CrossHealth / 薬局持久度レポート

薬局が最も密に置かれた県で、需要のほうが先に減りはじめる

香川県3つの二次医療圏の薬局を、供給・高齢化・需要で見える化。地図の医療圏をクリックすると、市町まで下りたレポートに入れます。

3二次医療圏/17市町薬局 525軒(2025年)閉局の集計期間 2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

香川県の調剤薬局は525軒。県の面積は1,877km²で、薬局1軒あたり3.57km²——中国四国9県でいちばん狭く、いちばん薬局が密に置かれている県です。ところがその需要側は、20年で-1.7%。高齢化が進むのに65歳以上の人口そのものが減りはじめるため、処方せんは増えません。3つの医療圏のうち、65歳以上がすでに2025年をピークに減りはじめている圏が2圏あり、そこに県内の薬局の45.5%があります。

525
薬局
1軒あたり3.57km²(中国四国9県で最小)
12,606枚/年
薬局1軒あたり処方せん
2045年は12,396枚(-1.7%)
30.1万
65歳以上人口
2045年 29.6万人(-1.7%)
11
直近12ヶ月の閉局
廃止届19件のうち8件は移転・承継

地図 ── クリックで深掘り薬局1軒あたり処方せんの、医療圏ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化。薬局の数がいまのままだと仮定して、高齢化で処方せんがどう動くかを表しています。香川県は-25.8%(小豆)から+3.8%(東部)まで、3圏の幅が29.6ポイントあります。

小豆:薬局12軒/1軒あたり処方せん(→2026) -25.8%(クリックで詳細)小豆東部:薬局286軒/1軒あたり処方せん(→2026) +3.8%(クリックで詳細)東部西部:薬局227軒/1軒あたり処方せん(→2026) -6.3%(クリックで詳細)西部
色=薬局1軒あたり処方せんの変化(→2045)
-25.8%+3.8%
医療圏そのものの形で塗り分けています。地図の医療圏をクリックすると、その圏のページへ移動します。

この県の二次医療圏一覧(3圏)

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Lv1のこの色は絶対値(その医療圏の処方せんが実際に増えるか)です。医療圏ページ(Lv2)の色は圏内での相対値(圏の中で高齢者のシェアがどちらに動くか)で、意味が違います。小豆医療圏は薬局12軒の小分母なので、率の順位づけには使っていません。また小豆は圏まるごとが島、東部の直島町も島です。同じ縮尺の1枚に載せると島が小さくなりすぎるため、地図は離島を別枠(インセット)で描くことを推奨します。

人口動態 ── 需要の源「人が減り、お年寄りが増える」が、香川では成り立たない

香川県全体では、総人口が91万→76万人(-16.4%)と減ります。ここまでは他県と同じです。違うのはその次で、65歳以上も30.1万→29.6万人(-1.7%)と減る。高齢化率は33.0%→38.8%へ上がりますが、これは分母(総人口)が速く減るからで、薬を使う人の頭数そのものは増えません。65歳以上が減る都道府県は全国21県あり、香川県はその1つです。

総人口65歳以上
0万25万50万75万100万20252030203520402045205072万29万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口・65歳以上人口ともに右肩下がり。

分業 ── 薬局に届いていない処方せん院外に出ているのは76.8%。小豆はまだ半分以下

香川県で外来処方せんが院外(薬局)に出ている割合は76.8%で、全国平均80.7%を下回ります。院内に残っている枚数は年間200万枚。仮に全国平均まで分業が進めば、薬局に届く処方せんは年間339,662枚(1軒あたり647枚)増える計算です。圏の中では東部75.9%・西部79.3%に対し、小豆は47.6%——島の外来処方せんは、いまも半分以上が病院・診療所の中で出されています。これは「そうなる」という予測ではなく、いまどこに処方せんがあるかという事実です。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局廃止届19件のうち8件は、誰かが引き継いでいる

