兵庫県神戸(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

県内の真の閉局46件のうち15件は、神戸市で起きた

神戸医療圏9区の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 神戸医療圏 9区期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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神戸医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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神戸医療圏=神戸市の9区には、薬局が810軒(県内の28.9%)あります。この12ヶ月の真の閉局15件は県内8医療圏で最多、県全体の32.6%にあたります。いっぽう需要は2045年まで+10.5%伸びる——ただしその伸びは、中央区の+35.7%から長田区の-2.8%まで、区によってまるで違います。同じ市の中の落差38.5ポイントは、県内8医療圏で2番目の大きさです。

9
神戸医療圏の区
810
圏内の薬局数
14
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
90.2%
徒歩10分圏カバー率(直線近似)

神戸医療圏は9つの行政区・薬局810軒。中央区の140軒が最多で、徒歩10分圏カバー率(直線近似)も99.6%と県内の市区町で最高です。需要の先行きは市の南西と都心で正反対を向いています。中央区は65歳以上人口が+35.7%と圏内で最も増え、長田区は-2.8%と唯一減る側——9区で65歳以上人口のピークをすでに過ぎたのは長田区だけです。興味深いのは機能の届出で、かかりつけ薬剤師指導料の届出率(87.2%)も在宅(80.9%)も、9区でいちばん高いのは長田区です。県のLv1では「需要が縮む圏域ほど在宅の届出率が低い」という並びでしたが、市の中を見ると、需要が先に縮む区がいちばん厚く届け出ているという逆の例があります(順位の話であり、因果は言えません)。閉局と承継の動きは兵庫区に集中しました。この12ヶ月の廃止届12件(真の閉局3・移転承継9)は圏内で単独最多です。ただし圏全体の移転・承継32件のうち13件は、同一屋号の店舗が同じ日にまとまって新しい機関コードへ移行したチェーン単位の一斉付け替えで、個々の薬局の代替わりが活発だったという意味ではありません。真の閉局は兵庫区・灘区の3件が最多(同数)で、9区のうち8区に散らばっています。1軒あたり処方せんは中央区が6,568枚と圏内最小——薬局が集まる都心ほど、1軒あたりは薄いのです。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、区ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが長田区(-12.1%)、いちばん緑なのが中央区(+22.8%)で、同じ神戸医療圏の中に34.9ポイントの開きがあります。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は90.2%(直線近似)

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、神戸医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は90.2%(県全体80.8%・8医療圏中1位)、20分圏で98.9%です。徒歩10分圏の外には145,499人が住んでいます。区別では中央区の99.6%から北区の74.9%まで開きます。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。

人口動態 ── 需要の源神戸医療圏の65歳以上人口はまだ増える

なぜ区で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。神戸医療圏全体では、総人口は148.0万→128.9万人(-12.9%)と減り、65歳以上は45.4万→50.1万人(+10.5%)と増えます。高齢化率は30.6%→38.9%へ。65歳以上のピークは2045年で、その波がいつ来るかが区で違うのです。圏内9区のうち1つでピークが2025年、65歳以上人口が2045年までに減る区は2あります。

総人口65歳以上
0万38万75万112万150万202520302035204020452050123万49万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは2045年です。

医療計画からの引用県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

「また、神戸市歯科医師会や神戸市薬剤師会をはじめとした関係機関と連携し、在宅療養患者に対する口腔機能管理や服薬管理を推進する。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 276ページ

「阪神北部における患者流出の約半分が在宅医療であり、主な流出先は阪神南部、大阪府、神戸圏域となっているため、各在宅医療圏域に拘らない柔軟な医療介護連携の必要がある。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 290ページ

「・外国出生者や高齢者などのハイリスク者に対して、結核予防に関する啓発や定期健診を勧奨するとともに、接触者への健診の徹底、治療に際しての受診勧奨や服薬支援など地域連携に基づく適正かつ確実な医療を提供する。」

