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CrossHealth / 薬局持久度レポート
5市町すべてが、もうピークを過ぎている
但馬医療圏5市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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但馬医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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但馬医療圏では、65歳以上人口のピークが5市町すべてですでに2025年=これから高齢者も減っていく圏域です。2045年までに65歳以上は-14.8%——県内8医療圏で最大の縮小です。1軒あたり処方せん11,300枚、かかりつけ届出率65.1%、在宅41.0%はいずれも県内で最も低く、需要の先行きと機能の薄さが重なっています。それでもこの12ヶ月にそのまま消えた薬局は1軒でした。
但馬医療圏は5市町・薬局84軒。豊岡市の45軒が圏の53.6%を占め、香美町と新温泉町は3軒ずつです。徒歩10分圏カバー率(直線近似)は圏全体で37.2%。新温泉町の11.2%は県内49市区町で最も低く、薬局までの距離が県内でいちばん遠い暮らしがここにあります。需要の縮小は圏内で一様ではなく、65歳以上人口は豊岡市の-9.0%から香美町の-25.9%まで開きます。1軒あたり処方せんは朝来市9,063枚・豊岡市9,728枚と、県平均(13,628枚)を大きく下回ります。閉局・承継の動きはこの12ヶ月でほぼありません(真の閉局は豊岡市の1件、移転・承継は朝来市の1件のみ)。ただし「動きが少ない」ことは安心材料とは限りません。薬局3軒の町では、1軒の閉局がそのまま地域のアクセスを左右します。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが香美町(-13.0%)、いちばん緑なのが豊岡市(+6.9%)で、同じ但馬医療圏の中に19.9ポイントの開きがあります。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は37.2%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、但馬医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は37.2%(県全体80.8%・8医療圏中7位)、20分圏で54.2%です。徒歩10分圏の外には90,600人が住んでいます。市町別では豊岡市の48.5%から新温泉町の11.2%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。
人口動態 ── 需要の源但馬医療圏の65歳以上人口はもう減っていく
なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。但馬医療圏全体では、総人口は14.4万→10.1万人(-29.8%)と減り、65歳以上は5.7万→4.8万人(-14.8%)と減ります。高齢化率は39.3%→47.7%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内5市町のうち5つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町は5あります。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
「また、南部を横断する山々は1,000m級のものもあり、但馬地域は厳しい日本海気候の地域である。」
「(市町)(5)在宅医療に必要な連携を担う拠点や市町が実施する在宅医療介護連携会議等に医師会、各病院、訪問看護が参加し、研修会、会議等の実施し、現状の課題や解決策を検討する。」
「また小児在宅人工呼吸器患者が一定いるものの、現時点で訪問診療される小児患者はいない。」
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
香美町(-13.0%)から豊岡市(+6.9%)まで19.9ポイント。ただし圏全体の需要が-14.8%減るため、プラス側の豊岡市・朝来市も「圏内で相対的にまし」という意味で、絶対量では需要が減ります(豊岡市の65歳以上は-9.0%)。なお香美町・新温泉町は薬局3軒のため、1軒あたりの数値は傾向としてのみお読みください。
くわしい数字5市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 豊岡市 | 45 | 36.5% | 9,728 → 10,395 | +6.9% |
| 朝来市 | 19 | 38.6% | 9,063 → 9,441 | +4.2% |
| 養父市 | 14 | 42.7% | 10,212 → 9,271 | -9.2% |
| 香美町 | 3 | 44.9% | 35,176 → 30,591 | -13.0% |
| 新温泉町 | 3 | 45.4% | 30,251 → 26,829 | -11.3% |
※処方せん需要は但馬医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 兵庫県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 但馬医療圏(このページ・Lv2)=5市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。但馬医療圏にいまある84軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.16です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-29.8%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は86.7%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。但馬医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は83軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 72軒=86.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 37軒=44.6%、在宅薬学総合体制加算 24軒=28.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 58軒=69.9%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回44.6%/これまで65.1%(差-20.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回86.7%/これまで32.5%(差+54.2ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回28.9%/これまで41.0%(差-12.1ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】但馬医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間949,204枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に85.2)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(但馬医療圏で1件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち1件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。兵庫県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
- 【件数は生成時点の値】名簿の掲載遅れ(廃止日から名簿に載るまで最大6ヶ月)により、この期間の件数は今後の号で増える可能性があります(2026年6月号までの名簿による値)。
- 【閉局の場所は届出住所で数えています】閉局の市区町への割当ては、座標ではなく廃止情報の届出住所(「届出上の所在地」)に基づきます。座標のジオコードには境界付近のずれがあり、県内で1件、住所と座標で医療圏が食い違う例がありました(県Lv1・この圏レポートとも届出住所ベースで統一して数えているため、階層間で件数はずれません)。
- 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率37.2%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある83店を分母にしています(圏内全84店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【同一屋号の一斉付け替え】県全体では、この12ヶ月の移転・承継99件のうち25件が、同一屋号の複数店舗(チェーン)の一斉付け替えでした。この圏域の移転・承継1件にこの一斉付け替えは含まれていません。それでも圏どうしで廃止届の件数を並べるときは、必ずこの点を確認してください。
- 【小さすぎる分母】香美町・新温泉町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様です。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
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