三重県中勢伊賀(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

需要は横ばい。届出は、県内でいちばん厚い

中勢伊賀医療圏3市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 中勢伊賀医療圏 3市町期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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中勢伊賀医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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中勢伊賀医療圏(津・名張・伊賀)の65歳以上人口は2025→2045で-0.2%——県内4医療圏でただひとつ、ほぼ横ばいの圏です。そしてかかりつけ薬剤師指導料71.6%・地域連携薬局45.6%の届出率はいずれも県内4医療圏で最高。需要がいちばん伸びる北勢(かかりつけ64.8%)ではなく、横ばいのこの圏が、届出ではいちばん厚い——三重県の機能の地図は、薬局の数の地図とは別物です。

3
中勢伊賀医療圏の市町
215
圏内の薬局数(県全体の24.8%)
2
この12ヶ月の廃止届(真の閉局+移転・承継)
-8〜+4%
経営体力の変化レンジ(市町差)

中勢伊賀医療圏は3市・薬局215軒。県庁所在地の津市に139軒=圏内の64.7%が集まり、伊賀市43軒・名張市33軒と続きます。圏の平均(65歳以上-0.2%)は横ばいですが、それは津市の+4.3%(ピーク2040年)と、すでにピークを過ぎた伊賀市-8.2%・名張市-5.5%が打ち消し合った結果です。圏内の落差12.5ポイントは県内4圏でいちばん小さく、3市が同じ向きに近い、という意味では県内で最も読みやすい圏でもあります。1軒あたり処方せん13,641枚は県内で最も厚く、2045年推計でも13,612枚とほぼ目減りしません。機能の届出は圏の際立った特徴で、かかりつけ71.6%(県平均67.2%)・地域連携45.6%(県平均41.5%)はいずれも県内最高。なかでも名張市は、かかりつけ81.8%と圏内で最も高い水準です(33軒)。閉局の記録は静かで、この12ヶ月の廃止届は2件(津市1・名張市1)——いずれも引き継がれずにそのまま閉じました。分母が小さいため率では語れませんが、引き継ぐ動きが観測されなかったという事実は残ります。名簿を2020年10月まで遡ると、この圏の廃止届は24件・うち真の閉局13件(割当済みベースの下限値)です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが伊賀市(-8.0%)、いちばん緑なのが津市(+4.5%)で、同じ中勢伊賀医療圏の中に12.5ポイントの開きがあります。

伊賀市:薬局43/1軒あたり処方せん -8.0%伊賀市名張市:薬局33/1軒あたり処方せん -5.3%名張市津市:薬局139/1軒あたり処方せん +4.5%津市
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-8%)増える(+4%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は55.8%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、中勢伊賀医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は55.8%(県全体59.3%)、20分圏で77.5%です。徒歩10分圏の外には187,021人が住んでいます。4医療圏で並べるとこの圏は低いほうから3番目です。市町別では津市の59.9%から伊賀市の43.8%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通は含みません。県境は越えないため、県境沿いの市町は実際より低めに出ます。

人口動態 ── 需要の源中勢伊賀医療圏の65歳以上人口はほぼ横ばい

なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。中勢伊賀医療圏全体では、総人口は42.3万→34.8万人(-17.7%)と減り、65歳以上は13.6万→13.6万人(-0.2%)と、ほぼ増減なしです。高齢化率は32.2%→39.0%へ。65歳以上のピークは2040年で、その波がいつ来るかが市町で違うのです。圏内3市町のうち2市町でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町は2あります。

総人口65歳以上
0万12万25万38万50万20252030203520402045205033万13万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2040年です。

ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町

伊賀市(-8.0%)から津市(+4.5%)まで12.5ポイント。3市しかないため順位というより対比で、津市だけがプラス側、伊賀市・名張市がマイナス側という形です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)ですが、この圏は圏全体の需要がほぼ横ばい(-0.2%)のため、相対値と絶対量の向きがほぼ一致します(例: 伊賀市は相対-8.0%・絶対-8.2%)。3市とも薬局は8軒以上あり、圏内比較は成立します。

