CrossHealth / 薬局持久度レポート

高齢者はもう増えない。8つの医療圏のうち7つで

山口県8つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町まで下りたレポートへ進めます。

対象 山口県 8二次医療圏・19市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

山口県の調剤薬局は786軒。多くの県のレポートは「高齢化で処方せんの需要はこれから増える」という話から始まりますが、山口県はそうではありません。65歳以上の人口はすでに2025年がピークで、今後20年で-10.1%減っていきます。8つの医療圏のうち7圏で高齢者人口はすでに減少局面に入り、増えるのは山口・防府医療圏(+3.6%)だけ。いちばん縮む長門医療圏(-29.7%)との差は33.3ポイントあります。

8
山口県の二次医療圏
786
県内の薬局数
13
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-29.7〜+3.6%
処方せん需要の変化レンジ(圏域差)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。いちばん厳しいのが長門医療圏(-29.7%)、唯一増えるのが山口・防府医療圏(+3.6%)。医療圏をクリックすると、その中の市町差まで下りられます。

下関:薬局156軒/1軒あたり処方せん(→2045) -14.4%下関周南:薬局144軒/1軒あたり処方せん(→2045) -6.7%周南宇部・小野田:薬局159軒/1軒あたり処方せん(→2045) -10.9%(クリックで詳細)宇部・小野田山口・防府:薬局159軒/1軒あたり処方せん(→2045) +3.6%山口・防府岩国:薬局79軒/1軒あたり処方せん(→2045) -12.8%岩国柳井:薬局36軒/1軒あたり処方せん(→2045) -21.6%柳井萩:薬局31軒/1軒あたり処方せん(→2045) -28.2%長門:薬局22軒/1軒あたり処方せん(→2045) -29.7%長門
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
減る(-29.7%)増える(+3.6%)
医療圏そのものの形で塗り分けています。
Requestまだ公開されていない地域も、リクエストできます公開されたら、メールでお知らせします(無料)。 今すぐ必要な方は会員の優先生成へ。
Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。各ページの凡例に従ってお読みください。

人口動態 ── 需要の源「高齢化でこれから需要が増える」が、そのままでは通らない県

山口県の総人口は127万→99万人(-21.9%)。65歳以上人口も46万→41万人(-10.1%)と減ります。65歳以上の減り方は全国46位/47——秋田県に次ぐ大きさです(ただし3番目の県との差は0.01ポイント未満で、順位そのものに意味はありません)。高齢化率は36.0%→41.5%へ上がりますが、これは分母(総人口)がもっと速く減るからで、お年寄りの数そのものは増えません。65歳以上人口が2025年でピークを迎える医療圏は長門・萩・柳井・下関・岩国・宇部・小野田・周南の7圏で、ここにある薬局は627軒=県内の79.8%。つまり県内の薬局5軒のうち4軒が、もう「高齢者が増えない地域」に立っています。増える側は山口・防府医療圏だけで、ここは県庁所在地の山口市と防府市からなる圏域です。なお、全国47都道府県のうち65歳以上人口が2025年ですでにピークを迎えているのは20県あり、山口県だけが特別なわけではありません。薬局が1軒もない自治体は上関町(柳井医療圏)の1つです。

総人口65歳以上
0万32万65万98万130万20252030203520402045205093万39万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口・65歳以上人口とも2025年から右肩下がり。

県の文脈 ── 1軒あたりの処方せん1軒あたりは全国のほぼ真ん中。ただし「ふつうの県」だからではない

山口県の薬局1軒あたりの年間処方せんは12,923枚で、47都道府県のうち28位——ほぼ真ん中です。ただしこれは「平均的な県」という意味ではありません。分母と分子に分けると、人口10万人あたりの薬局数は62.0軒で全国3位と多い側、住民1人あたりの院外処方せんも8.01枚で全国4位と多い側にあります。薬局も多く、処方せんも多い——その2つが打ち消し合って1軒あたりが中位に落ち着いている、という構造です。群馬県(1軒あたり46位・薬局密度22位・1人あたり44位)とは分解の形がちょうど逆になります。NDBが数えているのは院外処方せんだけで、病院・診療所の中で渡されている分は入っていません。なお人口10万人あたりの医療施設従事医師数は267.2人で全国24位(少ない順)ですが、全国47都道府県で医師密度と1軒あたり処方せんの関係を見ると相関は弱く(相関係数-0.158)、この2つを結びつけて読むことはできません。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届37件のうち、そのまま消えたのは13件でした