2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)に香川県で出された薬局の廃止届は19件。このうち8件は新しい機関コードが記載されており、移転や承継=その場所から薬局が消えたわけではありません。地域から本当に薬局が無くなった「真の閉局」は11軒、いまある525軒に対して2.1%です。ただしこの率を他ブロックの県と並べてはいけません。廃止名簿は地方厚生局ごとに作られ方が違い、取り込みの捕捉率も違うためです。比較してよいのは中国四国9県どうしと、香川県内の医療圏どうしだけです。

機能 ── 届け出ている薬局の割合かかりつけ71.2%・地域連携51.0%・在宅50.5%

薬局機能情報提供制度(GMIS)への届出は、香川県の525軒すべてにあります(欠測ゼロ)。かかりつけ薬剤師の届出は71.2%、地域連携は51.0%、在宅対応は50.5%。圏で見ると、東部・西部が7割台で並ぶのに対し、小豆は かかりつけ58.3%・地域連携16.7%・在宅25.0%と低くなります。ただし小豆は分母が12軒で、1軒で8.3ポイント動きます。

ランキング ── 圏域差処方せんが増える医療圏・減る医療圏

小豆(-25.8%)から東部(+3.8%)まで29.6ポイント。薬局の数がいまのままなら、1軒あたりの処方せんはこう動きます。実際には開局・閉局で分母が動くため、そのままの未来にはなりません。

小豆
-25.8%
西部
-6.3%
東部
+3.8%

くわしい数字3医療圏データ一覧

地域(医療圏)薬局1軒あたり処方せん
2025 → 2026(枚/年)
変化
東部28612,621 13,101+3.8%
西部22712,872 12,060-6.3%
小豆127,244 5,376-25.8%

※処方せんはNDBの医療圏別実績(2023年)に、将来推計人口の65歳以上人口の伸びを掛けた推計です。薬局数は2025年時点で固定しています。※小豆医療圏は薬局12軒の小分母(small_n)で、率の順位づけには使えません。※閉局は2025年5月〜2026年4月の12ヶ月。他ブロックの県との比較はできません。

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのか香川県の医療圏は、すべて郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。香川県の3の二次医療圏を分けると、都市型が0圏・郊外型が3圏です。競争側の比率は圏によって0.00〜0.45まで開きます(0.5以上なら都市型)。同じ県のなかでも、減り方の筋道は一様ではありません。このうち2圏は、社人研の推計で20年に15%を超えて人口が減る側に入ります。県全体の総人口は2025→2045で-16.4%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。名簿の欠号が54%あります。閉局の件数は下限値(実際はこれ以上)として扱ってください。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は90.5%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。香川県でこの名簿に載っている保険薬局は518軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 469軒=90.5%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 345軒=66.6%、在宅薬学総合体制加算 240軒=46.3%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 395軒=76.3%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回66.6%/これまで71.2%(差-4.6ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回90.5%/これまで51.0%(差+39.5ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回46.3%/これまで50.5%(差-4.2ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。同月版でそろえた全国比較では、地域支援・医薬品供給対応体制加算は90.5%で全国47都道府県中36位、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は66.6%で全国47都道府県中6位、在宅薬学総合体制加算は46.3%で全国47都道府県中6位、電子的調剤情報連携体制整備加算は76.3%で全国47都道府県中46位です。順位は名簿の数え方がそろっている範囲での並びで、地域の医療の良し悪しを表すものではありません。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

いま出していない数字いま出していないのは、2045年の薬局店数の推計だけです

このページでは、次の数字をまだ出していません。(1)2045年の薬局店数 2045年に薬局が何軒になるかという推計です。供給動学モデルは47都道府県のフル学習に更新され、「どの筋道で閉じるか」の係数は検算に通りました。しかし店数の水準を出すには、閉じる側と開く側の数え方がそろっている必要があります。実際に20年ぶん回すと全国で+25.4%(薬局が2割以上増える)、薬局の少ない医療圏では最大+913%という結果になりました。原因は2つで、ひとつは新規指定の名簿がほぼ完全に取れるのに対して廃止届のほうに取りこぼしが残ること(モデルの純増+1074軒/年に対し名簿の実測は+387軒/年)、もうひとつは薬局の少ない医療圏で開局数が全国平均側に引っ張られること(20軒未満の圏では推定2.5軒/年に対し実測0.33軒/年)です。 解禁の条件は、廃止届の取りこぼしをなくすこと(東海北陸のOCR再収穫・名簿の多年化)と、小さい医療圏で開局数が平均へ引っ張られないようにモデルを直すことです。数字を急いで出すより、間違っていた数字を下げるほうを選んでいます。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 小豆 薬局12軒・2市町・1軒あたり処方せん -25.8%
  • 西部 薬局227軒・10市町・1軒あたり処方せん -6.3%
  • 東部 薬局286軒・5市町・1軒あたり処方せん +3.8%

