災害時の「要配慮」明記や薬剤の名称変更へ、アレルギー疾患対策基本指針の改正案を議論
令和8年8月27日に、第21回アレルギー疾患対策推進協議会が開催されました。
今回の協議会では、アレルギー疾患対策基本指針の見直しに向けた具体的な改正案が提示されました。
アレルギー疾患を抱える方々が、日常生活や災害時において、より安全で質の高い医療や支援を受けられるよう、様々な角度から議論が行われています。
全体的なトーンとしては、これまでの取り組みを踏まえつつ、近年の医療技術の進歩や災害対応の教訓を反映させた、より実効性の高い施策へのアップデートを目指すものとなっています。
この会議は、アレルギー疾患対策基本法に基づき、患者の生活の質の向上や重症化予防を総合的に推進するために重要な役割を果たしています。
第21回アレルギー疾患対策推進協議会 議事次第
日時:令和8年8月27日(木)14:00~16:00
場所:Web 開催+新橋ビジネスフォーラム
(議事次第.pdf, Page 1)
主要な論点として、今回の指針見直しにおける重要な変更点が3つあります。
まず、1つ目の重要な変更点は、災害時におけるアレルギー疾患患者への対応強化です。
これまでの災害対応の経験から、避難所における食物アレルギー患者への配慮の重要性が改めて浮き彫りになりました。
改正案では、アレルギー疾患を有する方が災害時に特別な配慮を必要とする「要配慮者」であることを基本指針に明記することが示されました。
これに伴い、平時からの備蓄や準備の重要性について、より一層の啓発と周知を進めることになります。
さらに、災害が発生した際には、公益社団法人日本栄養士会などの関係団体や専門的な知識を持つ関係職種と連携し、食物アレルギーに配慮した食品の確実な確保や配送に努めることが盛り込まれました。
これにより、被災地での誤食事故を防ぎ、避難生活における健康維持をサポートする体制が強化されます。
○ 災害時において、アレルギー疾患患者は特別な配慮が必要となる「要配慮者」であることを明記するとともに、平時からの備蓄・準備の重要性についての啓発・周知を推進する。
(資料2 アレルギー疾患対策基本指針見直しに向けての論点整理.pdf, Page 4)
○ アレルギー疾患を有する者が災害時に特別の配慮を要する「要配慮者」であることを明記する。
○ 災害時には、公益社団法人日本栄養士会等の関係団体や専門的な知識を有する関係職種の協力を得て、食物アレルギーに配慮した食品の確保等に努める。
(資料3 アレルギー疾患対策基本指針の改正案の概要.pdf, Page 3)
次に、2つ目の重要な変更点は、アナフィラキシー発症時に使用する治療薬の名称表記の変更です。
これまでの基本指針では「アドレナリン自己注射薬」と記載されていましたが、今回の改正案において「アドレナリン自己投与薬」へと変更されます。
この変更は、従来の自己注射薬に加え、新たに点鼻薬などの多様な投与経路を持つ薬剤が登場したことに対応するためのものです。
これにより、学校や保育所、医療現場などにおけるアドレナリン製剤の適切な使用と正しい理解に向けた周知活動も、新しい名称に即して進められることになります。
患者やその家族、そして教育現場の職員が迷うことなく迅速に対応できる環境づくりが期待されています。
○ アナフィラキシー時に使用が必要となる薬剤「アドレナリン自己注射薬」から、「アドレナリン自己投与薬」に変更する。
(資料2 アレルギー疾患対策基本指針見直しに向けての論点整理.pdf, Page 4)
○ 「アドレナリン自己注射薬」を「アドレナリン自己投与薬」に変更する。
(資料3 アレルギー疾患対策基本指針の改正案の概要.pdf, Page 3)
そして、3つ目の重要な変更点は、アレルギー疾患医療提供体制の明確化と連携強化です。
国レベルで高度な医療や研究を担う「中心拠点病院」と、各都道府県に設置される「都道府県アレルギー疾患医療拠点病院」のそれぞれの役割が指針に明記されます。
都道府県拠点病院を中心として、診療科を横断した継続的な診療連携や情報提供の体制を整備することが求められます。
これにより、患者の身近な地域で総合的な医療を担う「かかりつけ医」と、高度な専門知識を持つ「専門医」との間でのスムーズな紹介や逆紹介の連携体制が構築されます。
地域偏在や専門医不足といった課題に対処し、どの地域に住んでいても等しく適切な治療が受けられる均てん化が図られます。
〇「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」の検討結果に基づいた体制の整備について、具体的な内容やこれまでの施策や取組等を踏まえた医療機関の役割やかかりつけ医との医療連携について明記する。
(資料2 アレルギー疾患対策基本指針見直しに向けての論点整理.pdf, Page 4)
○ アレルギー疾患医療提供体制について、中心拠点病院を設置し、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院(以下「都道府県拠点病院」という。)を指定することで、かかりつけ医と専門医との連携体制を整備し、アレルギー疾患医療全体の質の向上を図る。
(資料3 アレルギー疾患対策基本指針の改正案の概要.pdf, Page 2)
今後のスケジュールについて、厚生労働省の研究班では、基本指針の評価に用いるための「アレルギー疾患政策評価指標案」の作成を進めています。
この研究では、医療提供体制、情報提供・普及啓発、研究などの分野ごとに、客観的なデータに基づいた指標を設計しています。
令和8年度内には、これらの指標案をさらにブラッシュアップし、検証を重ねて完成させる予定となっています。
新たに策定される指標やロジックモデルを活用することで、国の施策や地方自治体の医療計画が適切に実行され、アレルギー疾患対策のPDCAサイクルが円滑に回ることが期待されます。
アレルギー疾患を持つ方々が、より安心して暮らせる社会の実現に向けて、今後の動向が注目されます。
基本指針の見直しに資する、アレルギー疾患政策評価指標案を作成
○ 3つの研究グループ(医療提供体制、情報提供・普及啓発、研究)を中心に検討する
(資料5 厚生労働科学研究におけるアレルギー疾患政策指標案作成の進捗.pdf, Page 3)
① アレルギー疾患政策評価指標素案例 ⇒ SPOの確認、指標定義や目標値設定の検討
② ロジックモデルを活用したアレルギー疾患対策基本指針の整理 ⇒ 指標の当てはめ、調整
今後、指標案のブラッシュアップや検証を行い、年度内の指標案完成を目指す
(資料5 厚生労働科学研究におけるアレルギー疾患政策指標案作成の進捗.pdf, Page 9)
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