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CrossHealth / 薬局持久度レポート
圏の高齢者は減っていく。それでも、中で厚くなる市と薄くなる市に分かれる
宇部・小野田医療圏3市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
宇部・小野田医療圏は3市からなり、薬局は159軒——山口県8医療圏で最も多い部類です。65歳以上人口は2045年までに-10.9%と減り、ピークはすでに2025年。3市すべてが減少局面に入っています。それでも圏の内側では、薬局1軒あたりの処方せん(=経営体力)が宇部市の+3.8%から美祢市の-17.8%まで21.6ポイント開きます。薬局8軒以上の市町どうしで測ると、この21.6ポイントは県内3圏の中でいちばん大きい落差です(落差の数字だけなら柳井医療圏の37.4ポイントが上ですが、その両端は薬局1軒と6軒の町です)。
宇部・小野田医療圏には、薬局101軒(圏内の63.5%)の宇部市から、薬局12軒の美祢市までが同じ枠に入っています。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)で見ると、いちばん沈むのが美祢市(-17.8%)、いちばん持ちこたえるのが宇部市(+3.8%)で、その差は21.6ポイント。3市のうち2市がマイナス側にいます。人口で見ると差はもっとはっきりします。宇部市は65歳以上人口が-7.5%、美祢市は-26.8%で、総人口も-37.7%。高齢化率は宇部市の34.4%から美祢市の46.8%まで開いています。圏全体としては需要が-10.9%と減る計算ですが、それは宇部市が圏の高齢人口の64.3%を抱えているからで、圏の平均は圏内のどの市の実感でもありません。閉局の面では、2025年6月〜2026年5月(12ヶ月)に出た廃止届7件のうち4件が移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは3軒でした。薬局159軒に対する真の閉局率は1.89%です。消えた3軒は宇部市に集中しており、美祢市ではこの12ヶ月に廃止届そのものが出ていません。ただしこれは12ヶ月ぶんの数字で、山口県の廃止名簿は12号ぶんしかなく、複数年の推移を見ることはできません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が71.7%で県平均(67.6%)を上回り、8医療圏で5位です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが美祢市(-17.8%)、いちばん緑なのが宇部市(+3.8%)で、同じ宇部・小野田医療圏の中に21.6ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源圏全体で-10.9%。3市すべてで、高齢者はもう増えない
なぜ市で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。宇部・小野田医療圏全体では、総人口は23.2万→17.9万人(-22.8%)と減り、65歳以上も8.3万→7.4万人(-10.9%)と減ります。高齢化率は35.9%→41.4%へ上がりますが、これは分母がもっと速く減るからです。65歳以上のピークは圏全体で2025年で、圏内3市すべてがすでにピークを通過済みです(2045年までに65歳以上人口が減る市も3市=全市)。減り方の幅が大きく、宇部市の-7.5%と美祢市の-26.8%では19.3ポイントの差があります。高齢化率で見ると、宇部市の34.4%から美祢市の46.8%まで12.4ポイントの開きがあり、2045年には40.1%と55.0%になります。
閉局 ── 消えた薬局と、続いた薬局12ヶ月ぶんしか見えない。それでも見えることがある
中国四国厚生局の保険薬局廃止情報から復元できる名簿は2025-08号〜2026-07号の12号だけです(途中に抜けている号は0件)。廃止届は1〜3ヶ月遅れて名簿に載るため、きちんと数えられる期間は2025年6月〜2026年5月(12ヶ月)の1年ぶんだけで、他県版にある「暦年4年の推移」のような多年の比較は作れません。その1年で、宇部・小野田医療圏の廃止届は7件。うち4件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは3軒でした。引き継がれなかった割合は42.9%です。山口県全体では真の閉局13軒・承継24件で、この圏域は真の閉局の23%を占めます。なお、法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替える動き(一斉付け替え)は中国四国厚生局のブロック全体で2件検出されましたが、山口県にかかる行は1件もありません(この圏域も0件)。承継の数字はそのまま読んで差し支えありません。ただし1圏・1年の廃止届は7件しかありません。数件動けば割合は大きく変わります。単年の数字を地域の固定的な性質として読まないでください。
ランキング ── 市差経営がしんどくなる市・持ちこたえる市
美祢市(-17.8%)から宇部市(+3.8%)まで21.6ポイントの開き。3市のうちマイナスは2です。2025年時点の1軒あたり処方せんで見ると、山陽小野田市の10,520枚から美祢市の18,647枚まで1.77倍の開きがあり、いま薄い市がこれから沈む市とは限りません。この圏域には薬局8軒未満の自治体はありません(最も少ない美祢市で12軒)。
くわしい数字3市データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 宇部市 | 101 | 34.4% | 12,621 → 13,104 | +3.8% |
| 山陽小野田市 | 46 | 36.1% | 10,520 → 10,325 | -1.9% |
| 美祢市 | 12 | 46.8% | 18,647 → 15,328 | -17.8% |
※処方せん需要は宇部・小野田医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 山口県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 宇部・小野田医療圏(このページ・Lv2)=3市で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】宇部・小野田医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,982,411枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。院内で処方されている分は含みません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(山口県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に89.1)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】中国四国厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。集計期間は2025年6月〜2026年5月(12ヶ月)(2025-06-01〜2026-05-31)で、宇部・小野田医療圏の真の閉局は3件(廃止届7件・うち移転承継4件)でした。
- 【名簿が12号しかありません】中国四国厚生局のライブ名簿から復元できる号は2025-08号〜2026-07号の12号で、途中に抜けている号は0件です。ただし名簿の左端そのものが切れているため、暦年どうしの比較・年次トレンドは作れません。また集計期間の左端の1ヶ月だけは掲載遅れ1ヶ月ぶんの号が名簿の外にあり、号カバー率0.86=その月の件数は下限です。
- 【1年ぶんの数字です】この圏域の廃止届は7件、真の閉局は3件。数件動けば「引き継がれなかった割合」(42.9%)は大きく変わります。単年の数字を地域の固定的な性質として読まないでください。
- 【法人の一斉付け替え】保険薬局の廃止情報には、1つの法人が同じ日にまとめて機関コードを付け替える動きが混ざります(中国四国厚生局9県の合計で「同じ廃止日・同じ屋号の承継が20件以上」という条件で機械的に検出しています)。ブロック全体では2件見つかりましたが、山口県にかかる行は0件で、この圏域も0件です。したがってこのページの承継・引き継がれなかった割合は、差し引きの前後で変わりません。公開データには法人名を書きません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。この圏域は全159店に届出データがあり、分母は薬局数と一致します。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母】この圏域には薬局8軒未満の自治体はありません(最少は美祢市の12軒)。山口県全体では薬局0軒が1つ(上関町)、1〜2軒が3つ(阿武町・田布施町・和木町)あり、これらは市町単位の集計がそのまま個店の記述になるため、本文の主役にせずLv3の対象にもしません。
- 【徒歩でのアクセスは出せません】250mメッシュ人口(mesh_backbone_250m)に山口県分が0件のため、徒歩カバー率は算出していません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。
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