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 薬局数は `pharmacies`(香川県・調剤あり)の525軒。調剤をしないドラッグストア専業70店は除いています。
  • 市町→二次医療圏の対応は `medical_area_master` を唯一の正としています(`pharmacies.iryo_ken` との差分は0件でした)。
  • 薬局の位置は届出上の市町村コード。525軒すべてにあり、座標からの推定で補った店は0軒です。
  • 閉局は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)の12ヶ月。「真の閉局」は廃止届のうち新しい機関コードの記載が無いもの(11件)で、記載があるもの(8件)は移転・承継として分けています。37件すべてに座標があり、市町に配れない閉局はありません。
  • ★閉局率を他の地方厚生局ブロックの県と比べることはできません。名簿の作られ方と取り込みの捕捉率が構造的に違うためです。比較してよいのは中国四国9県どうしと、香川県内の医療圏どうしだけです。
  • ★承継率(廃止届のうち真の閉局が占める割合)は、中国四国ブロックの中でも県どうしで比べられません。中国5県と四国は別のソース・別のパーサで取り込まれており、移転・承継の判定が同じ基準である保証がないためです。
  • ★徳島県・高知県はかつて、名簿の取り込みの欠陥で閉局が0件と表示されていました(閉局が起きていないのではなく、同じ号のPDFに実在する廃止明細が取り込まれていませんでした)。取り込みは修正され、2026-08版から両県とも12ヶ月窓の収録が揃ったため、閉局率の比較に含めています。
  • ★暦年ごとの推移や複数年の窓は出していません。名簿の号が確認できるのは2024年11月以降で、それ以前は収録が部分的だからです。`clo_by_year_lower_bound` は下限としてのみ持っています。
  • 小豆医療圏は薬局12軒の小分母(small_n)です。閉局率・届出率の圏どうしの順位づけには使っていません。
  • 直島町(薬局1軒)は、市町単位の集計がそのまま個店の記述になるため、本文の主役にせず、市町詳細(Lv3)の対象からも外しています。
  • 「本土」という語は使っていません。香川県は瀬戸内海の島を多数抱え、離島以外の市にも島嶼部があるためです。離島距離は「その島の外にある最寄りの薬局までの直線距離(海上を含む)」です。
  • 市町別の処方せん枚数は実測ではありません。NDBの最小公表単位が二次医療圏のため、65歳以上人口で按分した推計です。島の住民が島の外で受診・調剤する分は按分では島側に配分されるため、実際の受療動向とはずれます。
  • 薬局数は2025年で固定しています。将来の開局・閉局は見込んでいません。
  • 徒歩でのアクセス率は本レポートにはまだ入れていません(`mesh_backbone_250m` に香川県分は13,394セル投入済み。算出は次回更新で追加予定)。
  • 面積・薬局1軒あたり面積の比較は中国四国9県の中でのみ行っています。
  • 『薬局1軒あたり処方せんの変化』は、Lv1では絶対値、Lv2(医療圏ページ)では圏内の相対値です。地図の凡例の意味が階層で違います。
  • 個店のランキング・名指しの閉局予測・出店戦略の助言は一切含んでいません。地域単位の事実のみを扱っています。
  • 2045年の薬局店数の推計は、いまも掲載していません(参入と退出の数え方がそろわないため)。医療圏の「都市型/郊外型」の分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • このページで言えないこと:将来の薬局店数、医療圏の類型分け、徒歩でのアクセス率、暦年ごとの閉局の推移、他ブロックの県との閉局率の比較、そして「なぜ香川県で65歳以上が減るのか」という理由。いずれも手元のデータからは言えません。

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