新潟県下越(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

かかりつけ届出率は県内最高。その圏に、薬局のない島がある

下越医療圏6市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 下越医療圏 6市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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下越医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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下越医療圏は村上市・新発田市など6市町村・薬局98軒。かかりつけ薬剤師の届出率82.7%は県内7医療圏で最高、暦年2025の真の閉局率1.02%は県内最低と、指標は穏やかに見えます。しかし圏内の落差は県内最大です。65歳以上人口の変化は聖籠町の+11.1%から粟島浦村の-49.6%まで60.7ポイント——新潟県7医療圏どうしの落差29.0ポイントの2.1倍が、この圏に収まっています。

6
下越医療圏の市町村
98
圏内の薬局数(県全体の8.5%)
1
薬局が1軒もない自治体(離島)
-20〜+26%
経営体力の変化レンジ(市町村差)

下越医療圏の中身は4層に分かれます。ひとつめは新発田市。薬局52軒=圏内の53.1%が集まり、経営体力+5.8%と圏内で唯一プラス側です。ふたつめは村上市(30軒)。65歳以上人口が-19.8%と減り、4年窓の真の閉局5件は圏内最多です。みっつめは聖籠町(薬局3軒)。新潟市の区を除けば、65歳以上人口が1割以上増えるのは県内でこの町だけ(+11.1%・ピーク2045年)です。そして北の端に、関川村(薬局1軒・1軒あたり面積299km²)と、日本海の離島・粟島浦村(薬局0軒=県内で唯一)があります。粟島浦村の65歳以上人口は-49.6%と県内最大の縮小で、高齢化率はむしろ43.9%→33.2%と下がります——高齢者が先に減っていくためです。閉局の面では、暦年2025の廃止届は3件(真の閉局1件・移転承継2件)と静かで、4年窓(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))でも廃止届23件のうち引き継がれなかったのは39.1%=県平均(42.9%)より低く、県内では新潟医療圏に次いで2番目に低い水準です。担い手の入れ替わりで薬局が残ってきた圏、と読めます。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが関川村(-20.5%)、いちばん緑なのが聖籠町(+26.2%)で、同じ下越医療圏の中に46.7ポイントの開きがあります。粟島浦村は薬局が0軒のため1軒あたりの数値が計算できず、色がつきません。

人口動態 ── 需要の源下越医療圏の65歳以上人口はもう減っていく

なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。下越医療圏全体では、総人口は18.7万→13.9万人(-25.5%)と減り、65歳以上は6.9万→6.1万人(-12.0%)と減ります。高齢化率は37.0%→43.8%へ。65歳以上のピークは2025年——つまり起点年で、圏全体がすでに減少局面に入っています。圏内6市町村のうち5市町村でピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る市町村は5あります。高齢化率が圏内で最も高いのは関川村の46.0%(2045年に54.5%)、総人口の減りが最大なのは関川村(-40.9%)です。

総人口65歳以上
0万5万10万15万20万20252030203520402045205013万6万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2025年です。

医療計画 ── 県の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

県立新発田病院は救命救急センター*を併設し、高度・専門的医療を担っており、当圏域内の基幹的な病院として設置されています。

新潟県地域保健医療計画 第8次新潟県地域保健医療計画 PDF 24ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、圏内で29.4倍違う

下越医療圏の面積は2,314km²で、薬局98軒で割ると1軒あたり23.6km²(県内3位の広さ・県平均10.8km²)。圏内では新発田市の10.2km²から関川村の299.4km²まで29.4倍開きます。薬局のない粟島浦村(303人・うち65歳以上133人)は離島で、この幾何の指標にすら乗りません。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路網・公共交通・冬期の積雪は含みません。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は46.8%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、下越医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は46.8%(県全体60.1%)、20分圏で61.8%です。徒歩10分圏の外には99,474人が住んでいます。市町村別では新発田市の59.7%から関川村の17.0%まで開きます。薬局0軒の粟島浦村は徒歩10分圏0%です(離島のため「最寄り」が海の向こうになり、徒歩の分数自体が成立しません)。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。冬期の通行止め・公共交通は含みません。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

