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CrossHealth / 薬局持久度レポート
廃止届12件のうち、9件は引き継がれた
飯塚医療圏3市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
飯塚医療圏は、飯塚市・嘉麻市・桂川町の3市町からなる圏域です。薬局は91軒(県内8位)。「承継されなかった割合」25.0%は、真の閉局が出た圏の中では県内で最も低く、担い手の引き継ぎが機能している圏です。3市町のすべてで、65歳以上人口はすでにピークを過ぎています。
経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)で見ると、いちばん沈むのが嘉麻市(-16.7%)、いちばん伸びるのが飯塚市(+6.3%)で、その差は23.0ポイント。マイナス側は2市町です。ただしこれは圏内での取り分の話で、圏全体の65歳以上人口は-12.4%と減ります。相対的に伸びる飯塚市も、絶対量では-6.9%です。65歳以上人口そのものが15%以上減るのは嘉麻市・桂川町です。嘉麻市は高齢化率が現時点で43.2%(2045年には49.2%)と圏内で最も高く、総人口も-35.8%と圏内でもっとも減ります。薬局がいちばん多いのは飯塚市の74軒で、圏内の81.3%を占めます(経営体力+6.3%)。閉局の面では、直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に出た廃止届12件のうち9件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは3軒(3.3%)でした。薬局数に対する比率がいちばん高いのは飯塚市の4.05%(74軒中3軒)です(比較は薬局8軒以上の市町に限る)。引き継がれなかった割合は25.0%で、福岡県全体(41.1%)より低い水準です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが嘉麻市(-16.7%)、いちばん緑なのが飯塚市(+6.3%)で、同じ飯塚医療圏の中に23.0ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源飯塚医療圏は「人も減り、お年寄りも減る」
なぜ市町ごとに明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。飯塚医療圏全体では、総人口は16.7万→13.5万人(-18.9%)、65歳以上は5.8万→5.1万人(-12.4%)と推移します。高齢化率は34.9%→37.7%。65歳以上のピークは圏全体で2025年——つまり起点の年で、すでに減少局面です。圏内3市町のすべてで、65歳以上人口のピークは2025年(=すでに減少局面)です。福岡県全体では65歳以上が+7.3%増える推計ですから、この圏域は県の平均とは逆を向いています。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
嘉麻市(-16.7%)から飯塚市(+6.3%)まで23.0ポイントの開き。マイナスは2市町です。なお桂川町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。
県の医療計画県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
この圏域を名指しした記述は、収録済みの計画本文からは見つかりませんでした。
くわしい数字3市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 飯塚市 | 74 | 32.5% | 10,480 → 11,139 | +6.3% |
| 嘉麻市 | 14 | 43.2% | 19,209 → 16,009 | -16.7% |
| 桂川町 | 3 | 37.8% | 29,598 → 28,273 | -4.5% |
※処方せん需要は飯塚医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、福岡県では元データが未取込のため掲載していません。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 福岡県(ひとつ上・Lv1)=13の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 飯塚医療圏(このページ・Lv2)=3市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。飯塚医療圏にいまある91軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.31です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-18.9%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は83.3%です
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。飯塚医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は96軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 80軒=83.3%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 37軒=38.5%、在宅薬学総合体制加算 30軒=31.2%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 75軒=78.1%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】飯塚医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,133,225枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(福岡県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に87.6=実数としては減ります)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(飯塚医療圏で3件)。廃止届は全部で12件出ていますが、そのうち9件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、九州厚生局管轄8県でそろえた共通の窓です。大阪府・千葉県の公開値(いずれも暦年2025)とは期間が違うため、全国比較にはLv1の参考窓(暦年2025(2025年1月〜12月・12ヶ月)・3件)を使ってください。
- 【機能の届出率】厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(8厚生局・47都道府県を同じ月の版でそろえたもの)で数え直し、掲載に切り替えました。分母は名簿に載る96軒で、地域支援・医薬品供給対応体制加算83.3%/かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定)38.5%/在宅薬学総合体制加算31.2%/電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)78.1%です。かかりつけ薬剤師と電子的調剤情報連携体制の2項目は、令和8年度改定で届出名称が変わったため代理指標を用いた推定です(本文に明記)。届出は「その体制をとると届け出た」記録で、提供実績ではありません。
- 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口は福岡県分が投入済みですが、カバー率の算出は本レポートにはまだ入れていません=次回更新で追加予定です。
- 【★4年ぶんの件数は下限値】圏内の4年窓(4年窓(2022年5月〜2026年4月・48ヶ月))の真の閉局は8軒・廃止届20件ですが、九州の廃止名簿は2024年に5号が欠けており、廃止日2023年12月〜2024年6月の7ヶ月は件数が実際より少なく出ています。4年窓の値は**下限**としてお読みください(詳細はLv1の clo_4y_note)。既定の集計期間(直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月))はこの穴の外にあり影響を受けていません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(未割当0件)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【小さすぎる分母】桂川町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
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