CrossHealth / 薬局持久度レポート

需要が増える医療圏は、ひとつも無い。問われるのは軒数ではなく距離

高知県4つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要・面積で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町村まで下りたレポートへ進めます。

データ: crosshealth.db(薬局=GMIS薬局機能情報/人口=社人研2023年推計/処方せん=NDB 2023/境界・面積=国土数値情報N03 2024-01-01)圏の割当て: medical_area_master(NDB335圏と一致)★閉局の軸はありません(名簿の欠測。下の注記を必ずお読みください)

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

高知県の調剤薬局は375軒。65歳以上人口は今後20年で-10.1%減り、4つの二次医療圏すべてで減ります。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんも4圏すべてで細ります。65歳以上が増える二次医療圏を1つも持たない県は全国で6県、さらにすべての圏が2025年にピークを迎え済みなのは5県だけで、高知県はそこに入ります(四国では高知県だけ)。そのうえで高知県の特徴は軒数ではなく距離です。薬局1軒あたりの面積は18.95km²で全国5位、四国4県では他の3県のどこよりも広い。県内でも医療圏によって10.8km²から54.1km²まで5.0倍開き、薬局が0〜2軒の18市町村が県の面積の37.6%を占めています(そこにある薬局は県全体の6.1%)。

4
高知県の二次医療圏
375
調剤薬局(DS専業を除く)
-10.1%
65歳以上人口 2025→2045
18.95km²
薬局1軒あたり面積(全国5位)

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを示しています。4圏すべてがマイナスで、いちばん深いのが安芸(-30.6%)、いちばん浅いのが中央(-3.3%)です。

中央:薬局278軒/1軒あたり処方せん(→2050) -3.3%(クリックで詳細)中央安芸:薬局27軒/1軒あたり処方せん(→2050) -30.6%安芸幡多:薬局44軒/1軒あたり処方せん(→2050) -21.9%幡多高幡:薬局26軒/1軒あたり処方せん(→2050) -28.6%高幡
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
-30.6%-3.3%
医療圏そのものの形で塗り分けています。
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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか減るか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内でのシェア移動を示す相対値で、意味が違います。また高知県は面積の軸を併記しています(メッシュ未投入のため徒歩10分カバー率は出していません)。

面積 ── 軒数でなく距離薬局1軒が18.95km²を負う。全国5位

高知県の面積は7,105km²、薬局は375軒。1軒あたり18.95km²は全国5位で、四国では2番目に広い徳島県の10.77km²の1.76倍にあたります。県内で見ると、高知市は県の面積の4.4%に薬局の48.0%が集まる一方、薬局が0〜2軒の18市町村は県の面積の37.6%を占め、そこにある薬局は23軒(県全体の6.1%)です。ただしこれは行政区域面積で、可住地面積ではありません。森林や道路事情は含まれておらず、徒歩10分カバー率の代わりにはなりません。

人口動態 ── 需要の源高知県は「人が減り、お年寄りも減りはじめる」

高知県全体では、総人口は647,948→488,469人(-24.6%)と減り、65歳以上も241,067→216,712人(-10.1%)と減ります。高齢化率は37.2%→44.4%へ上がりますが、それは分母が速く減るからです。高齢化率37.2%は全国2位の高さ(1位は秋田県40.1%)、65歳以上人口の減り-10.1%は全国3位の深さです。65歳以上人口のピークは推計上すでに2025年で、4つの医療圏すべてがピークを過ぎています。これに当てはまる県は全国で5県(山形県・秋田県・青森県・高知県・鳥取県)だけです。

総人口65歳以上
0万18万35万52万70万20252030203520402045205045万21万

集中 ── 高知市とそれ以外県の面積の4.4%に、薬局の48.0%

高知市には180軒=県全体の48.0%の薬局があり、人口の48.0%・65歳以上の41.4%が住んでいます。それが県の面積の4.4%に収まっている一方、薬局が1軒も無い市町村が5あり(北川村・馬路村・大豊町・大川村・三原村)、その面積は県の12.1%、住んでいるのは6,039人(うち65歳以上3,223人)です。さらに、34市町村のうち65歳以上人口が2045年に増えるのは高知市ただ1つ(+5.3%)で、残る33市町村はすべて減ります。

機能 ── 届け出ている薬局の割合かかりつけ・地域連携・在宅

高知県375軒のうち、かかりつけ薬剤師指導料等の届出は58.4%、地域連携に関する届出は43.2%、在宅(総合)は49.1%です。医療圏では、かかりつけが51.9%〜61.5%、在宅が25.9%〜53.8%と開きます。ただし薬局27軒の安芸・26軒の高幡は分母が小さく、数軒の差で率が大きく動くため順位づけには使えません。

閉局 ── 消えた薬局と、続いた薬局1年で21件の廃止届。うち16件は引き継がれなかった

直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に高知県で出された薬局の廃止届は21件。うち5件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継で事業が続いています=その場所から薬局が消えたわけではありません。残る16件が「引き継ぎ手がないまま無くなった」=真の閉局です。薬局375軒に対して4.27%にあたります。廃止届のうち引き継がれなかった割合は76.2%で、閉じた薬局の4軒に3軒は後継がいなかったことになります。うち10件は高知市で起きており、県全体の真の閉局の62.5%を1つの市が占めます。

ランキング ── 圏域差4つの医療圏、すべてが縮む側

安芸(-30.6%)から中央(-3.3%)まで、27.3ポイントの開きがあります。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。実際には開局・閉局で店数も動きますが、その将来推計は現在再学習中で、高知県は閉局の実績データそのものが名簿に無いため、店数を動かすモデルは当てはめていません。

