奈良県 › 奈良(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
ひとつの市だけで、ひとつの医療圏
奈良医療圏=奈良市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市内の詳しい分析は、さらに詳しいレポート(Lv3)で扱います。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
無料レポート
奈良市の薬局持久度レポート(A4・6ページ)
ここから先の数字を、出典と作成時点をつけてA4・6ページにまとめたものをお送りします。そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。
無料・パスワード不要です。ご登録のメールに確認リンクをお送りし、そこからレポートをお読みいただけます。あわせて、隔週の便り(街の数字をひとつ、薬剤師の目で翻訳したもの)もお届けします。登録済みの方はログイン(対象地域は順次拡大しています)
奈良医療圏は、奈良市だけで構成される圏域です。薬局は175軒——奈良県の28.8%がこの1市にあり、県内5医療圏で最多です。65歳以上人口は+6.0%増え、ピークは2040年。需要はまだ増える側の圏ですが、総人口は-16.8%減り、高齢化率は33.5%→42.7%へ進みます。
奈良医療圏は奈良市1市のみ——県庁所在地がそのまま二次医療圏になっている、奈良県で唯一の形です。薬局175軒は県内最多で、1軒あたり処方せんは13,377枚(推計)。閉局の面では、この12ヶ月の廃止届10件のうち6件が移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは4軒でした。真の閉局4件は県内5医療圏で最多(廃止届の総数10件は中和医療圏と同数)ですが、薬局175軒に対する比率では2.29%です。承継6件のうち2件は、同じ日に同じ屋号でまとまって出た法人単位の付け替えの一部で、個々の店の代替わりがそれだけ多いという意味ではありません。機能の届出は、かかりつけ65.6%・地域連携49.4%・在宅58.1%——軒数最多の圏でありながら、いずれも県内トップではありません(三冠は西和医療圏)。実際の道路をたどる実徒歩時間(OSRM)では、市民の80.0%が徒歩10分以内に薬局のある場所に住んでいます。市街地と東部山間(旧都祁村・旧月ヶ瀬村など)の差は、この市内の距離の分布に表れます。
地図 ── 地域差を見る圏域=奈良市の範囲
この圏は奈良市ひとつで構成されるため、圏内の色分け(経営体力の相対比較)はありません。地図は圏域=市の範囲を示します。65歳以上人口の変化(絶対量)は+6.0%です。
人口動態 ── 需要の源奈良医療圏の65歳以上人口はまだ増える
奈良医療圏全体では、総人口は34.4万→28.6万人(-16.8%)と減り、65歳以上は11.5万→12.2万人(+6.0%)と増えます。高齢化率は33.5%→42.7%へ。65歳以上のピークは2040年です。
徒歩アクセス ── 実道路網(OSRM)で測る圏内で徒歩10分以内に薬局がある人は80.0%
250mメッシュの人口(344,243人ぶん)から、いちばん近い薬局までの実際の道路をたどる徒歩時間を測りました(OSRM実道路網・市の境は越えてよい・県境は越えない)。奈良医療圏で徒歩10分以内に薬局がある人は80.0%(奈良県全体は69.4%)、20分以内なら95.9%になります。徒歩10分圏の外には68,955人が住んでいます。5医療圏で並べると、この圏は低いほうから5番目です。この測り方は、公開済みの奈良県ページの県計(徒歩10分69.4%)と同じです。なお奈良県ページの医療圏別の内訳(この圏域は90.1%)はまだ更新前の直線近似のままのため、本ページの値とは単純比較できません。標高・公共交通は考慮していません。
承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届10件のうち、6件は引き継がれた
直近12ヶ月(2025-05-01〜2026-04-30)に奈良医療圏(奈良市)で出された薬局の廃止届は10件。うち6件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いています。そのまま消えたのは4軒——県内5医療圏で最多ですが、薬局175軒の圏であり、比率では2.29%です。引き継がれなかった割合は40.0%。ただし承継6件のうち2件は法人単位の一斉付け替えの一部です。分母は10件——1件動けば10.0ポイント動く数字としてお読みください。
医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
「地域における医療機能の分担と連携奈良保健医療圏の機能ごとの病床数をみると、「軽症急性期」・「回復期」を併せると、「回復期」の2025年の必要病床数と近似しています。」
「また、年齢階級別にみると、5歳から24歳までの間は受療率が比較的低いのに対して、55歳を超えると入院、外来ともに受療率が高くなっています(表3)。」
「65歳以上高齢者人口は増加し続けていましたが、令和2(2020)年をピークに減少に転じています。」
県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。
構成 ── ランキングは作りません奈良市
この圏は奈良市ひとつで構成されるため、圏内の市町村比較・ランキングはありません(順位が定義できないため)。経営体力の「圏内相対値」も定義上±0%になります。見るべきは絶対量で、65歳以上人口の変化(→2045年)は+6.0%、1軒あたり処方せんは13,377枚から14,183枚へ向かう見通しです(薬局数固定の推計・Lv1の絶対値)。
くわしい数字1市データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 奈良市 | 175 | 33.5% | 13,377 → 13,377 | 0.0% |
※処方せん需要は奈良医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 奈良県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 奈良医療圏(このページ・Lv2)=1市で圏そのものの実像を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
