← 医療政策ウォッチャー 記事一覧

日本の所得格差は本当に拡大しているのか?財務省系の研究会報告書が示す意外な事実

引用元:https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f10_59.pdf

引用元: https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f10_59.pdf


財務総合政策研究所は、2025年10月から2026年4月にかけて「日本の所得分配・再分配に関する研究会」を開催しました。

この研究会では、マクロ経済学やミクロ実証分析など、幅広い分野の有識者を招いて日本の所得分配の実態について検討が行われました。

税務データや統計データなどを活用し、中長期的な観点から今後の政策課題について議論が重ねられたとのことです。

財務総合政策研究所(以下「財務総研」)では、

2025年10月から2026年4月にかけて「日本の所得分

配・再分配に関する研究会」(以下「研究会」)を開催

しました。

(f10_59.pdf, Page 1)

主要な論点として、まず日本の所得格差の現状が挙げられます。

代表的な指標であるジニ係数を見ると、日本では2000年代以降はおおむね横ばいで推移しており、大幅な所得格差の拡大は確認されていません。

その一方で、給与所得の平均値や中央値は長期的に停滞しており、実質平均賃金についても十分な伸びが確認されていない状況です。

そのため、現在の日本の状況は「格差が拡大した」というよりも、「全体として停滞していた」と捉えることができます。

ニ係数を見ると、日本では2000年代以降はおおむね

横ばいで推移しており、大幅な所得格差の拡大は確認

されていません(図表1)。

(f10_59.pdf, Page 2)

したがって、日本の所得分配の状況については、

「格差が拡大した」というよりも、むしろ「格差は大

きく拡大しなかったものの、全体として停滞してい

た」と捉えることができます。

(f10_59.pdf, Page 2)

次に、企業の利益分配に相当する資本所得や資産の偏在についての論点です。

毎年生み出されるフローの所得では大きな格差拡大は確認されていませんが、資産というストックに着目すると異なる姿が見えてきます。

近年、純金融資産が5千万円以上の世帯数が増加している一方で、金融資産を保有していない世帯も増加している状況です。

さらに、株式などの価格上昇によるキャピタルゲインを含めて所得を捉えると、上位層への所得集中が一定程度進んでいることがうかがわれます。

このように、所得では大きな格差拡大が確認されて

いない一方で、資産に着目すると、資産を多く保有す

る世帯と資産をほとんど保有しない世帯の双方が増加

している状況がみられます。

(f10_59.pdf, Page 3)

したがって、通常の所得のみを対象とした場合には大

きな格差拡大は確認されないものの、キャピタルゲイ

ンを含めて考えると、上位層への所得集中が一定程度

進んでいることがうかがわれます。

(f10_59.pdf, Page 4)

3つ目の論点は、制度設計上における女性の就業調整についてです。

配偶者を持つ女性の就業行動に関する分析では、年収103万円や130万円付近で就業調整が集中していることが確認されました。

特に、社会保険料の負担が発生する130万円よりも、103万円の壁において強い反応が見られている点が特徴です。

この現象は、人々が現行の制度を十分に理解していない可能性や、制度そのものが複雑すぎる可能性を示唆しています。

特に、年収103万円や130万円付近で就業調

整が集中していることが確認されています。

(f10_59.pdf, Page 6)

130万円よりも103万円の壁で強い反応が見ら

れています(図表17)。このことは、人々が現行の制度

を十分理解していない可能性や、制度そのものが複雑

すぎる可能性を示唆していることが指摘されました。

(f10_59.pdf, Page 6)

今後の政策課題として、多様な世帯構成に対応した制度設計の見直しなどが共有されました。

従来の「夫婦と子ども」を前提とした制度設計を見直し、高齢化や単身化に対応した制度を整備することが重要視されています。

また、国が個人の所得をより正確に把握できる仕組みを整備するなど、データ基盤への投資を推進していくことが求められています。

今後もこれらの制度改革やデータの利活用について、注視していく必要があるでしょう。

とりわけ、従来の「夫婦と子ども」を前

提とした制度設計を見直し、多様な世帯構成に対応し

た制度を整備することの重要性が指摘されました。

(f10_59.pdf, Page 6)

その出発点として、国が個人の所

得をより正確に把握できる仕組みを整備することが極

めて重要であり、今後の政策立案の基盤となるものと

考えます。

(f10_59.pdf, Page 9)


← 記事一覧へ