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CrossHealth / 薬局持久度レポート
ひとつの医療圏の中に、県ぜんぶの落差が入っている
中濃医療圏13市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
中濃医療圏は13の市町村からなり(岐阜県内で最多)、薬局は161軒。面積2,454km²は県土の23.1%で、圏内で薬局の重心どうしがいちばん離れた2市町村は43.7km離れています。薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)は七宗町の-34.0%から美濃加茂市の+25.4%まで59.4ポイント開きます。岐阜県の5医療圏どうしの落差(22.6ポイント)の2.6倍が、この1つの圏の中にあります。
中濃医療圏は、可児市(薬局42軒=圏内の26.1%)と関市・美濃加茂市を中心に、長良川・飛騨川沿いの町村が北へ連なる圏域です。人口は35.1万→28.8万人(-17.8%)と減り、65歳以上は11.4万→11.4万人(+0.4%)でほぼ横ばい。圏の平均だけを見れば「変わらない」圏域に見えます。ところが中を割ると景色が変わります。七宗町は65歳以上人口が-33.7%減り、高齢化率は49.2%→57.5%。いっぽう美濃加茂市は65歳以上が+25.9%増え、高齢化率は24.4%→31.7%にとどまります。この2つの市町は薬局の重心どうしで18.2kmしか離れていません。薬局のある13市町村のうち9市町村がマイナス側、8市町村は65歳以上人口がすでに2025年でピークを過ぎています。広さも極端に違います。薬局1軒あたりの面積は可児市の2.1km²から白川町の118.9km²まで57.0倍。閉局の面では、4年間(2022-05-01〜2026-04-30)に出た廃止届9件のうち4件が移転・承継で、そのまま消えたのは5軒。引き継がれなかった割合55.6%は岐阜県5医療圏でいちばん高い値です。ただし9件という規模の話で、1件動けば11.1ポイント動きます。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が55.3%と県平均(59.0%)を下回り、5医療圏で4位です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが七宗町(-34.0%)、いちばん緑なのが美濃加茂市(+25.4%)で、同じ中濃医療圏の中に59.4ポイントの開きがあります。薬局1軒あたりの面積が広い市町村ほど赤くなる並びで、経営体力と広さの順位相関は-0.89。赤いのは北部の山あいの町村、緑なのは南部の可児市・美濃加茂市です。
人口動態 ── 需要の源中濃医療圏は「圏としては横ばい。市町村では割れる」
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中濃医療圏全体では、総人口は35.1万→28.8万人(-17.8%)と減り、65歳以上は11.4万→11.4万人(+0.4%)でほぼ横ばい。高齢化率は32.4%→39.6%へ。65歳以上のピークは2040年です。ただし圏内13市町村のうち8市町村ではそのピークがすでに2025年——これから減っていく局面に入っています。高齢化率の高いほうは白川町の50.7%、低いほうは美濃加茂市の24.4%で、2045年にはそれぞれ62.2%・31.7%になります。65歳以上人口が2045年までに減る市町村は9あります。
地理 ── 同じ圏の中に、都市と山がある薬局1軒あたりの面積が、圏内で57.0倍違う
中濃医療圏の面積は2,454km²で、岐阜県の23.1%を占めます(県内2位)。その中で薬局1軒あたりの面積は、可児市の2.1km²から白川町の118.9km²まで57.0倍の開きがあります(圏平均15.2km²)。いっぽう薬局1軒あたりの人口は1,534人〜7,885人。面積のほうが圧倒的に大きく開きます。つまりこの圏の中でも、薄いのは「1人あたりの軒数」ではなく「距離」です。薬局が8軒に満たない市町村は9あり(七宗町・白川町・東白川村・八百津町・美濃市・御嵩町・富加町・川辺町・坂祝町)、うち4町村は1軒だけです。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局4年間の廃止届9件のうち、そのまま消えたのは5件
薬局の廃止届のうち、新しい機関コードが記載されているものは移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。中濃医療圏は直近12ヶ月の廃止届が1件しかなく比較になりませんので、4年(2022-05-01〜2026-04-30)で数えました。廃止届9件のうち4件が移転・承継(郡上市・関市・美濃加茂市)、そのまま消えたのは5軒で郡上市・川辺町・関市・可児市に出ています。引き継がれなかった割合は55.6%で、岐阜県5医療圏でいちばん高い値です。薬局が少ない北部の町村では、この4年間に廃止届そのものが出ていません。件数が小さいので、次の4年も同じ比率になるとは限りません。また岐阜県を含む東海北陸ブロックの廃止名簿は画像PDFから起こしたもので、他ブロックより拾えている件数が少ないことが分かっています(同じ12ヶ月で薬局1軒あたりの廃止届は東海北陸6県が1.42〜2.65%、関東信越10県が2.67〜6.51%)。他の地方の県の数字と並べないでください(岐阜県内の医療圏どうしは同じ名簿なので比べられます)。
ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村
