静岡県賀茂(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

6市町のうち5つが、薬局8軒未満

賀茂医療圏6市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 賀茂医療圏 6市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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賀茂医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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賀茂医療圏は伊豆半島の南端、下田市と5つの町からなります。薬局は32軒——静岡県8医療圏でいちばん少ない圏です(県内の1.7%)。需要の先行きも県内でいちばん厳しく、65歳以上人口は2025年をピークに-26.4%——県内最大の縮小です。しかもこの圏では、5つの町が薬局8軒未満。8軒以上あるのは下田市(12軒)だけで、1店の開閉で地域の景色がまるごと変わる規模の集落が、半島の海沿いと山あいに点在しています。

32
圏内の薬局数(県内8圏で最少)
-26.4%
65歳以上人口 2025→2045(県内最大の縮小)
5/6
薬局8軒未満の町の数
38.8%
徒歩10分カバー率(直線近似・県内最低)

この圏の高齢化は、県内の他のどの圏とも段が違います。高齢化率は2025年時点で48.0%(県平均31.6%)、2045年には55.2%。西伊豆町の53.8%は静岡県37市区町で最も高く、圏内6市町のすべてで65歳以上人口がすでにピークを過ぎています。地図の色(圏内の相対値)では河津町(+14.7%)が緑側に見えますが、絶対量では-15.5%——圏内の6市町すべてで、65歳以上人口そのものが減っていきます。相対の緑は「減り方が圏内では浅い」という意味でしかありません。閉局はどうか。この12ヶ月、賀茂医療圏では廃止届が1件も出ていません(4年に広げると廃止届3件・真の閉局2件、いずれも下田市)。ただし静岡県の名簿はOCR由来で件数が下限値のため、「閉局が少ない圏」と読むことはできません。一方で、機能の届出は薄くありません。かかりつけ68.8%・在宅56.2%はどちらも県平均(67.6%・46.8%)を上回ります。「過疎だから薄い」はこの圏では成り立ちません(ただし分母が数軒の町では1店の届出で率が大きく動きます)。それでも徒歩の薄さは県内で際立ちます。薬局1軒あたりの面積18.2km²は県内8圏で最大、徒歩10分カバー率(直線近似)38.8%は県内最低、最寄り薬局までの中央値14.6分は県内で唯一10分を超えます。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが西伊豆町(-16.4%)、いちばん緑なのが河津町(+14.7%)です。西伊豆町・松崎町・東伊豆町・南伊豆町・河津町は薬局8軒未満で、1店の開廃で数字がまるごと動きます。

人口動態 ── 需要の源賀茂医療圏は「人も高齢者も減る」

賀茂医療圏全体では、総人口が5.4万→3.4万人(-36.0%)と減り、65歳以上も2.6万→1.9万人(-26.4%)と減ります。高齢化率は48.0%→55.2%。圏の65歳以上のピークは2025年です。圏内6市町のうち、そのピークをすでに過ぎているのは6市町(西伊豆町・松崎町・東伊豆町・下田市・南伊豆町・河津町)。高齢化率が圏内で最も高いのは西伊豆町の53.8%、最も低いのは下田市の44.1%で、同じ医療圏の中に9.7ポイントの差があります。

総人口65歳以上
0万2万5万8万10万2025203020352040204520503万2万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上人口のピークは2025年です。

距離 ── 「近くの薬局」の意味が違う徒歩10分カバー率38.8%(直線近似・県内8位)

賀茂医療圏の面積は583km²で、薬局32軒で割ると1軒あたり18.2km²(下田市8.7km²〜松崎町42.5km²)。250mメッシュ人口で見ると、最寄り薬局まで徒歩10分以内に住むのは圏の人口の38.8%、20分以内は63.3%、中央値は14.6分です(県全体の10分カバー率は72.4%)。※徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mによる近似で、実際の道路網(OSRM)による実測ではありません。実測化すると数ポイント下がる傾向があります。道路・公共交通・地形は含みません。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

西伊豆町(-16.4%)から河津町(+14.7%)まで31.1ポイントの開き。マイナスは2市町です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。絶対量(65歳以上人口)では河津町が-15.5%、西伊豆町が-38.5%となります(絶対量の落差は23.0ポイント)。現在の1軒あたり処方せんは河津町の5,964枚から松崎町の17,891枚まで3.0倍。薬局8軒以上は下田市だけのため、8軒以上に限ったレンジは出せません。

西伊豆町
-16.4%
松崎町
-4.3%
東伊豆町
+1.0%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
下田市
+1.3%
南伊豆町
+2.6%
河津町
+14.7%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