安芸
-30.6%
高幡
-28.6%
幡多
-21.9%
中央
-3.3%

四国4県 ── 横に並べる薬局はいちばん少なく、面積はいちばん広い

四国4県のうち高知県は薬局375軒で最も少なく、面積7,105km²で最も広く、高齢化率37.2%で最も高く、65歳以上人口の減り-10.1%で最も深い。薬局1軒あたりの面積18.95km²は、四国で2番目の徳島県(10.77km²)の1.76倍です。真の閉局率も同じ12ヶ月で並べると高知県が4.27%で、愛媛県2.68%・香川県2.10%より高くなっています。ただし徳島県は名簿の号が3本欠けており件数が過少になるため、順位の比較からは外しています。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(都道府県・二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の助言もしません。ファクトを出し、判断は読み手に委ねます。
  • ★【閉局データの経緯】高知県の閉局は2026-07-28に復旧して掲載できるようになりました。同日午前まで0件と表示されていましたが、それは「閉局が無かった」のではなく、こちらの取り込みプログラムが高知県の名簿の書式(機関番号の表記)を読めていなかったためです。名簿そのものには最初から記載がありました。「データが無い」ことを「事象が無い」と読んではいけない、という例です。
  • 【閉局の集計期間】真の閉局・移転承継・廃止届は「直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)」の値です。兵庫・京都・滋賀・北海道・神奈川・富山・岐阜・三重・石川・静岡・沖縄と同じ期間なので、そのまま並べて比較できます。この期間に必要な名簿の号がそろっていることを、一次資料のPDFを1本ずつ読んで確認しています。
  • ★【2024年以前の件数は下限】2023年9月〜2024年10月と2024年12月の計15ヶ月は、名簿の号そのものが手元にありません。この期間を含む集計(全期間・年次推移)は過少であり、年ごとの増減をトレンドとして読むことはできません。上記の12ヶ月の窓はこの欠けの外にあります。
  • 【真の閉局と移転・承継】廃止届のうち、新しい機関コードが記載されているものは移転・承継=その場所から薬局が消えたわけではないため、「真の閉局」から除いています。両方を併記しているのは、「薬局が本当に無くなった数」と「経営体の入れ替わりの総量」を区別できるようにするためです。
  • ★【医療圏別の率を出していない圏があります】安芸・高幡・幡多は、薬局が30軒未満か、廃止届が5件未満のため、閉局率・承継率を出していません。1件動くだけで率が数ポイント動き、圏どうしの順位づけに使えないためです。件数そのものは実測値として載せています。
  • ★【面積について】薬局1軒あたり面積(km²/軒)は、国土数値情報N03の行政区域ポリゴンから求めた幾何指標です。可住地面積ではありません。高知県は森林の占める割合が大きく、実際に人が住んでいる範囲での距離はこの値より近くなります。道路網・公共交通・中山間の峠・季節の通行止めは一切考慮していません。徒歩10分カバー率の代用ではありません。
  • 【徒歩アクセス】250mメッシュ(mesh_backbone_250m)に高知県分が未投入のため、他県版にある「徒歩10分以内に薬局がある人口の割合」は出していません。
  • 【将来の薬局数】薬局の数は2025年で固定して計算しています。開局・閉局による将来の店数変化は織り込んでいません(供給動学モデルは全国再フィット待ちのため差し止め中で、高知県は閉局の実績データそのものが無いため当てはめられません)。
  • 【処方せんの推計】市町村別の処方せん枚数は実測ではありません。NDBの最小公表単位が二次医療圏のため、圏の実績を市町村の65歳以上人口シェアで按分した推計値です。「1人あたりの利用率は今のまま」という単純化を置いています。中山間の住民が高知市の医療機関で受診・調剤する分は、按分では住所地側に配分されます。
  • 【小さい分母】薬局が8軒未満の市町村が19、0軒の市町村が5あります。率どうしの順位づけには使えません。また安芸(27軒)・高幡(26軒)は二次医療圏そのものが小分母で、率の比較には使っていません。
  • ★【個店になってしまう粒度】薬局が1〜2軒の市町村が13あります(東洋町・安田町・田野町・芸西村・仁淀川町・本山町・土佐町・日高村・檮原町・中土佐町・津野町・大月町・黒潮町)。これらは市町村単位の集計がそのまま個店の記述になるため、本文の主役・見出しには使わず、市町村詳細(Lv3)の対象からも外しています。
  • 【高齢化率が上がる意味】高知県の高齢化率は2025年から2045年にかけて上がりますが、65歳以上人口そのものは減ります。分子(高齢者)も減り、分母(総人口)がもっと速く減るためです。「高齢化が進む=需要が増える」は高知県では成り立ちません。
  • 【全国順位の読み方】65歳以上人口の減り-10.1%は全国3位の深さですが、すぐ上の山口県とは0.004ポイント差しかなく、小数第1位に丸めるとどちらも同じ値になります。順位は生値で判定しています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ・地域連携・在宅の届出率はGMIS薬局機能情報にもとづく実測値です(高知県は取込済み)。届出は「できること」の宣言であり、実際の実施件数ではありません。
  • 【データの時点】薬局・機能情報=GMIS薬局機能情報/人口=社人研2023年推計(2025〜2050の5年刻み)/処方せん=NDBオープンデータ2023年度/境界・面積=国土数値情報N03 2024-01-01。

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