沖縄県南部(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

ひとつの医療圏が、東西450kmに広がっている

南部医療圏16市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 南部医療圏 16市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

南部医療圏は、那覇市を中心とする沖縄島南部の9市町村に、慶良間・久米島・大東の7離島町村を加えた16市町村からなる、沖縄県でもっとも自治体数の多い圏域です。薬局は259軒——県内440軒の58.9%がここにあります。圏の東西の広がりは経度126.7784度から131.2305度、直線でおよそ450km。同じ「ひとつの二次医療圏」の中に、薬局135軒の県都と、薬局が1軒もない村が5同居しています。

16
南部医療圏の市町村
259
圏内の薬局数
13
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
5
薬局が1軒もない市町村

南部医療圏の需要は、圏全体では65歳以上人口が2025→2045年で+26.2%増えます。沖縄県5医療圏はどれも増える側にあり、この圏も例外ではありません。ところが圏内を市町村に割ると、経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)は南大東村(-35.1%)から与那原町(+10.9%)まで46.0ポイント開きます。これは沖縄県5医療圏どうしの落差(25.6ポイント)の1.8倍です。マイナス側は5市町村。65歳以上人口そのものが減るのは6市町村で、その顔ぶれは南大東村・久米島町・渡嘉敷村・粟国村・渡名喜村・北大東村——6すべてが離島です。渡名喜村の高齢化率は現時点で41.6%と圏内最高で、2045年には42.4%。久米島町は総人口が-25.7%と圏内でもっとも減ります。いっぽう那覇市は薬局135軒で圏内の52.1%を占めますが、経営体力は-3.6%——圏内でシェアを落とす側です。閉局の面では、直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に出た廃止届31件のうち18件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは13軒(5.02%)でした。この13軒は沖縄県全体の真の閉局18軒の72.2%にあたります。消えた13軒は5市町村(那覇市・八重瀬町・南大東村・南城市・浦添市)に分かれており、最も多いのは那覇市の8軒(市内135軒に対して)です。引き継がれなかった割合は41.9%で、沖縄県全体(42.9%)とほぼ同じ水準です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが南大東村(-35.1%)、いちばん緑なのが与那原町(+10.9%)で、同じ南部医療圏の中に46.0ポイントの開きがあります。薬局が0軒の5村は色がつきません(分母がないため)。

南大東村:薬局1/1軒あたり処方せん -35.1%久米島町:薬局2/1軒あたり処方せん -28.9%南城市:薬局8/1軒あたり処方せん -3.8%那覇市:薬局135/1軒あたり処方せん -3.6%那覇市糸満市:薬局15/1軒あたり処方せん -2.6%糸満市南風原町:薬局17/1軒あたり処方せん +1.0%風原町西原町:薬局10/1軒あたり処方せん +1.1%西原町八重瀬町:薬局8/1軒あたり処方せん +7.1%浦添市:薬局35/1軒あたり処方せん +7.6%浦添市豊見城市:薬局22/1軒あたり処方せん +10.2%見城市与那原町:薬局6/1軒あたり処方せん +10.9%渡嘉敷村:薬局なし嘉敷村座間味村:薬局なし間味村粟国村:薬局なし粟国村渡名喜村:薬局なし名喜村北大東村:薬局なし大東村
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-35%)増える(+11%)
薬局なし(渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・北大東村)
市区町村そのものの形で塗り分けています。
南部医療圏は経度126.7784度(久米島町)から131.2305度(南大東村)まで約450kmに広がります。1枚の地図に同じ縮尺で載せると沖縄島南部の市町村差がほとんど読めなくなるため、本島部と離島部は縮尺を分けて描いています。距離感は地図ではなく数字(下の表)でお読みください。

