬局を使っていることになりますが、その越境の量はこのレポートでは測れていません。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路・公共交通・利根川という川の存在は含みません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、茨城県分のメッシュが未投入のため出せていません。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
利根町(-28.4%)から守谷市(+26.9%)まで55.3ポイントの開き。マイナスは4市町村です。薬局8軒以上の6市町村に限っても48.4ポイント開き、これは茨城県9医療圏のなかでいちばん大きい落差です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏そのものが茨城県のなかでは微増側にいるため、絶対量では守谷市の+26.9%が65歳以上人口では+32.1%、利根町は-25.4%となります(絶対量の落差は57.5ポイント)。現在の1軒あたり処方せんは守谷市の8,860枚から利根町の31,647枚まで3.57倍。薬局8軒以上の6市町村に限ると8,860〜27,696枚(3.13倍)です。1軒あたり処方せんと経営体力の変化の順位相関は-0.929で、いま1軒あたりが厚い市町村ほど、これから細る側にいます。
くわしい数字9市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 取手市 | 44 | 35.9% | 15,616 → 14,178 | -9.2% |
| 牛久市 | 44 | 31.1% | 10,988 → 12,137 | +10.5% |
| 龍ケ崎市 | 42 | 32.0% | 10,706 → 11,171 | +4.3% |
| 守谷市 | 37 | 24.7% | 8,860 → 11,242 | +26.9% |
| 阿見町 | 22 | 28.0% | 12,084 → 13,179 | +9.1% |
| 稲敷市 | 10 | 41.8% | 27,696 → 21,734 | -21.5% |
| 美浦村 | 5 | 35.4% | 18,166 → 16,232 | -10.6% |
| 利根町 | 4 | 47.1% | 31,647 → 22,674 | -28.4% |
| 河内町 | 0 | 43.0% | 薬局なし | ― |
※処方せん需要は取手・竜ヶ崎医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。河内町は薬局0軒のため1軒あたりの値がありません。閉局は暦年2025(移転・承継を除く)で、廃止届には2025年4月30日の一斉承継14件が含まれます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 茨城県(ひとつ上・Lv1)=9の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 取手・竜ヶ崎医療圏(このページ・Lv2)=9市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【★2025年4月30日の一斉承継】暦年2025にこの圏で出た廃止届17件のうち14件(82.4%)は、廃止日が2025年4月30日の同じ1日に集中しています。同じ日付の廃止届は関東信越10都県で計164件出ており、1件1件の事業承継ではなく、複数県にまたがる法人の再編で機関コードが一斉に付け替わったものと読むのが自然です。このため『引き継がれなかった割合』は、一斉分を含めると17.6%、除くと100.0%(残る3件がすべて真の閉局)と大きく変わります。この圏は茨城県内で一斉承継の影響がいちばん大きい圏域なので、承継の話をするときは必ず一斉分を除いた列をご覧ください。
- 【閉局は同じ厚生局ブロックの中でだけ比べる】茨城県は関東信越厚生局の管内で、栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野と同じ名簿・同じ数え方です。東海北陸厚生局の県(静岡・愛知・岐阜・三重・富山・石川)は原本が画像PDFのOCR由来で件数が下限値なので、並べてはいけません。
- 【圏内の市町村を見るときは4年窓】暦年2025ではこの圏の真の閉局が3件しかなく、市町村の単位では率になりません。4年窓(暦年2022〜2025(4年))では真の閉局9件・廃止届39件(薬局208軒の4.33%)です。それでも市町村どうしの閉局率の比較には足りません。埼玉県版で分かったとおり、単年の順位はその地域の性質ではありません。
- 【処方せんの推計方法】取手・竜ヶ崎医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,768,336枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局0軒の河内町があるため、市町村別の値を足し戻すと圏の実績には97.8%までしか閉じません(河内町に按分されるぶん=2.2%がどの薬局にも割り当たらない)。これは計算誤差ではなく、『住民はいるが薬局が無い』という事実そのものです。また按分は居住地ベースなので、河内町の住民が隣の市町の薬局を使っている流れや、圏をまたぐ受診(東京・千葉方面への通勤ついでの受診など)は映していません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(茨城県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に104.1)。絶対量(65歳以上人口の変化)は各市町村の chg_abs に入れてあり、相対値と最大で5.2ポイントずれます。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(取手・竜ヶ崎医療圏で暦年2025に3件)。廃止届は全部で17件出ていますが、そのうち14件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(さらにそのうち14件は上記の一斉承継です)。集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)で、大阪府・千葉県・埼玉県・東京都と同じ期間です。一斉承継の日を含まない直近12ヶ月(直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月))では、この圏の廃止届は5件・真の閉局5件です。
- 【市町村ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は暦年2025で3件、廃止届も17件しかありません。4市町村では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市町村どうしの閉局率の比較はできません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。取手・竜ヶ崎医療圏は208店すべてに申告があり、分母は薬局数と一致します(欠測0)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局4軒の利根町では、1店の届出の有無が届出率を25ポイント動かします。
- 【薬局が0軒・小さすぎる分母】河内町には薬局が1軒もありません(茨城県で唯一)。地図では色をつけず、1軒あたりの指標も出していません。また利根町4軒・美浦村5軒は薬局8軒未満です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の6市町村に限ると8,860〜27,696枚(3.13倍)、全市町村では8,860〜31,647枚(3.57倍)です。
- 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・地形は含みません。「薬局1軒あたり3.2km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、茨城県分のメッシュが未投入のため出せていません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが茨城県を学習していないため)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
この地図は今後も更新されます。あなたの地域の変化を見逃さないよう、無料会員登録でお知らせを受け取れます。
登録は無料・パスワード不要(メールに確認リンクが届きます)。登録済みの方はログイン
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
お問い合わせ →