千葉県山武長生夷隅(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

17の市町村が、同じ速さでは歳をとらない

山武長生夷隅医療圏17市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力・徒歩アクセスで見える化。地図の市町村をクリックすると、さらに詳しいレポートへ進めます。

対象 山武長生夷隅医療圏 17市町村期間 2025年 → 2050年概要版・無料

山武長生夷隅医療圏は17市町村からなる、千葉県でもっとも自治体数の多い圏域です。薬局は218店。そして12市町村では65歳以上人口のピークがすでに2025年に来ています。圏内の「経営体力」の開きは長南町(-23.6%)から一宮町(+22.0%)まで46ポイントあります(県内9圏域で2番目の広さ)。

17
山武長生夷隅医療圏の市町村
218
圏内の薬局数
6
2025年に閉じた薬局
-24〜+22%
経営体力の変化レンジ(市町村差)

山武長生夷隅医療圏は千葉県の外房側、17の市町村でできています。人口387,963人に対して薬局218店。高齢化率は38.8%で、県平均(28.3%)を大きく上回ります。この圏域を特徴づけるのは、もう高齢者すら増えないことです。65歳以上人口は150,590人でピークを打ち、2050年には133,180人(-11.6%)。処方の担い手ではなく受け手が減るので、圏内の処方せん需要もこれと同じだけ細ります。17市町村のうち12が、すでにその局面に入っています。けれど圏内は一様ではありません。茂原市・大網白里市・東金市・長生村・一宮町の5市町村——JR外房線・東金線と九十九里沿岸の北側——だけが2045年まで高齢人口の伸びを保ち、経営体力はプラス側(+9.4〜+22.0%)。いっぽう房総丘陵と長生の内陸側——長南町(-23.6%)を筆頭に勝浦市・大多喜町・睦沢町・長柄町——は、二けたのマイナスに沈みます。もうひとつ、この圏域の数字で見落とせないのが薬局の薄さです。17市町村のうち12が薬局8軒未満で、これは県内9圏域で群を抜きます(2番目に多い圏域でも3)。御宿町は薬局2軒に対し1軒あたりの処方せんが27,530枚と圏内で最も重く、これは「儲かっている」のではなく担い手が足りないという意味です。徒歩10分以内に薬局がある人の割合は圏全体で51.7%——県平均87.3%に対して大きく低く、14市町村では50%を切ります。最も薄い長柄町は9.9%、最も厚い茂原市でも72.3%です。閉局も2025年に6軒(2.8%)と県内で高いほうに入ります。需要が細る地域で、1軒閉じることの重みが都市部とはまったく違うのが、この圏域です。

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが長南町(-23.6%)、いちばん緑なのが一宮町(+22.0%)で、同じ医療圏の中に46ポイントの開きがあります。

長南町:薬局4/1軒あたり処方せん -23.6%勝浦市:薬局7/1軒あたり処方せん -19.1%勝浦市大多喜町:薬局6/1軒あたり処方せん -19.1%睦沢町:薬局3/1軒あたり処方せん -16.1%長柄町:薬局2/1軒あたり処方せん -14.2%九十九里町:薬局6/1軒あたり処方せん -13.3%白子町:薬局6/1軒あたり処方せん -11.5%いすみ市:薬局21/1軒あたり処方せん -9.2%すみ市横芝光町:薬局7/1軒あたり処方せん -8.1%山武市:薬局25/1軒あたり処方せん -4.6%(クリックで詳細)山武市御宿町:薬局2/1軒あたり処方せん -4.5%芝山町:薬局4/1軒あたり処方せん -2.5%茂原市:薬局63/1軒あたり処方せん +9.4%茂原市大網白里市:薬局21/1軒あたり処方せん +9.8%白里市東金市:薬局31/1軒あたり処方せん +11.4%東金市長生村:薬局5/1軒あたり処方せん +12.4%一宮町:薬局5/1軒あたり処方せん +22.0%
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-24%)増える(+22%)
市町村そのものの形で塗り分けています。山武市(点線枠)はクリックで市区町村詳細版(有料)に進めます。