薬局薬剤師については、賀茂医療圏が薬剤師少数区域とされ、特に病院薬剤師を確保していく必要があります。

静岡県保健医療計画(第9次) 第9次静岡県保健医療計画(全県版・一括) PDF 390ページ

○なお、災害拠点病院が圏域内にない賀茂保健医療圏では、隣接圏域の災害拠点病院との連携により対応しています。

静岡県保健医療計画(第9次) 第9次静岡県保健医療計画(全県版・一括) PDF 206ページ

○拠点病院等がない賀茂保健医療圏の機能強化のため、隣接する保健医療圏にある拠点病院等に対し、施設や設備の整備を支援するとともに、拠点病院等からの積極的な関与や連携を強化し、がん医療の均てん化に取り組みます。

静岡県保健医療計画(第9次) 第9次静岡県保健医療計画(全県版・一括) PDF 106ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字6市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
下田市1244.1%8,647 → 8,763+1.3%
河津町644.1%5,964 → 6,843+14.7%
西伊豆町553.8%8,552 → 7,147-16.4%
東伊豆町449.9%16,543 → 16,712+1.0%
南伊豆町350.7%15,584 → 15,988+2.6%
松崎町251.7%17,891 → 17,121-4.3%

※処方せん需要は賀茂医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。閉局は直近12ヶ月(移転・承継を除く)で、静岡県の名簿はOCR由来のため件数は下限値です。2026年7月号時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後増える可能性があります。徒歩10分カバー率は直線近似(OSRM実測ではありません)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 静岡県(ひとつ上・Lv1)=8の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 賀茂医療圏(このページ・Lv2)=6市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

賀茂医療圏 6市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は96.7%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。賀茂医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は30軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 29軒=96.7%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 21軒=70.0%、在宅薬学総合体制加算 14軒=46.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 25軒=83.3%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回70.0%/これまで68.8%(差+1.2ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回96.7%/これまで50.0%(差+46.7ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回46.7%/これまで56.2%(差-9.5ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【★閉局件数は下限値です】静岡県を含む東海北陸厚生局(富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重)の廃止名簿は、原本が画像PDFでテキスト層がありません。OCRで読み取り、機関番号を厳密に検証して読み違えた行は捨てる設計のため、件数は下限値です。厚生局のブロックごとに名簿の捕捉のしかたが違うため、賀茂医療圏の閉局0件・廃止届0件は、他ブロックの都道府県と並べないでください(根拠の数字は静岡県ページのデータ clo_source_caveat にあります)。使えるのは静岡県内の圏域どうし・東海北陸6県どうしの比較までです。
  • 【圏内の市町を見るときは4年窓】12ヶ月では賀茂医療圏の真の閉局が0件しかなく、市町の単位では率になりません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(4年))では真の閉局2件・廃止届3件(薬局32軒の6.25%)です。それでも市町どうしの閉局率の比較には足りません。4年窓には東海北陸ブロック全体で0件の月(2023年3月)が1つ含まれます。
  • 【処方せんの推計方法】賀茂医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間331,009枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局0軒の市町が無いため、市町別の値を足し戻すと圏の実績に100%閉じます。ただし按分は居住地ベースなので、圏をまたぐ受診の流れは映していません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(静岡県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に73.6)。絶対量(65歳以上人口の変化)は各市町の chg_abs に入れてあり、相対値と最大で30.2ポイントずれます。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(賀茂医療圏で0件)。廃止届は全部で0件も出ていません。集計期間は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)で、兵庫県・京都府・北海道・神奈川県と同じ窓です(ただし件数の水準は他ブロックと比較できません)。件数は2026年7月号時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後も増える可能性があります。
  • 【市町ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で0件、廃止届も0件です。6市町では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市町どうしの閉局率の比較はできません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。賀茂医療圏は32店すべてに申告があり、分母は薬局数と一致します(欠測0)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局5軒の西伊豆町のような小さな市町では、1店の届出の有無が届出率を大きく動かします。
  • 【徒歩カバー率は直線近似です】徒歩分は「最寄り薬局までの直線距離×迂回係数1.3÷分速80m」で計算しています。実際の道路網(OSRM)による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(大阪・千葉での新旧比較より)。最寄り薬局は市町・医療圏の境界を越えて県内の薬局から探しています(県境は越えません)。分母は250mメッシュの2025年推計人口です。
  • 【小さすぎる分母】西伊豆町・松崎町・東伊豆町・南伊豆町・河津町は薬局8軒未満です(西伊豆町5軒・松崎町2軒・東伊豆町4軒・南伊豆町3軒・河津町6軒)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・地形は含みません。「薬局1軒あたり18.2km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、静岡県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。

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