岐阜県東濃(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

需要が減っていく圏に、いちばん厚い届出がある

東濃医療圏5市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 東濃医療圏 5市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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東濃医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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東濃医療圏は多治見・土岐・瑞浪・恵那・中津川の5市からなり、薬局は165軒。処方せん需要は2045年に向けて-3.8%と減る側の圏ですが、かかりつけ薬剤師の届出率66.1%と在宅(訪問薬剤管理指導)の届出率46.1%は、どちらも岐阜県5医療圏でいちばん高い値です(県平均は59.0%・41.1%)。圏内の市どうしの落差は13.1ポイントで、岐阜県5圏のLv2の中でいちばん小さく、5市が同じ方向を向いています。

66.1%
かかりつけ届出率(県内5圏で最高)
46.1%
在宅の届出率(県内5圏で最高)
-3.8%
処方せん需要の変化(→2045)
13.1pt
圏内の経営体力の落差(県内5圏のLv2で最小)

東濃医療圏は、名古屋に近い西の多治見市(薬局59軒=圏の35.8%)から、東の中津川市まで中央本線沿いに5市が並ぶ圏域です。1市への集中が県内で最も弱く(最大の多治見市でも35.8%)、薬局8軒未満の自治体もありません。人口は30.5万→23.5万人(-22.8%)と減り、65歳以上も10.5万→10.1万人(-3.8%)と減る側です。65歳以上のピークは圏全体で2025年——すでに減少局面に入っており、5市のうち3市がピークを過ぎています。それでいて機能の届出は厚く、かかりつけ66.1%・在宅46.1%はともに県内5圏の最高値。市別では中津川市(かかりつけ77.8%・在宅63.9%)と多治見市が引っ張り、土岐市・恵那市は50%を下回ります。1軒あたりの処方せんは14,673枚と県内で最も多く、「軒数は少なめ・1軒は忙しめ・届出は厚め」という組み合わせです。閉局の面では、4年間(2022-05-01〜2026-04-30)の廃止届10件のうち7件が移転・承継、そのまま消えたのは3軒でした。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが恵那市(-9.2%)、いちばん緑なのが多治見市(+3.9%)ですが、その差は13.1ポイントで、岐阜県の5つの医療圏のLv2の中でいちばん小さな開きです。色の濃淡よりも「5市そろって減る側にいる」ことがこの圏の特徴です。

人口動態 ── 需要の源5市そろって、静かに減っていく

東濃医療圏全体では、総人口は30.5万→23.5万人(-22.8%)と減り、65歳以上は10.5万→10.1万人(-3.8%)。高齢化率は34.4%→42.8%へ上がり、65歳以上のピークは2025年です。圏内5市町村のうち3市町村ではそのピークがすでに2025年——これから減っていく局面に入っています。高齢化率の高いほうは恵那市の38.0%、低いほうは瑞浪市の33.0%で、2045年にはそれぞれ46.2%・42.0%になります。65歳以上人口が2045年までに減る市町村は5あります。

総人口65歳以上
0万10万20万30万40万20252030203520402045205022万10万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上は2025年にピークを迎えます。

地理 ── 広さは距離のものさし薬局1軒あたりの面積が、圏内で20.6倍違う

東濃医療圏の面積は1,563km²で、岐阜県の14.7%。薬局1軒あたりの面積は多治見市の1.5km²から恵那市の31.6km²まで20.6倍の開きがあります(圏平均9.5km²)。西の3市(多治見・土岐・瑞浪)は市街地がまとまり、東の恵那市・中津川市は旧町村部の山あいに集落が散らばります。1軒あたりの人口は1,523人〜2,735人で、面積ほどには開きません(広さと経営体力の順位相関は-0.7)。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像徒歩10分圏に住む人は50.0%(直線近似)

250mメッシュ人口で見ると、最寄り薬局まで徒歩10分圏に住む人は圏の50.0%(岐阜県全体59.9%)、徒歩20分圏で75.6%です。圏の人口の半分は最寄り薬局まで徒歩10.0分以内に住んでいます。市町村別では恵那市の37.1%から多治見市の61.5%まで開きます。恵那市・中津川市は市域が広く、旧町村部の集落は市街地の薬局から離れています(中津川市の東は長野県境です)。※この徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、実際の道路網による実測ではありません(実測にすると下がる傾向があります)。最寄りは市町村・医療圏の境界を越えて探しますが、県境は越えません。