2025年6月〜2026年5月(12ヶ月)に山口県で出された薬局の廃止届は37件。ただしこのうち24件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。そのまま消えたのは13軒(薬局786軒の1.65%)でした。引き継がれなかった割合は県計35.1%です。うち6軒が下関医療圏に集中しており(県全体の46%)、逆に長門・萩・岩国・周南の4医療圏では真の閉局が0件でした。ただしこれは12ヶ月ぶんの数字で、1医療圏あたりの廃止届は多くて10件、少ない圏は0件です。0件を「安全な圏域」と読んではいけません。同じ中国四国厚生局の名簿から、同じ窓・同じ数え方で並べられるのは鳥取県・島根県・岡山県・広島県の4県。真の閉局率は島根県3.98%・広島県2.51%・鳥取県1.86%・山口県1.65%・岡山県1.54%で、山口県は4位。引き継がれなかった割合は島根県40.6%・山口県35.1%・広島県27.5%・岡山県26.0%・鳥取県15.2%で、山口県は2位です。なお他の4県には法人がまとめて機関コードを付け替える動きが混ざっており、それを差し引くと4県の割合は上がりますが、山口県にはこの一斉付け替えが1件もないため数字は動きません。

機能 ── かかりつけ・地域連携・在宅届出の厚さと、需要の増減はそろわない

かかりつけ薬剤師の届出は県全体で67.6%、地域連携薬局が43.3%、在宅対応が44.9%です(分母は薬局786軒=全店)。医療圏ごとに見ると、かかりつけ届出率が最も高いのは萩医療圏の77.4%——需要の縮み方が県内で2番目に大きい(-28.2%)圏域です。最も低いのは岩国医療圏の59.5%(需要は-12.8%で県内5番目)。兵庫県では在宅届出率の順位が需要の順位と8圏すべてで一致しましたが、山口県では一致は2圏にとどまります。「人が減る地域ほど機能が薄い」という思い込みは、この県のデータでは支持されません。ただし長門医療圏は薬局30軒未満で、1店の届出で3ポイント以上動く分母です。

ランキング ── 圏域差処方せんが減る医療圏・増える医療圏

長門(-29.7%)から山口・防府(+3.6%)まで。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。2025年時点の1軒あたりで見ると萩の11,450枚から周南の13,656枚まで1.19倍の開きがあり、薄い圏がそのまま減る圏とは限りません。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中です(下の注記)。

長門
-29.7%
-28.2%
柳井
-21.6%
下関
-14.4%
岩国
-12.8%
宇部・小野田
-10.9%
周南
-6.7%
山口・防府
+3.6%

くわしい数字8医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2045(枚/年)
変化
宇部・小野田15912,468 11,103-10.9%
山口・防府15912,879 13,347+3.6%
下関15613,068 11,193-14.4%
周南14413,656 12,743-6.7%
岩国7912,963 11,306-12.8%
柳井3612,916 10,131-21.6%
3111,450 8,218-28.2%
長門2212,659 8,899-29.7%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸び率を掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。個店のランキングは作りません。

いま出していない数字供給の将来推計は、再学習中です

このページでは、2045年の薬局店数の推計と、医療圏を「都市型(競争淘汰)/郊外型(需要減)」に分ける分類を外しています。これらは開局・閉局を予測する統計モデルから出していましたが、(1)閉局の数え方を「移転・承継を除いた本当の閉局」に改めたこと、(2)そのモデルが近畿6府県で学習されたもので山口県を含まないこと、(3)山口県の廃止名簿が12号ぶんしか無く、閉局の履歴が1年ぶんしか取れないこと——の3つの理由で、いまは出せません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 宇部・小野田医療圏(3市・薬局159軒)
  • 市町ごとの需要と供給
  • 圏内でいちばん薄くなるのはどこか