徒歩アクセス ── 歩いて行けるか圏内14市町村では、住民の半分以上が薬局まで徒歩10分より遠い

250mメッシュで最寄り薬局までの徒歩分数を計算すると、山武長生夷隅医療圏で徒歩10分以内に住む人は51.7%。県平均の87.3%を大きく下回り、187,513人が圏外です。市町村別では長柄町の9.9%から茂原市の72.3%まで開きます。

人口動態 ── 需要の源山武長生夷隅医療圏は「高齢者の数がもう増えない」圏域

総人口は387,963→272,947人(-29.6%)、65歳以上は150,590→133,180人(-11.6%)。高齢化率は38.8%→48.8%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、分子(高齢者)は減っています。65歳以上人口のピークは2025年、つまりいまです。

総人口65歳以上
0万10万20万30万40万20252030203520402045205027万13万
実データ(社人研 2023年推計)。17市町村のうち12で65歳以上人口のピークが2025年。

ランキング ── 市町村差17市町村データ一覧

市町村ごとの経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)を並べたものです。

長南町
-23.6%
勝浦市
-19.1%
大多喜町
-19.1%
睦沢町
-16.1%
長柄町
-14.2%
九十九里町
-13.3%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
東金市
+11.4%
長生村
+12.4%
一宮町
+22.0%
市町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
茂原市6335.6%7,469 → 8,170+9.4%
東金市3132.5%9,368 → 10,437+11.4%
山武市2539.8%11,337 → 10,819-4.6%
いすみ市2145.8%11,117 → 10,093-9.2%
大網白里市2135.9%12,684 → 13,923+9.8%
勝浦市746.3%15,924 → 12,886-19.1%
横芝光町739.6%18,416 → 16,924-8.1%
大多喜町647.0%9,956 → 8,053-19.1%
九十九里町644.1%15,467 → 13,416-13.3%
白子町643.3%10,913 → 9,659-11.5%
長生村536.4%14,903 → 16,750+12.4%
一宮町534.2%12,795 → 15,615+22.0%
長南町449.5%12,639 → 9,658-23.6%
芝山町440.7%10,478 → 10,221-2.5%
睦沢町343.9%14,640 → 12,284-16.1%
長柄町248.8%23,682 → 20,314-14.2%
御宿町254.0%27,530 → 26,301-4.5%

※処方せん需要は山武長生夷隅医療圏全体の実績(NDB 2023年・年間2,379,903枚)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 千葉県(ひとつ上・Lv1)=9つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 山武長生夷隅医療圏(このページ・Lv2)=17市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 山武市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・徒歩アクセス・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き、そして徒歩でのアクセスです。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は潰れる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断もしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】山武長生夷隅医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,379,903枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。市町村別の実処方せんは公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは別で、この圏域は2025年を100として2050年に88.4——つまり圏全体では-11.6%縮みます。表の「絶対量ベース」列(chg_abs)が、その地域の実数としての増減です。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。
  • 【閉局の数え方】関東信越厚生局の保険薬局「廃止」情報のうち、届出に新機関コード(=別のコードで事業が続く移転・承継)の記載がないものだけを「閉局」として数えています。2025年の千葉県は、廃止届115件のうち移転・承継が73件、閉局が42件でした。うち41件は住所から市区町村を特定でき、地域別の集計に使っています。残り1件は原資料の住所欄が読み取れず、県計にのみ含めています。※ 公開済みの大阪府版レポートは、この移転・承継を分けずに廃止届の全件を「閉局」として数えています。県をまたいで件数を比べるときはご注意ください。
  • 【徒歩アクセス】250mメッシュの人口(国勢調査ベースの将来人口メッシュ)ごとに、最寄りの調剤薬局までの直線距離を分速80m(時速4.8km)で割った近似です。実際の道路・坂・信号・バスは考慮していません。市区町村の境をまたいだ最寄り薬局も「近い」と数えています(郊外では市境をまたぐ通院がふつうのため)。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、調剤をしないドラッグストア専業は含みません。位置は届出座標にもとづき、国土数値情報の市区町村境界への点内判定で地域に割り当てています。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告にもとづき、申告データのある207店を分母にしています(対象218店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】長南町・勝浦市・大多喜町・睦沢町・長柄町・九十九里町・白子町・横芝光町・御宿町・芝山町・長生村・一宮町は薬局が8軒に満たない自治体です(17市町村中12)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。

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