広島県 › 尾三(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
3つの市町すべてが、ピークを過ぎている
尾三医療圏3市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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尾三医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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尾三医療圏は、三原市・尾道市・世羅町の3市町からなる圏域です。薬局は152軒(県内3位)。構成3市町のすべてで、65歳以上人口のピークは2025年=すでに減少局面です。圏全体の65歳以上は-16.1%減ります。3市町のすべてで、65歳以上人口はすでにピークを過ぎています。
経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)で見ると、いちばん沈むのが世羅町(-10.3%)、いちばん伸びるのが三原市(+3.5%)で、その差は13.8ポイント。マイナス側は2市町です。ただしこれは圏内での取り分の話で、圏全体の65歳以上人口は-16.1%と減ります。相対的に伸びる三原市も、絶対量では-13.1%です。世羅町は高齢化率が現時点で44.8%(2045年には48.4%)と圏内で最も高く、総人口も-30.4%と圏内でもっとも減ります。薬局がいちばん多いのは尾道市の94軒で、圏内の61.8%を占めます(経営体力-1.0%)。いまの1軒あたり処方せんは、薬局8軒以上の市町で見ると尾道市の10,306枚から三原市の12,641枚まで開きます(薬局8軒未満の市町は1店の開廃で大きく振れるため、数値表のみに載せています)。閉局の面では、既定の集計期間(2025年6月〜2026年5月(直近12ヶ月・先頭1ヶ月は下限))に尾三医療圏で出た廃止届は7件。うち4件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは3軒でした。真の閉局3軒は2市町(尾道市・三原市)に出ています(件数のみ。市区町村単位の比率は語りません)。ただしこの件数は下限です。名簿の号の欠けにより既定窓の先頭1ヶ月は取りこぼしがあり、完全に埋まっている11ヶ月(2025年7月〜2026年5月(11ヶ月・完全))で数えると真の閉局は3軒・廃止届は6件です。しかも広島県は名簿の収録が1年ぶんしかなく、複数年の推移が作れません。1年の件数で圏どうしを順位づけして、それを地域の固定的な性質として読まないでください。廃止届が0件の市町を「安全」と読むこともできません。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが世羅町(-10.3%)、いちばん緑なのが三原市(+3.5%)で、同じ尾三医療圏の中に13.8ポイントの開きがあります。
距離 ── 島しょ部を含む圏域尾道市・三原市は、瀬戸内の島を含みます
尾三医療圏の面積は1,035km²、薬局1軒あたり6.8km²です(広い順に県内4位)。市町別では尾道市の3.0km²から世羅町の46.4km²まで開きます。尾道市・三原市は瀬戸内の島しょ部を含み、橋で結ばれた島と航路のみの島の両方があります。面積や直線距離の数字は、海・橋・航路の事情を含みません。ただしこの数字は陸地の広さにすぎない幾何の指標です。道路の形も、移動の所要時間も、海も含みません。「1軒あたり◯km²」を「歩ける距離」と読み替えないでください。徒歩圏の目安は次の節で、直線近似と明記したうえで出しています。
徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は54.1%(直線近似)
250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、尾三医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は54.1%(広島県全体70.6%)、20分圏で73.2%です。徒歩10分圏の外には101,302人が住んでいます。市町別では尾道市の57.0%から世羅町の27.2%まで開きます。尾道市・三原市の島しょ部でも直線は海をまたぎます。島ごとの検証は行っていないため、島しょ部の値は目安にとどめてください。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通・航路・坂は含みません。
人口動態 ── 需要の源尾三医療圏は「人も減り、お年寄りも減る」
なぜ市町ごとに明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。尾三医療圏全体では、総人口は22.1万→16.5万人(-25.1%)、65歳以上は8.4万→7.1万人(-16.1%)と推移します。高齢化率は38.1%→42.7%。65歳以上のピークは圏全体で2025年——つまり起点の年で、すでに減少局面です。圏内3市町のすべてで、65歳以上人口のピークは2025年(=すでに減少局面)です。広島県全体では65歳以上が+2.9%と増える推計ですから、この圏域は県の中で逆を向いています。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
「国通知により、第二種感染症指定医療機関における感染症病床は、二次保健医療圏ごとに設置する必要があることから、未設置となっている尾三医療圏については早急に整備する必要があります。」
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
世羅町(-10.3%)から三原市(+3.5%)まで13.8ポイントの開き。マイナスは2市町です。なお世羅町(薬局6軒)は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。
くわしい数字3市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 尾道市 | 94 | 37.5% | 10,306 → 10,206 | -1.0% |
| 三原市 | 52 | 38.0% | 12,641 → 13,081 | +3.5% |
| 世羅町 | 6 | 44.8% | 21,670 → 19,437 | -10.3% |