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 閉局の既定の窓は2025年6月〜2026年5月(12ヶ月)(2025-06-01〜2026-05-31)です。中国四国厚生局のライブ名簿から復元できる号は2025-08号〜2026-07号の12号しかなく、内部の欠号は0件ですが、名簿の左端そのものが切れています。**この窓は名簿から作れる唯一の12ヶ月窓**です。
  • その窓の左端の1ヶ月(2025-06)だけは、掲載遅れ1ヶ月ぶんの号が名簿の外にあり、号カバー率0.86=**この月の件数は下限**です。「内部欠号0件だから安全」とは言えません。
  • 暦年どうしの比較・年次トレンドは作れません。名簿が12号しかないためで、他県版にある「暦年4年の推移」「5暦年の首位年」に当たる数字は山口県版にはありません。名簿の全件(39件)は参考値としてのみ持ち、率の計算には使っていません。
  • 閉局率・承継率の県間比較は、同じ中国四国厚生局・同じ投入ソース・同じ号構成の中国5県(鳥取・島根・岡山・広島・山口)に限っています。四国4県は投入ソースが別で2026-03号が欠落し、徳島県・高知県はDBに1件もありません(構造的欠測)。近畿・関東信越・九州の各県とは並べていません。
  • 1医療圏あたりの廃止届は多くて10件、少ない圏は0件です。単年の圏域ランキングを地域の固定的な性質として読まないでください。とくに真の閉局0件の4圏(周南・岩国・萩・長門)を「安全」と読んではいけません。
  • 薬局30軒未満の医療圏(長門22軒)は、率どうしの順位づけに使いません。萩31軒・柳井36軒もそれに近い薄さです。市町では薬局8軒未満が5つ、0軒が1つ(上関町)あります。
  • 薬局1〜2軒の自治体(和木町2・田布施町1・阿武町1)は、市町単位の集計がそのまま個店の記述になるため、本文の主役にせず、Lv3(市町詳細)の対象にもしません。
  • 市町別の処方せんは実測ではありません。NDBの最小公表単位が二次医療圏のため、65歳以上人口で按分した推計です。小分母の町では極端に跳ねます(田布施町は薬局1軒に町ぶんを按分するため78,200枚と出ます)。
  • 薬局数は2025年時点で固定しています。将来の開局・閉局は見込んでいません。供給動学モデル(将来の店数・将来ハザード・都市型/郊外型の分類)は差し止めです。
  • chg の意味は階層で違います。Lv1(このページ)は絶対値=その医療圏の処方せんが実際に増えるか。医療圏ページ(Lv2)は圏内でのシェア移動を示す相対値です。
  • 徒歩カバー率は出せません。250mメッシュ(mesh_backbone_250m)に山口県分が0件のためです。投入され次第、千葉版と同じ手順で後から足せます。
  • GMISの機能情報(かかりつけ・地域連携・在宅)は山口県では全786店にそろっており、届出率の分母=薬局数です。福岡・沖縄など14県で起きている「未取込を0%と表示する」事故には該当しません。
  • 法人がまとめて機関コードを付け替える動き(一斉付け替え)は、中国四国厚生局のブロック全体で2件検出されましたが、**山口県にかかる行は0件**です。承継の数字はそのまま読めます。公開データには法人名を書きません。
  • 言えないこと:なぜ山口県で高齢者人口がすでに減りはじめているのか、なぜ薬局密度が全国3位に高いのか、この先どの薬局が閉じるのか——いずれもこのデータからは分かりません。本文でも理由には踏み込んでいません。個店のランキング・名指しの閉局予測・出店戦略の助言は一切含みません。

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