奈良医療圏 1市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。奈良医療圏にいまある175軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.72です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-16.8%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が23%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は93.0%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。奈良医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は157軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 146軒=93.0%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 107軒=68.2%、在宅薬学総合体制加算 76軒=48.4%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 135軒=86.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回68.2%/これまで65.6%(差+2.6ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回93.0%/これまで49.4%(差+43.6ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回48.4%/これまで58.1%(差-9.7ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】奈良医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,340,895枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたもので、どこの薬局で調剤されたかではありません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(奈良県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に106.0)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(奈良医療圏で4件)。廃止届は全部で10件出ていますが、そのうち6件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。奈良県分の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県・京都府は同じ12ヶ月窓です)。
- 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年6月号までの名簿(2026年7月時点)で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れがあるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
- 【閉局の件数が小さいこと】奈良医療圏の12ヶ月の廃止届は10件、真の閉局は4件です。1件で率が10.0ポイント動くため、年ごとの振れが大きい指標としてお読みください。本文では市単位の閉局は件数のみを示し、閉局「率」は圏・県のレベルに限っています。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある160店を分母にしています(圏内全175店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
- 【徒歩アクセスの測り方(OSRM実測)】250m実メッシュの人口から最寄りの調剤薬局までの徒歩時間を、OSRM(OpenStreetMapの実道路網)による実徒歩経路で測っています(候補は直線距離の近い20店に絞り、経路が取れない一部のセルのみ直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで補完)。公開済みの奈良県Lv1の県計(徒歩10分69.4%)と同じ測り方です。市町村の境をまたいだ最寄り薬局を認めています(県境は越えません)。標高・公共交通・院内処方は考慮していません。なお奈良県Lv1の医療圏別内訳はまだ更新前の直線近似(この圏域は90.1%)のままのため、本ページのOSRM値(80.0%)とは測り方が異なり、単純比較はできません。
- 【徒歩は距離のものさし】山間部で実際に歩くことは想定されていません。「徒歩◯分」は、クルマ・バス・配置薬・オンライン服薬指導などの前提がどれだけ強い土地かを示す距離の指標です。「徒歩圏に薬局が無い」=「薬が手に入らない」ではありません。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
- 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタに従っています。御所市(旧・南和)と広陵町(旧・西和)は、以前の内部データでは別の医療圏に割り当てられていました。本レポートはマスタ側を正としています。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【承継の件数を「代替わりが活発」と読まないでください】この圏域の移転・承継6件のうち2件は、同一の廃止日に同じ屋号でまとまって出た法人単位の一斉付け替えの一部です(clo_relo_chain_bulk として別に保持。クラスタは県内をまたぐため、この圏に帰属する件数のみを数えています)。個々の薬局の代替わりがそれだけ多く起きたという意味ではありません。
- 【1自治体で構成される医療圏】奈良医療圏は奈良市のみで構成されるため、圏内の市町村比較(地図の色分け・ランキング)は定義できません。「経営体力の変化」の圏内相対値は定義上0になります。見るべきは絶対量(chg_abs=65歳以上人口の変化)です。市内を地区で割る分析は別テンプレート(Lv3)の領域です。
無料レポート
奈良市の薬局持久度レポート(A4・6ページ)
薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。
無料・パスワード不要です。ご登録のメールに確認リンクをお送りし、そこからレポートをお読みいただけます。あわせて、隔週の便り(街の数字をひとつ、薬剤師の目で翻訳したもの)もお届けします。登録済みの方はログイン(対象地域は順次拡大しています)
似ている地域
全国335の二次医療圏から、人口規模・高齢化率・薬局の薄さ・医薬分業率で似ている圏を、同じ県を除いて探しました。
お仕事のご依頼
自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
お問い合わせ →