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CrossHealth / 薬局持久度レポート
政令指定都市なのに、高齢者はもう増えない
北九州医療圏12市区町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
北九州医療圏は、北九州市の7区に中間市と遠賀郡の4町を加えた12市区町からなる、福岡県でもっとも自治体数の多い圏域です。薬局は668軒(県内2位)。ところがこの圏域は、政令指定都市を抱えながら65歳以上人口が2025→2045年で-3.7%と減る、福岡県13医療圏で唯一の圏域です。12市区町のうち9市区町は65歳以上人口がすでにピークを過ぎています。
北九州医療圏の中身は、きれいに2つに割れています。65歳以上人口がこれから増えるのは八幡西区・小倉南区・小倉北区の3区だけ。残る9市区町——中間市・門司区・八幡東区・遠賀町・水巻町・若松区・芦屋町・戸畑区・岡垣町——は、すでに減少局面に入っています。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化)で見ると、いちばん沈むのが中間市(-17.3%)、いちばん伸びるのが小倉北区(+9.5%)で、その差は26.8ポイント。マイナス側は9市区町で、「増える側」と「減る側」の顔ぶれは65歳以上人口のピーク年と完全に一致します。沈み方が深いのは中間市・門司区・八幡東区で、65歳以上人口そのものが15%以上減ります。門司区の高齢化率は現時点で41.5%、2045年には48.1%。門司区は総人口が-28.8%と圏内でもっとも減ります。いっぽう八幡西区は薬局160軒で圏内の24.0%を占め、経営体力も+5.4%とプラス側です。閉局の面では、直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に出た廃止届37件のうち22件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは15軒(2.25%)でした。消えた15軒は5市区町(門司区・八幡東区・八幡西区・小倉南区・小倉北区)に分かれており、件数がいちばん多いのは小倉南区の6軒(区内107軒に対して5.61%)ですが、この区は経営体力+9.4%と圏内で増える側にいます。薬局数に対する比率でいちばん高いのは八幡東区の6.38%(47軒中3軒)で、こちらは減る側です。閉局は「減る側だけで起きている」わけではありません。引き継がれなかった割合は40.5%で、福岡県全体(41.1%)よりわずかに低い水準です。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市区町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが中間市(-17.3%)、いちばん緑なのが小倉北区(+9.5%)で、同じ北九州医療圏の中に26.8ポイントの開きがあります。
人口動態 ── 需要の源北九州医療圏は「人も減り、お年寄りも減る」
なぜ市区町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。北九州医療圏全体では、総人口は103.4万→86.4万人(-16.4%)と減り、65歳以上も34.3万→33.0万人(-3.7%)と減ります。高齢化率は33.1%→38.2%へ上がりますが、それは分母(総人口)が減るからで、高齢者の実数が増えるからではありません。65歳以上のピークは圏全体で2025年——つまり起点の年です。圏内12市区町のうち9市区町でも同じく2025年がピークで、65歳以上人口が2045年までに減る市区町は9あります。福岡県全体では65歳以上が+7.3%増える推計ですから、この圏域は県の平均とは逆を向いています。
ランキング ── 市区町差経営がしんどくなる市区町・楽になる市区町
中間市(-17.3%)から小倉北区(+9.5%)まで26.8ポイントの開き。マイナスは9市区町で、圏内の多数派です。なお芦屋町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。
くわしい数字12市区町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 八幡西区 | 160 | 31.8% | 12,193 → 12,853 | +5.4% |
| 小倉北区 | 143 | 30.4% | 9,728 → 10,651 | +9.5% |
| 小倉南区 | 107 | 30.5% | 14,686 → 16,066 | +9.4% |
| 門司区 | 62 | 41.5% | 14,751 → 12,634 | -14.4% |
| 若松区 | 50 | 34.3% | 13,423 → 12,562 | -6.4% |
| 八幡東区 | 47 | 36.6% | 12,054 → 10,427 | -13.5% |
| 戸畑区 | 36 | 32.9% | 12,551 → 11,807 | -5.9% |
| 中間市 | 22 | 38.6% | 16,838 → 13,925 | -17.3% |
| 遠賀町 | 13 | 36.2% | 12,777 → 11,667 | -8.7% |
| 水巻町 | 12 | 34.7% | 19,670 → 18,071 | -8.1% |
| 岡垣町 | 12 | 34.8% | 22,237 → 21,938 | -1.3% |
| 芦屋町 | 4 | 33.3% | 26,550 → 24,936 | -6.1% |
※処方せん需要は北九州医療圏全体の実績(NDB)を市区町の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、福岡県では元データが未取込のため掲載していません。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 福岡県(ひとつ上・Lv1)=13つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 北九州医療圏(このページ・Lv2)=12市区町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市区町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】北九州医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間8,663,022枚)を、市区町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市区町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(福岡県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に96.3=実数としては減ります)。
- 【薬局数は2025年で固定】市区町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(北九州医療圏で15件)。廃止届は全部で37件出ていますが、そのうち22件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、九州厚生局管轄8県でそろえた共通の窓です。大阪府・千葉県の公開値(いずれも暦年2025)とは期間が違うため、全国比較にはLv1の参考窓(暦年2025(2025年1月〜12月・12ヶ月)・16件)を使ってください。
- 【機能の届出率は掲載していません】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率は、福岡県では薬局機能情報提供制度(GMIS)のデータが当データベースに未取込のため掲載していません。集計すると全店0%になりますが、それは「届け出ている薬局が無い」のではなく「データが無い」という意味です。他県版にはこの軸があります。
- 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口が福岡県分未投入のためです。
- 【★4年ぶんの件数は下限値】圏内の4年窓(4年窓(2022年5月〜2026年4月・48ヶ月))の真の閉局は58軒・廃止届114件ですが、九州の廃止名簿は2024年に5号が欠けており、廃止日2023年12月〜2024年6月の7ヶ月は件数が実際より少なく出ています。4年窓の値は**下限**としてお読みください(詳細はLv1の clo_4y_note)。既定の集計期間(直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月))はこの穴の外にあり影響を受けていません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています(未割当0件)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
- 【小さすぎる分母】芦屋町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。
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