七宗町(-34.0%)から美濃加茂市(+25.4%)まで59.4ポイントの開き。マイナスは9市町村です。なお七宗町・白川町・東白川村・八百津町・美濃市・御嵩町・富加町・川辺町・坂祝町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。とくに薬局1軒の町村では、届出率は0%か100%にしかなりません。
くわしい数字13市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 可児市 | 42 | 29.5% | 13,385 → 14,786 | +10.5% |
| 関市 | 39 | 32.9% | 13,305 → 13,368 | +0.5% |
| 美濃加茂市 | 30 | 24.4% | 8,955 → 11,231 | +25.4% |
| 郡上市 | 23 | 40.4% | 11,982 → 10,130 | -15.5% |
| 美濃市 | 7 | 38.5% | 19,056 → 15,520 | -18.6% |
| 八百津町 | 5 | 43.0% | 15,540 → 12,079 | -22.3% |
| 御嵩町 | 5 | 34.2% | 22,233 → 20,658 | -7.1% |
| 川辺町 | 4 | 33.4% | 15,217 → 14,612 | -4.0% |
| 白川町 | 2 | 50.7% | 31,932 → 22,007 | -31.1% |
| 七宗町 | 1 | 49.2% | 28,444 → 18,784 | -34.0% |
| 東白川村 | 1 | 47.2% | 16,270 → 11,567 | -28.9% |
| 富加町 | 1 | 33.5% | 35,246 → 33,737 | -4.3% |
| 坂祝町 | 1 | 30.6% | 46,608 → 47,690 | +2.3% |
※処方せん需要は中濃医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 岐阜県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 中濃医療圏(このページ・Lv2)=13市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】中濃医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,198,863枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたもので、どこの薬局で調剤されたかではありません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(岐阜県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に100.4)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))では中濃医療圏の廃止届が1件しかなく率で語れないため、本文の承継の議論は4年(2022年5月〜2026年4月(4年))の値(廃止届9件・真の閉局5件)を使っています。4年ぶんの値を、他県の単年の値と並べないでください。
- 【★閉局データの限界】東海北陸厚生局の廃止名簿は画像PDF(OCR)から起こしたもので、他ブロックより拾えている件数が少ない可能性が高いことを確認しています。同じ12ヶ月窓で薬局1軒あたりの廃止届を数えると、東海北陸6県が1.42〜2.65%であるのに対し、関東信越10県は2.67〜6.51%、近畿6府県は3.48〜7.41%です。岐阜県の閉局率・承継率を、他の地方の都道府県と直接比べてはいけません。岐阜県内の医療圏どうしは同じ名簿なので比較できます。
- 【閉局の件数が小さいこと】中濃医療圏の4年間の廃止届は9件、真の閉局は5件です。承継率・閉局率は1件で11.1ポイント動くので、振れの大きい指標としてお読みください。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
- 【小さすぎる分母】七宗町・白川町・東白川村・八百津町・美濃市・御嵩町・富加町・川辺町・坂祝町は薬局数が8軒に満たない自治体です(9/13市町村)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。薬局1軒の町村では、機能の届出率は0%か100%にしかなりません。
- 【面積】国土数値情報の市区町村境界(2024年1月1日)から計算した値です(圏計2,454km²)。道路網・標高・公共交通は含みません。広さは「距離のものさし」であって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
- 【徒歩アクセスは出していません】250mメッシュ人口(mesh_backbone_250m)に岐阜県分がまだ入っていないため、千葉県・奈良県で出した「徒歩10分以内に薬局がある人の割合」は計算できません。投入されしだい追加します。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある161店を分母にしています(圏内全161店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。岐阜県は岐阜・西濃・中濃・東濃・飛騨の5圏です。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが岐阜県を学習していないため)。
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