三重県東紀州(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

2045年、住民の過半が65歳以上になる圏

東紀州医療圏5市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 東紀州医療圏 5市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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東紀州医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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東紀州医療圏の高齢化率は45.8%——すでに県内で最も高く、2045年には54.6%に達します。住民の半分以上が65歳以上になる、三重県で唯一の医療圏です。しかもその65歳以上人口自体が-25.2%と県内で最も深く減っていきます。高齢化の「率」が上がりながら、需要の「量」は縮む——薬局31軒(県内の3.6%)はその両方に向き合うことになります。

5
東紀州医療圏の市町
31
圏内の薬局数(県全体の3.6%)
0
この12ヶ月の廃止届(真の閉局+移転・承継)
-11〜+18%
経営体力の変化レンジ(市町差)

東紀州医療圏は5市町・薬局31軒。尾鷲市11軒・熊野市7軒・紀北町6軒・御浜町6軒・紀宝町1軒という構成で、8軒以上あるのは尾鷲市だけです。県土の約17%を占める広さに、県内の薬局の3.6%——薄く長い海岸線に沿って、少ない薬局が点在しています。人口の先行きは5市町すべてが同じ向きです。65歳以上人口のピークは全市町で2025年=すでに減少局面で、総人口は尾鷲市-42.2%・紀北町-42.0%など、2045年までにどこも3割以上減ります。機能の届出では、地域連携25.8%・在宅32.3%がいずれも県内4医療圏で最も低く、高齢化が最も進む圏で届出が最も薄い、という重なりが見えます(届出=実提供ではありません。分母が31軒と小さい点にも注意が必要です)。いっぽう閉局の記録は、この12ヶ月の廃止届が0件——県内4医療圏でここだけです。名簿を2020年10月まで遡っても、この圏の真の閉局は1件(尾鷲市)にとどまります(割当済みベースの下限値)。人口が減ることと薬局が消えることは、少なくともこの5年余りの東紀州では、別の話でした。ただし「動きがない」ことと「安泰」は別の話です。5市町のうち4市町は薬局が8軒未満で、1軒の動きがそのまま地域の供給を左右します。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが尾鷲市(-11.0%)、いちばん緑なのが御浜町(+18.3%)で、同じ東紀州医療圏の中に29.3ポイントの開きがあります。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は40.5%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、東紀州医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は40.5%(県全体59.3%)、20分圏で59.4%です。徒歩10分圏の外には34,903人が住んでいます。4医療圏で並べるとこの圏は低いほうから1番目です。市町別では尾鷲市の62.7%から紀宝町の17.1%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通は含みません。県境は越えないため、県境沿いの市町は実際より低めに出ます。この圏はリアス海岸と山地で実道路の迂回が大きく、実際のカバー率はこの数字より低い可能性が高い点にご注意ください。

人口動態 ── 需要の源東紀州医療圏の65歳以上人口はもう減っていく

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。東紀州医療圏全体では、総人口は5.9万→3.7万人(-37.3%)と減り、65歳以上は2.7万→2.0万人(-25.2%)と減ります。高齢化率は45.8%→54.6%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内5市町のうち5市町でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町は5あります。

総人口65歳以上
0万2万5万8万10万2025203020352040204520503万2万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2025年です。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

尾鷲市(-11.0%)から御浜町(+18.3%)まで29.3ポイント。ここでの色は圏内での相対値です。圏全体の65歳以上人口が-25.2%減るため、圏内で相対的にプラスに見える御浜町(+18.3%)も、絶対量では65歳以上が-11.5%減ります。また熊野市・紀北町・紀宝町・御浜町は薬局が8軒未満(紀宝町は1軒)で、1軒あたりの数値は1店の動きで大きく振れます。この圏の市町別の比率は、順位づけには使わないでください。

尾鷲市
-11.0%
熊野市
-2.5%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
紀北町
-2.3%
紀宝町
+12.7%
御浜町
+18.3%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