承継 ── 消えた薬局と、続いた薬局4年間の廃止届10件のうち、そのまま消えたのは3件

薬局の廃止届のうち、新しい機関コードが記載されているものは移転や承継で事業が続いた=その場所から薬局が消えてはいません。東濃医療圏は直近12ヶ月の廃止届が2件しかなく比較になりませんので、4年(2022年5月〜2026年4月(4年))で数えました。廃止届10件のうち7件が移転・承継(恵那市・中津川市・瑞浪市・多治見市)、そのまま消えたのは3軒で瑞浪市・多治見市に出ています。引き継がれなかった割合は30.0%ですが、1件動けば10.0ポイント動く規模の話です。また岐阜県を含む東海北陸ブロックの廃止名簿は画像PDFから起こしたもので、他ブロックより拾えている件数が少ないことが分かっています(同じ12ヶ月で薬局1軒あたりの廃止届は東海北陸6県が1.42〜2.65%、関東信越10県が2.77〜6.62%)。件数は下限値です。他の地方の県の数字と並べないでください。圏どうしの閉局率の順位も、この下限のもとでは読まないでください。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

恵那市(-9.2%)から多治見市(+3.9%)まで13.1ポイントの開き。マイナスは2市町村です。東濃医療圏に薬局8軒未満の自治体はなく、どの市町村も1軒あたりの数値が比較に耐える分母を持っています。

恵那市
-9.2%
土岐市
-0.8%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
中津川市
+0.5%
瑞浪市
+1.8%
多治見市
+3.9%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

また、東濃圏域においては入院患者の約2割が県外流出となっており、流出患者の約8割を県外流出患者が占めています。

岐阜県保健医療計画 第8期岐阜県保健医療計画(本編) PDF 132ページ

一方、地域で発生する救急患者の初期診療と入院治療を主に担う第二次救急医療機関は、人口10万人当たりで見ると東濃圏域において少ない状況になっています。

岐阜県保健医療計画 第8期岐阜県保健医療計画(本編) PDF 136ページ

人口10万人当たりの件数では、東濃圏域が低い状況です。

岐阜県保健医療計画 第8期岐阜県保健医療計画(本編) PDF 47ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字5市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
多治見市5934.1%13,440 → 13,960+3.9%
中津川市3634.0%15,945 → 16,022+0.5%
土岐市3433.6%11,816 → 11,723-0.8%
瑞浪市2033.0%13,428 → 13,675+1.8%
恵那市1638.0%23,981 → 21,780-9.2%

※処方せん需要は東濃医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 岐阜県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 東濃医療圏(このページ・Lv2)=5市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

東濃医療圏 5市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は91.1%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。東濃医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は168軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 153軒=91.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 101軒=60.1%、在宅薬学総合体制加算 59軒=35.1%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 139軒=82.7%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回60.1%/これまで66.1%(差-6.0ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回91.1%/これまで35.8%(差+55.3ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回35.1%/これまで46.1%(差-11.0ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【処方せんの推計方法】東濃医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間2,420,994枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。またNDBの院外処方せん枚数は処方せんを発行した医療機関の所在地で数えたもので、どこの薬局で調剤されたかではありません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(岐阜県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に96.2)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】東海北陸厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています。既定の12ヶ月(2025年5月〜2026年4月(12ヶ月))では東濃医療圏の廃止届が2件しかなく率で語れないため、本文の承継の議論は4年(2022年5月〜2026年4月(4年))の値(廃止届10件・真の閉局3件)を使っています。4年ぶんの値を、他県の単年の値と並べないでください。
  • 【閉局の件数は下限値】2026年7月号までの名簿にもとづく2026年7月29日時点の値です。名簿への掲載には遅れがあるため、同じ集計期間の件数が今後も増える可能性があります。「この期間の閉局はこれだけ」ではなく「少なくともこれだけ」とお読みください。
  • 【★閉局データの限界】東海北陸厚生局の廃止名簿は画像PDF(OCR)から起こしたもので、他ブロックより拾えている件数が少ない可能性が高いことを確認しています。同じ12ヶ月窓で薬局1軒あたりの廃止届を数えると、東海北陸6県が1.42〜2.65%であるのに対し、関東信越10県は2.77〜6.62%、近畿6府県は3.62〜7.51%です。岐阜県の閉局率・承継率を、他の地方の都道府県と直接比べてはいけません。また件数が下限値であるため、岐阜県内の医療圏どうしでも、閉局率の高い・低いを順位として読むことはお勧めしません(本文でも書いていません)。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【面積】国土数値情報の市区町村境界(2024年1月1日)から計算した値です(圏計1,563km²)。道路網・標高・公共交通は含みません。広さは「距離のものさし」であって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率50.0%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と県内の全薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測にすると数ポイント下がる傾向があります。最寄り薬局は市町村・医療圏の境界を越えて探しますが、県境は越えません。隣県の薬局が実際には近い県境の集落では、実態より遠く(カバー率は低く)出ます。冬期の通行止め・公共交通は含みません。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある165店を分母にしています(圏内全165店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【医療圏の区分】国土数値情報A38由来の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致・第8次医療計画準拠)に従っています。岐阜県は岐阜・西濃・中濃・東濃・飛騨の5圏です。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、岐阜県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。

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東濃医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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