兵庫県保健医療計画 兵庫県保健医療計画(令和6年4月)全文 PDF 272ページ

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。 並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

ランキング ── 区差経営がしんどくなる区・楽になる区

長田区(-12.1%)から中央区(+22.8%)まで34.9ポイントの開き。マイナス側は5区で、長田・須磨・垂水・北の各区と兵庫区がシェアを落とし、都心側(中央・灘・東灘)が伸びる構図です。圏全体の需要は+10.5%増えるため、マイナスの区も「圏内で相対的に」の話です(長田区だけは絶対量でも-2.8%と減ります)。

長田区
-12.1%
須磨区
-11.4%
北区
-8.5%
垂水区
-7.9%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
灘区
+11.2%
東灘区
+14.3%
中央区
+22.8%

くわしい数字9区データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
中央区14024.0%6,568 → 8,068+22.8%
垂水区11232.8%15,087 → 13,899-7.9%
東灘区10627.0%13,198 → 15,083+14.3%
北区9634.0%18,021 → 16,482-8.5%
兵庫区8028.6%9,730 → 9,693-0.4%
西区7832.5%23,780 → 24,076+1.2%
灘区7726.0%11,700 → 13,011+11.2%
須磨区7234.6%18,538 → 16,426-11.4%
長田区4935.6%16,600 → 14,599-12.1%

※処方せん需要は神戸医療圏全体の実績(NDB)を区の高齢人口で按分した推計です。薬局が8軒に満たない自治体では1軒あたりの値が大きく振れます。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 兵庫県(ひとつ上・Lv1)=8つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 神戸医療圏(このページ・Lv2)=9区で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 区(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

神戸医療圏 9市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は都市型(競争淘汰)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。神戸医療圏にいまある810軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.81です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は都市型(競争淘汰)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-12.9%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は93.1%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。神戸医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は801軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 746軒=93.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 520軒=64.9%、在宅薬学総合体制加算 422軒=52.7%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 695軒=86.8%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回64.9%/これまで76.8%(差-11.9ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回93.1%/これまで58.1%(差+35.0ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回52.7%/これまで66.9%(差-14.2ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】神戸医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間11,420,608枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(兵庫県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に110.5)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】近畿厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(神戸医療圏で15件)。廃止届は全部で47件出ていますが、そのうち32件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。兵庫県の廃止名簿は2025年7月号からの収録のため、集計期間は暦年ではなく完全な12ヶ月がそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)と件数を直接並べることはできません。
  • 【件数は生成時点の値】名簿の掲載遅れ(廃止日から名簿に載るまで最大6ヶ月)により、この期間の件数は今後の号で増える可能性があります(2026年6月号までの名簿による値)。
  • 【閉局の場所は届出住所で数えています】閉局の市区町への割当ては、座標ではなく廃止情報の届出住所(「届出上の所在地」)に基づきます。座標のジオコードには境界付近のずれがあり、県内で1件、住所と座標で医療圏が食い違う例がありました(県Lv1・この圏レポートとも届出住所ベースで統一して数えているため、階層間で件数はずれません)。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率90.2%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・地形で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市区町・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・県境は越えません)。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コード、または座標の市区町村境界への点内判定で割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある708店を分母にしています(圏内全810店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。e65_peak_year が2025年の自治体は、起点年がピーク=すでに減少局面という意味です。
  • 【同一屋号の一斉付け替え】この圏域の移転・承継32件のうち13件は、同一の屋号を持つ複数の店舗が同じ廃止日にまとまって新しい機関コードへ移行したもの(チェーン単位の一斉付け替え・同一廃止日×同一屋号で5件以上。clo_relo_bulk として別に保持)です。承継の件数を「地域で個々の代替わりが活発」と読まないでください。なおこの定義は兵庫県の名簿(廃止日が月末日に丸められている)に合わせたもので、他県の「塊」の件数と直接比較できません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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