生活保護基準の検証が本格始動、実態を反映する重み付けの導入や各種加算の新たな検証手法を提案
厚生労働省は、令和8年10月6日に第62回社会保障審議会生活保護基準部会を開催いたしました。
この部会では、生活扶助基準本体の体系検証や、各種加算の検証方法について専門的な議論が行われました。
具体的には、生活扶助基準本体の検証方針が確認されています。
さらに、児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助といった、特定の世帯や季節に応じた給付の検証方法が提案されました。
今回の会議は、今後の基準改定に向けた極めて重要な位置づけとなっています。
令和8年10月6日(火)17時00分~19時00分
於:AP虎ノ門11階A室
< 議 事 次 第 >
1. 開会
2. 議事
・生活扶助基準の体系の検証について
・児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助の検証方法について
3. 閉会
(議事次第.pdf, Page 1)
生活扶助基準本体の検証では、年齢や世帯人数、地域別の基準体系を評価するため、回帰分析が用いられます。
この回帰分析において、今回は新たに「集計用乗率」による重み付けを行うことが確認されました。
前回の令和4年検証においては、重み付けを行わない方法で推計が実施されていました。
しかし、今回は標本抽出方法に応じた集計用乗率を加味することで、より母集団の実態を踏まえた推計が可能になると判断されました。
分析には、令和6年全国家計構造調査の個別世帯データが使用されます。
対象範囲は、生活保護受給世帯を除いた、単身から5人世帯のうち年収階級が第1・十分位に属する低所得世帯です。
○ 回帰分析にあたって、全国家計構造調査の標本抽出方法に応じて設定された集計用乗率を加味して推計した方が、より母集団の実態を踏まえた推計になると考えられることから、集計用乗率による重み付けを行うこととする。
((資料1)生活扶助基準の体系の検証について.pdf, Page 3)
児童養育加算の検証方法については、こどもの貧困対策の観点から、学校外活動費に着目する方針が示されました。
具体的には、夫婦子1人世帯における低所得世帯と、中位所得層の支出の差を検証します。
これに加えて、低所得世帯とその近傍である第2・十分位の所得層との差も確認される予定です。
これにより、中位所得層における水準を参照することの妥当性を慎重に評価します。
分析対象となる学校外活動費には、補習教育や各種月謝、スポーツウェア、こづかいなどが含まれます。
さらに、文部科学省の子供の学習費調査も用いて、学校外活動費の支出分布を補足的に確認する計画です。
○ 児童養育加算については、こどもの貧困対策の観点から、こどもの健全育成に係る費用として学校外活動費(※)に着目し、夫婦子1人世帯における低所得世帯(第1・十分位)と中位所得層(第3・五分位)の差を検証する。併せて一般低所得世帯との均衡の観点から、低所得世帯(第1・十分位)とその近傍の所得層(第2・十分位)の差等も確認し、中位所得層における水準を参照することの妥当性を検証する。
((資料2)児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助の検証方法について.pdf, Page 6)
母子加算の検証においては、従来の検証手法の課題を踏まえ、新たな回帰分析モデルが提案されました。
これまでの体系検証に単純に倣う手法では、世帯人員のみのコントロールでは親とこどもの人数の双方を適切に調整できない懸念がありました。
また、ひとり親世帯の所得が低い傾向にあるため、かかり増し費用を適切に把握できない可能性も指摘されています。
これを解決するため、新たな提案では、被説明変数を「ひとり親相当に換算した生活扶助相当支出」といたしました。
さらに、所得水準の調整を行うため、説明変数に「世帯年収の対数」を追加する設計となっています。
この換算にあたっては、夫婦2人分の支出を夫婦の平均年齢に相当する1人分の支出に換算し、スケールメリットを2人世帯に調整する手法が用いられます。
○ 母子加算の検証は、手法①の懸念点を踏まえて、以下の回帰式を用いて検証してはどうか。
手法② ひとり親相当支出を用いた設定
①回帰分析の変数について
・ 被説明変数を、ひとり親相当の生活扶助相当支出とする。
(ひとり親相当への換算方法は次頁を参照。)
・ 世帯人員による調整は、子の人数を用いて行い、年齢による調整は行わないこととする。また、所得水準の調整のため、世帯年収の対数を設定する。
((資料2)児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助の検証方法について.pdf, Page 14)
今回の部会では、冬季加算や期末一時扶助の検証方法についても具体的な方針が提示されました。
これらの検証では、生活扶助基準本体の検証方法との整合性を考慮いたします。
具体的には、一般低所得世帯における10月から11月の平均支出額を基準とし、各月の支出額を比較する手法がとられます。
冬季加算については、冬季に支出が増加する費目の月別支出額を地区別に算出し、現行の加算額と比較します。
期末一時扶助については、12月に増加する支出額から冬季加算の対象費目を除外した上で、世帯人数別や級地別の較差を算出する計画です。
これらの検証結果に基づき、生活保護基準の改定に向けた議論が今後さらに進められる見通しです。
○ その際、生活扶助基準本体の検証方法との整合を考慮し、冬季及び夏季における季節需要の測定に当たっては、家計調査に基づき、一般低所得世帯における10~11月平均の支出額を基準として各月の支出額を比較することにより検証することとしてはどうか。
((資料2)児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助の検証方法について.pdf, Page 18)
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