伊賀市
-8.0%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
名張市
-5.3%
津市
+4.5%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

外来患者とも中勢伊賀医療圏への流出が12.1%となっています。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 93ページ

地域別にみると、中勢伊賀医療圏においてはそれぞれ全国平均を上回っていますが、それ以外の地域では全国平均を下回っています。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 164ページ

○同調査では、小児外科を標榜している病院は北勢医療圏と中勢伊賀医療圏の3病院のみであり、小児人口10万人あたりでは、全国の2.7に対して本県は1.4と5割程度の水準です。

三重県医療計画(第8次) 第8次三重県医療計画(本冊一括) PDF 184ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字3市町データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
津市13930.7%12,691 → 13,259+4.5%
伊賀市4334.6%14,578 → 13,406-8.0%
名張市3334.9%16,421 → 15,554-5.3%

※処方せん需要は中勢伊賀医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 三重県(ひとつ上・Lv1)=4つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 中勢伊賀医療圏(このページ・Lv2)=3市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

中勢伊賀医療圏 3市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.9%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。中勢伊賀医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は211軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 194軒=91.9%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 150軒=71.1%、在宅薬学総合体制加算 92軒=43.6%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 196軒=92.9%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回71.1%/これまで71.6%(差-0.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.9%/これまで45.6%(差+46.3ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回43.6%/これまで49.8%(差-6.2ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】中勢伊賀医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,932,771枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【按分は居住地ベースであること】按分に使っているのは「住んでいる人」の年齢構成です。病院・診療所が中心市に集まっている圏域では、周辺の町の住民が中心市の医療機関にかかり、その門前の薬局で受け取ります。したがって津市のような中心市の「1軒あたり処方せん」は実際より低めに、周辺の町は高めに出る傾向があります。市町の順位づけには使わず、変化の向きを読むための指標としてお使いください。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(三重県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に99.8)。相対値がマイナスでも、絶対量では増える市町があります(表の chg_abs)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(中勢伊賀医療圏で2件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち0件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は既報県と同じ2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)です。三重県の名簿は2020-10-31から連続して収録されており、暦年で見ると県全体の真の閉局は2021〜2025年の5年間ずっと5〜8件でした(Lv1参照)。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません(兵庫県は同じ12ヶ月窓です)。
  • 【他県・他ブロックの閉局率と並べないでください】同じ12ヶ月窓・同じ数え方でも、東海北陸厚生局管内の6県は真の閉局率0.38〜1.27%、近畿・関東・北海道は1.62〜2.40%と、ブロックでまとまって水準が違います。経営環境の差なのか、廃止名簿の公表様式・取り込み精度の差なのかは、このデータだけでは切り分けられません。
  • 【圏どうし・市町どうしの閉局率も論じません】名簿の捕捉がブロックとして低い疑いがある(=件数は下限)うえ、県全体でも12ヶ月の真の閉局は7件です。これを圏に割った比率の高低は偶然に左右されるため、このページでは中勢伊賀医療圏の閉局を件数の事実として記載するにとどめ、圏別・市町別の閉局「率」の優劣は論じていません。
  • 【件数は下限値です】閉局・廃止届の件数は2026年7月29日時点のデータベース(2026年7月号までの名簿)で数えた値です。名簿には廃止日から掲載までの遅れ(8割超は2ヶ月以内・最大13ヶ月)があるため、窓の終わり近くの件数は今後の号で増える可能性があります。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。中勢伊賀医療圏では圏内215店すべてに届出データがあり(欠測0店)、分母=薬局数です。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率55.8%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・鉄道・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
  • 中勢伊賀医療圏(名張市・伊賀市)は奈良県・滋賀県・京都府と接しており、とくに名張市は大阪方面への通勤圏です。住民が県外の医療機関・薬局を使うぶんはこのデータには現れません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、三重県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。

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中勢伊賀医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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