※処方せん需要は尾三医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率はGMIS(薬局機能情報提供制度)の自己申告に基づきます。薬局8軒未満の市町(世羅町)の1軒あたりの値・届出率は1店で大きく動くため、参考値です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 広島県(ひとつ上・Lv1)=7つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 尾三医療圏(このページ・Lv2)=3市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。尾三医療圏にいまある152軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.51です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-25.1%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は89.7%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。尾三医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は146軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 131軒=89.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 84軒=57.5%、在宅薬学総合体制加算 57軒=39.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 119軒=81.5%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回57.5%/これまで63.8%(差-6.3ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回89.7%/これまで40.1%(差+49.6ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回39.0%/これまで42.8%(差-3.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【この色は相対値】市区町村の色は圏内でのシェア移動です。県ページ(Lv1)の色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)で、意味が違います。
- 【処方せんの推計方法】尾三医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,756,134枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局0軒の市町が無いため、市町別の1軒あたり処方せんを足し戻すと圏のNDB実績に100.0%で閉じる。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(広島県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に83.9=実数としては減ります)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】中国四国厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の集計期間は2025年6月〜2026年5月(直近12ヶ月・先頭1ヶ月は下限)で、中国5県で統一した窓です。この期間の尾三医療圏の廃止届は7件・真の閉局は3件です。
- 【件数は下限です】名簿は2025年8月号〜2026年7月号の12号しか無く、既定窓の先頭(2025年6月)はカバー率86.3%=取りこぼしがあります。完全に埋まっている11ヶ月(2025年7月〜2026年5月(11ヶ月・完全))では真の閉局3件・廃止届6件です。さらに名簿の掲載遅れにより、生成時点(2026年7月号)より後に件数が増える可能性があります。
- 【多年の推移は作れません】名簿の収録が2025年8月号からのため、暦年の推移・複数年窓は広島県では原理的に作れません。単年の件数で圏や市区町村を順位づけして、地域の固定的な性質として読まないでください。廃止届が0件でも「安全」という意味ではありません。市区町村単位の閉局は件数のみを示し、比率は語りません。
- 【他の地方と閉局率を並べないでください】厚生局ごとに名簿の捕捉率が構造的に違います。比較は中国5県(鳥取・島根・岡山・広島・山口)の中だけで行っています。徳島県・高知県は名簿に1件も無く、これは構造的欠測であって「閉局が無い」という意味ではありません。
- 【徒歩圏カバー率は直線近似】徒歩分=直線距離×迂回係数1.3÷分速80mのフォールバック法で、OSRM実道路網による実測ではありません(access_method: fallback_haversine)。実測化すると数ポイント下がる傾向があります。最寄りは市区町村・医療圏の境界を越えて探しますが、県境は越えません。直線は瀬戸内の海をまたぎます——島しょ部では橋・航路の有無を反映しません。
- 【面積は幾何の指標】1軒あたり面積は行政区域ポリゴンの陸地の広さだけで、道路・公共交通・島と島を結ぶ航路・その便数・欠航を含みません。徒歩圏カバー率の代わりにはなりません。
- 【機能の届出はGMISの自己申告】かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は薬局機能情報提供制度の自己申告に基づきます。広島県は全店に機能情報があり欠測はありません(率が0%ならそれは実測です)。届出があることと実際の提供実績は別です。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【災害と数値の関係】豪雨・土砂災害などの被災やその復旧状況と、本レポートの人口推計・閉局件数とのあいだの因果関係は、当データからは判定できません。断定もしていません。
- 【小さすぎる分母】薬局8軒未満の市町(世羅町6軒)は、届出率も1軒あたり処方せんも1店で大きく動く。率の順位づけには使わないこと。
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薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。
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