神奈川県横浜(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

同じ市の中に、これから60%増える区と、もう増え終わった区がある

横浜医療圏(横浜市18区)の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 横浜医療圏 横浜市18区期間 2025年 → 2045年概要版・無料

横浜医療圏は横浜市の18行政区そのもので、薬局は1,630軒——神奈川県全体の40.0%がこの1市に集まっています。65歳以上人口の2025→2045変化は金沢区の+3.3%から都筑区の+61.1%まで、57.8ポイントひらきます。これは神奈川県の9医療圏どうしの落差(38.0ポイント)よりも大きく、県全体の落差が、この1つの市の中にまるごと入っているということです。

18
横浜医療圏の行政区
1,630
圏内の薬局数
34
2025年に閉じた薬局(承継・移転を除く)
-17〜+30%
経営体力の変化レンジ(区差)

横浜医療圏の中では、どの区も65歳以上人口はまだ増えます。18区すべてでピークは2040年以降で、すでに減少局面に入った区はありません。けれども増え方が違いすぎます。はっきりした並びがあって、いま高齢化率が高い区ほど、これから65歳以上が増えません(現在の高齢化率と2025→2045の65歳以上増加率の順位相関は-0.942)。高齢化率が30%を超える6区(金沢区・栄区・旭区・泉区・港南区・瀬谷区)は65歳以上の増加が+3.3〜+16.3%にとどまるのに対し、高齢化率が22%未満の4区(西区・港北区・都筑区・鶴見区)は+33.2〜+61.1%増えます。高齢化の波は、市内を一様には通っていません。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの圏内シェアの2025→2045変化)で見ると、いちばん沈むのが金沢区(-16.8%)、いちばん伸びるのが都筑区(+29.9%)で、その差は46.7ポイント。10区がマイナス側にいます。いまの1軒あたり処方せんにも大きな差があり、中区の8,537枚から栄区の25,942枚まで3.04倍——神奈川県の9医療圏どうしでは1.27倍しか開かないことを考えると、市の中の差のほうがずっと大きいことになります。閉局の面では、2025年に出た廃止届94件のうち60件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは34軒(2.09%)でした(うち5件は関東信越10都県で同日に出た一斉承継の日に当たり、それを除くと引き継がれなかった割合は36.2%→34.8%になります)。2025年の1年では4区(南区・瀬谷区・泉区・西区)がゼロですが、2022〜2025年の4年に広げると18区すべてで真の閉局が起きています(4年で計122軒・年30.5軒)。1年ゼロは「起きない」ではなく「少ない」です。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が区によって中区の55.2%から都筑区の81.5%まで開きます。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、区ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが金沢区(-16.8%)、いちばん緑なのが都筑区(+29.9%)で、同じ横浜市の中に46.7ポイントの開きがあります。赤い区が市の南部・西部に、緑の区が北部に寄っている点にご注目ください。

金沢区:薬局86/1軒あたり処方せん -16.8%栄区:薬局40/1軒あたり処方せん -14.9%港南区:薬局94/1軒あたり処方せん -12.9%旭区:薬局101/1軒あたり処方せん -11.3%南区:薬局81/1軒あたり処方せん -10.4%磯子区:薬局69/1軒あたり処方せん -7.9%瀬谷区:薬局48/1軒あたり処方せん -7.5%泉区:薬局63/1軒あたり処方せん -6.3%保土ケ谷区:薬局78/1軒あたり処方せん -5.2%戸塚区:薬局110/1軒あたり処方せん -0.5%戸塚区緑区:薬局71/1軒あたり処方せん +4.8%鶴見区:薬局107/1軒あたり処方せん +7.3%鶴見区神奈川区:薬局104/1軒あたり処方せん +7.3%奈川区中区:薬局116/1軒あたり処方せん +8.4%中区青葉区:薬局147/1軒あたり処方せん +11.6%青葉区港北区:薬局161/1軒あたり処方せん +14.8%港北区西区:薬局62/1軒あたり処方せん +17.6%都筑区:薬局92/1軒あたり処方せん +29.9%
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-17%)増える(+30%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源横浜医療圏は「人はほぼ横ばい、お年寄りは+24%」