人口動態 ── 需要の源圏全体では+26.2%。減るのは離島だけ

南部医療圏全体では、総人口は73.4万→70.8万人(-3.7%)とわずかに減る一方、65歳以上は18.1万→22.8万人(+26.2%)と増えます。高齢化率は24.6%→32.2%へ。65歳以上のピークは圏全体で2050年——つまり推計期間の終わりまで増え続けます。ただし圏内16市町村のうち4市町村ではすでに2025年がピークで、6市町村では65歳以上人口が2045年までに減ります。その6市町村はすべて離島です。離島7町村を合わせた人口は10,803人(圏の1.5%)、薬局は3軒(圏の1.2%)です。「圏全体では増える」という一行は、この7町村の事情を含んでいません。

総人口65歳以上
0万20万40万60万80万20252030203520402045205069万23万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは圏全体で2050年。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

南大東村(-35.1%)から与那原町(+10.9%)まで46.0ポイントの開き。マイナスは5市町村です。なお南大東村・久米島町・与那原町は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。薬局0軒の渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・北大東村は1軒あたりが計算できないため、表では「—」としています。

南大東村
-35.1%
久米島町
-28.9%
南城市
-3.8%
那覇市
-3.6%
糸満市
-2.6%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
浦添市
+7.6%
豊見城市
+10.2%
与那原町
+10.9%
薬局0の自治体(渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・北大東村)はランキング対象外です

くわしい数字16市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
那覇市13525.9%14,722 → 14,189-3.6%
浦添市3522.6%18,826 → 20,256+7.6%
豊見城市2222.1%16,449 → 18,124+10.2%
南風原町1721.4%13,084 → 13,216+1.0%
糸満市1524.8%25,520 → 24,867-2.6%
西原町1024.2%21,130 → 21,363+1.1%
南城市827.4%38,891 → 37,428-3.8%
八重瀬町824.5%24,760 → 26,525+7.1%
与那原町621.8%18,703 → 20,737+10.9%
久米島町233.4%27,685 → 19,684-28.9%
南大東村126.5%8,025 → 5,207-35.1%
渡嘉敷村023.6%薬局なし
座間味村022.3%薬局なし
粟国村040.4%薬局なし
渡名喜村041.6%薬局なし
北大東村025.8%薬局なし

※処方せん需要は南部医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、沖縄県では元データが未取込のため掲載していません。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 沖縄県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 南部医療圏(このページ・Lv2)=16市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】南部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間4,531,338枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。離島の住民が本島の医療機関を受診して本島の薬局で調剤を受けた場合、その処方せんは按分では離島側に配分されます。実際の受療動向とはずれる可能性があります。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(沖縄県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に126.2=実数としては増えます)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。沖縄県は高齢化率が全国で2番目に低い県であり、高齢者以外の受診が需要に占める割合が他県より大きい可能性があります。この点は本推計では扱えていません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(南部医療圏で13件)。廃止届は全部で31件出ていますが、そのうち18件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、兵庫・京都・滋賀・北海道・神奈川・富山・岐阜・三重・石川・静岡の公開値と同じ期間です。福岡県・大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)とは期間が異なります(参考として暦年2025の値は真の閉局14件・廃止届29件)。
  • 【機能の届出率は掲載していません】かかりつけ薬剤師指導料・地域連携薬局・在宅対応の届出率は、沖縄県では薬局機能情報提供制度(GMIS)のデータが当データベースに未取込のため掲載していません。集計すると全店0%になりますが、それは「届け出ている薬局が無い」のではなく「データが無い」という意味です。他県版にはこの軸があります。
  • 【徒歩圏カバー率も掲載していません】250mメッシュ人口が沖縄県分未投入のためです。離島を含む圏域では、徒歩圏より先に「その島に薬局が在るか」が効くため、この軸を入れても他県と同じ意味にはなりません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています(未割当0件)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】南大東村・久米島町・与那原町は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。また渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・北大東村の5村には調剤を行う薬局が0軒で、1軒あたりの数値そのものが計算できません。
  • 【地図の縮尺】南部医療圏は経度126.7784度から131.2305度まで約450kmに広がります。本島部と離島部は縮尺を分けて描いており、地図上の距離は実距離を表しません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルを再学習中のため)。

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