○東紀州医療圏の流出患者割合は28%と高く、和歌山県への流出も含め、圏域内での完結が難しい医療が一定あると言えます。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 39ページ

○一方、東紀州医療圏では医療圏内で入院医療を受けた割合(完結率)が約7割と他の二次医療圏に比べて低く、圏外への流出率*が高くなっています。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 38ページ

○一方で、仮に東紀州医療圏を他の医療圏と統合した場合、へき地を抱える二次医療圏としての面積がさらに広大となり、交通アクセスなどの地理的条件の課題が深まることになります。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 40ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字5市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
尾鷲市1148.4%9,173 → 8,161-11.0%
熊野市745.9%13,896 → 13,554-2.5%
紀北町648.4%14,932 → 14,587-2.3%
御浜町643.4%7,831 → 9,265+18.3%
紀宝町139.8%55,073 → 62,056+12.7%

※処方せん需要は東紀州医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 三重県(ひとつ上・Lv1)=4つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 東紀州医療圏(このページ・Lv2)=5市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

東紀州医療圏 5市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算は、名簿の全店が届け出ています

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。東紀州医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は33軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 33軒すべて、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 18軒=54.5%、在宅薬学総合体制加算 7軒=21.2%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 27軒=81.8%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回54.5%/これまで64.5%(差-10.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回全店/これまで25.8%(差+74.2ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回21.2%/これまで32.3%(差-11.1ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】東紀州医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間389,825枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の町の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって尾鷲市のような中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺の町は高めに出る傾向があります。市町の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(三重県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に74.8)。相対値がマイナスでも、絶対量では増える市町があります(表の chg_abs)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(東紀州医療圏で0件)。この圏域では期間中に廃止届そのものが出ていません。集計期間は既報県と同じ2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)です。三重県の名簿は2020-10-31から連続して収録されており、暦年で見ると県全体の真の閉局は2021〜2025年の5年間ずっと5〜8件でした(Lv1参照)。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県は同じ12ヶ月窓です)。
  • 【他県・他ブロックの閉局率と並べないでください】同じ12ヶ月窓・同じ数え方でも、東海北陸厚生局管内の6県は真の閉局率0.38〜1.27%、近畿・関東・北海道は1.62〜2.40%と、ブロックでまとまって水準が違います。経営環境の差なのか、廃止名簿の公表様式・取り込み精度の差なのかは、このデータだけでは切り分けられません。
  • 【圏どうし・市町どうしの閉局率も論じません】名簿の捕捉がブロックとして低い疑いがある(=件数は下限)うえ、県全体でも12ヶ月の真の閉局は7件です。これを圏に割った比率の高低は偶然に左右されるため、このページでは東紀州医療圏の閉局を件数の事実として記載するにとどめ、圏別・市町別の閉局「率」の優劣は論じていません。
  • 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年7月29日時点のデータベース(2026年7月号までの名簿)で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れ(8割超は2ヶ月以内・最大13ヶ月)があるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。東紀州医療圏では圏内31店すべてに届出データがあり(欠測0店)、分母=薬局数です。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率40.5%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・鉄道・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。東紀州はリアス海岸と山地で実道路の迂回が大きく、直線近似は「実際より近め」に出やすい地形です。実測化すると数値はさらに下がる可能性が高いとお考えください。
  • 東紀州医療圏は和歌山県・奈良県と接しており、とくに紀宝町・御浜町は熊野川対岸の和歌山県新宮市が生活圏です。住民が県外の医療機関・薬局を使うぶん(新宮市の薬局の利用など)はこのデータには現れません。徒歩カバー率も県内の薬局だけで計算しているため、県境沿いは実際より低めに出ます。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、三重県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。
  • 【小さい分母】熊野市・紀北町・紀宝町・御浜町は薬局が8軒未満の自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局が数軒の自治体では届け出るかどうかで大きく振れます。市町別の比率は順位づけには使わないでください。

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薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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