関川村(-20.5%)から聖籠町(+26.2%)まで46.7ポイントの開き。マイナスは3市村です。ここでの色は圏内での相対値で、圏全体の需要は-12.0%と減るため、プラス側も「圏内で相対的にまし」という意味に近い——ただし聖籠町だけは絶対量でも65歳以上が+11.1%と増えます。なお関川村・聖籠町は薬局8軒未満のため1軒あたりの数値は振れやすく、粟島浦村は薬局0軒のため空欄です。

関川村
-20.5%
村上市
-8.9%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
胎内市
-3.7%
新発田市
+5.8%
聖籠町
+26.2%
薬局0の自治体(粟島浦村)はランキング対象外です

くわしい数字6市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
新発田市5234.6%12,602 → 13,329+5.8%
村上市3042.1%15,357 → 13,994-8.9%
胎内市1238.6%17,859 → 17,203-3.7%
聖籠町327.6%26,912 → 33,971+26.2%
関川村146.0%44,032 → 34,992-20.5%
粟島浦村043.9%薬局なし

※処方せん需要は下越医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。閉局は暦年2025の集計で、移転・承継を除いています(4年窓の列も併記しています)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 新潟県(ひとつ上・Lv1)=7の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 下越医療圏(このページ・Lv2)=6市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市区町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

下越医療圏 6市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。下越医療圏にいまある98軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.39です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-25.5%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.8%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。下越医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は97軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 89軒=91.8%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 72軒=74.2%、在宅薬学総合体制加算 39軒=40.2%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 86軒=88.7%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回74.2%/これまで82.7%(差-8.5ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.8%/これまで46.9%(差+44.9ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回40.2%/これまで49.0%(差-8.8ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】下越医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間1,457,877枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この按分は居住地ベースなので、市区町村をまたいで薬局を使う流出入は映していません。薬局0軒の粟島浦村があるため、市町村別の1軒あたり処方せんを足し戻すと圏のNDB実績に99.8%までしか閉じません(残りは薬局が1軒もない自治体に住む方のぶんです)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(新潟県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に88.0)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(下越医療圏で1件)。廃止届は全部で3件出ていますが、そのうち2件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です(関東信越厚生局の新潟県分は廃止日2022年3月以降が完全なので、暦年2025は完全にそろいます)。件数は2026年6月号までの名簿による生成時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後も増える可能性があります。
  • 【単年の市町村ランキングを性質として読まないこと】圏内の真の閉局は暦年2025で1件、廃止届も3件です。1件で率が大きく動くため、単年の閉局率の比較はできません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(48ヶ月))では廃止届23件・真の閉局9件・引き継がれなかった割合39.1%です。比較にはこの4年値をお使いください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【閉局の位置の割り当て】閉局は廃止届の住所を市区町村に解決して数えています(届出住所ベース・全件解決)。座標による点内判定との突き合わせでは、県内312件のうち2件だけ割り当てが食い違い(座標の誤り1件・判定側の処理の癖1件)、本レポートはいずれも届出住所側を正としています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある98店を分母にしています(圏内全98店=欠測なし)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・冬期の積雪は含みません。「薬局1軒あたり23.6km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率46.8%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・冬期条件で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【小さすぎる分母】関川村・聖籠町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。届出率も同様で、薬局1〜3軒の自治体では1店の届出の有無で数十ポイント動きます。薬局8軒以上の3市町村に限ると、1軒あたり処方せんは12,602〜17,859枚に収まります。
  • 【薬局が0軒の自治体】粟島浦村(日本海の離島)には薬局がありません(県内で唯一)。1軒あたり処方せん・経営体力・届出率はいずれも計算できないため、表・地図では空欄になります。徒歩カバー率の計算では、この島の最寄り薬局は海を越えた本土の薬局になってしまうため、「徒歩10分圏0%」という事実だけが意味を持ちます(徒歩の分数そのものは成立しません)。島内の医療は診療所等が担っていると考えられますが、本レポートの対象外です。
  • 【一斉の付け替え(塊)】4年窓の廃止届のうち1件は、同一の屋号が同じ廃止日にまとめて出した届出(3件以上のクラスタ)に当たります(clo_relo_bulk_4y / clo_true_bulk_4y として機械可読で保持)。承継の件数を「地域で代替わりが活発」と読まないでください。

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下越医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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