なぜ区で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。横浜医療圏全体では、総人口は378.7万→360.4万人(-4.8%)とわずかに減り、65歳以上は98.2万→121.8万人(+24.1%)と増えます。高齢化率は25.9%→33.8%へ。65歳以上のピークは2045年で、圏内18区のうちすでにピークを過ぎた区は0——つまり、市全体としてはまだ「これから」の段階です。ただし総人口のほうは13区が2045年までに減ります。高齢化率がいちばん高い金沢区(31.8%)といちばん低い西区(19.4%)では12.4ポイント違います。同じ市の中に、20年ぶんの時間差があるということです。

総人口65歳以上
0万95万190万285万380万202520302035204020452050354万122万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。総人口は2025年から2050年までゆるやかに減り、65歳以上は2045年にピークを迎えます。

ランキング ── 区差経営がしんどくなる区・楽になる区

金沢区(-16.8%)から都筑区(+29.9%)まで46.7ポイントの開き。マイナスは18区のうち10区です。この色は圏内でのシェア移動なので、マイナスでも横浜市全体としては需要が+24.1%増えることを忘れないでください(絶対量では金沢区でも+3.3%で、減りはしません)。横浜医療圏には薬局が8軒に満たない区も、0軒の区もありません。

金沢区
-16.8%
栄区
-14.9%
港南区
-12.9%
旭区
-11.3%
南区
-10.4%
磯子区
-7.9%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
港北区
+14.8%
西区
+17.6%
都筑区
+29.9%

くわしい数字横浜市18区データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
港北区16120.4%12,551 → 14,406+14.8%
青葉区14724.7%14,013 → 15,634+11.6%
中区11624.0%8,537 → 9,255+8.4%
戸塚区11026.8%18,738 → 18,635-0.5%
鶴見区10721.8%16,508 → 17,718+7.3%
神奈川区10422.2%14,441 → 15,494+7.3%
旭区10131.0%19,868 → 17,625-11.3%
港南区9430.4%18,524 → 16,139-12.9%
都筑区9220.6%13,056 → 16,954+29.9%
金沢区8631.8%19,154 → 15,943-16.8%
南区8128.0%18,319 → 16,422-10.4%
保土ケ谷区7827.7%19,641 → 18,626-5.2%
緑区7126.0%18,158 → 19,037+4.8%
磯子区6929.2%18,900 → 17,401-7.9%
泉区6330.9%19,730 → 18,495-6.3%
西区6219.4%9,185 → 10,802+17.6%
瀬谷区4830.3%20,294 → 18,777-7.5%
栄区4031.5%25,942 → 22,065-14.9%

※処方せん需要は横浜医療圏全体の実績(NDB)を区の高齢人口で按分した推計です。閉局は暦年2025(1月〜12月)で、移転・承継を除いています。4年計は2022〜2025年の暦年合計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 神奈川県(ひとつ上・Lv1)=9つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 横浜医療圏(このページ・Lv2)=横浜市18区で「同じ市の中の差」を見る。
  • 区(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・行政区)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】横浜医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間26,430,201枚)を、区ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは区別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(神奈川県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に124.1)。マイナスの区も、絶対量では65歳以上人口が減るわけではありません。
  • 【薬局数は2025年で固定】区別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】関東信越厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(横浜医療圏で34件)。廃止届は全部で94件出ていますが、そのうち60件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。既定の集計期間は暦年2025(2025年1月〜12月)です(大阪・千葉・埼玉の公開値と同じ期間)。このうち5件は、関東信越10都県で同じ日にまとまって出た「一斉承継」の日に当たります。法人再編による機関コードの一斉付け替えは1軒1軒の事業承継とは意味が違うため別枠に分けており、これを除くと引き継がれなかった割合は36.2%→34.8%です。
  • 【1年の数字は振れます】2022〜2025年の4暦年で見ると、横浜医療圏の真の閉局は年24件/37件/27件/34件(4年計122件・年平均30.5件)です。既定窓である2025年の34件はこの平均と同じオーダーですが、区の単位まで割ると1年の件数は0〜数件しかなく、順位づけに使えません。表の「4年計」の列を併せてお読みください。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで、閉局した薬局の位置は届出住所から読んだ市区町村で割り当てています(座標は名簿の再取り込みで壊れることがあるため、毎回の検算材料としてだけ使っています)。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。横浜医療圏は全1,630店に申告データがあり(分母1,630店)、欠測はありません。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母について】横浜医療圏には薬局が8軒に満たない区はありません(最少は40軒の栄区)。薬局0軒の区もありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが神奈川県を学習していないため)。

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