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CrossHealth / 薬局持久度レポート
同じ半島の北と南で、20年後が逆を向く
知多半島医療圏10市町の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
知多半島医療圏は10市町からなり、薬局は255軒(愛知県全体の7.6%)。圏全体では65歳以上人口が+16.8%増え、ピークは2050年——推計期間が終わってもまだ増え続けます。ところが圏内を市町に割ると、大府市(+32.0%)から南知多町(-23.5%)まで55.5ポイント——愛知県11医療圏どうしの落差46.0ポイントより大きく開きます。これは県内11圏でいちばん大きい落差です。半島の北端と南端が、同じ20年で逆を向いています。
知多半島医療圏は、名古屋に接する北端から伊勢湾・三河湾に挟まれた先端までの半島です。北・中・南の3つに束ねると、数字が段になります(市町ごとに見ると北の中にも例外があり、知多市は北部にありながら65歳以上の伸びが+9.5%と北部でいちばん小さくなります)。北部(大府市・東海市・知多市・東浦町・阿久比町)は薬局152軒=圏内の59.6%。65歳以上人口は+19.5%増え、高齢化率はいま24.8%と圏内で最も若い層です。中部(半田市・常滑市・武豊町)は94軒・+18.9%。南部(美浜町・南知多町)は9軒しかなく、65歳以上人口は-9.9%。高齢化率は36.8%→49.1%です。個別に見ると、いちばん伸びるのが大府市(65歳以上+32.0%・高齢化率21.7%は圏内最低)。逆に南知多町は65歳以上が-23.5%、総人口は15,001→9,078人(-39.5%)、高齢化率は42.2%→53.4%になります。圏内10市町のうち65歳以上人口のピークをすでに過ぎているのは南知多町ただ1つで、逆に5市町(阿久比町・武豊町・常滑市・東海市・大府市)は2050年になってもまだ増え続けます。総人口が2045年に2025年を上回るのは常滑市・大府市の2市だけです。閉局の面では、この12ヶ月に出た廃止届は8件(美浜町1件・阿久比町1件・半田市2件・東海市2件・大府市2件)。うち6件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは2軒でした(内訳: 大府市2件)。残り5市町では廃止届が1件も出ていません。12ヶ月では件数が小さいので4年分(2022年5月〜2026年4月)でも見ると、廃止届18件・真の閉局5件で、引き継がれなかった割合は27.8%です。ただし愛知県の閉局名簿は東海北陸厚生局の画像PDF由来で拾えていない行があり、件数は下限値です(下の注記)。市町どうしの閉局率の比較はできません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が65.1%で県平均(64.8%)とほぼ同水準、在宅患者訪問薬剤管理指導は47.1%で県平均(50.9%)を下回り、11医療圏で7位です。高齢化がいちばん進んでいる南部2町は薬局9軒で、届出率は1店の有無がそのまま数字になります。率としては読めません。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが南知多町(-34.5%)、いちばん緑なのが大府市(+12.9%)です。おおむね北ほど緑・南ほど赤ですが、知多市(-6.3%)のような例外もあります。ただし南知多町・美浜町は薬局5・4軒で、1店の開廃で数字がまるごと動きます。
人口動態 ── 需要の源圏全体は2050年まで増える。先端だけが、もう減っている
なぜ市町で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。知多半島医療圏全体では、総人口が62.0万→57.8万人(-6.9%)と減る一方、65歳以上は16.1万→18.8万人(+16.8%)と増えます。高齢化率は25.9%→32.5%。圏の65歳以上のピークは2050年で、推計の最終年まで増え続けます。ところが南知多町だけは2025年がすでにピークで、2045年までに65歳以上が-23.5%減ります。高齢化率が圏内で最も高いのも南知多町の42.2%で、2045年には53.4%。最も低い大府市(21.7%→28.6%)とは、2025年時点で20.5ポイント違います。同じ医療圏という言葉の中に、この差があります。
広さ ── 「近くの薬局」の意味が違う薬局1軒あたりの面積は、市町で14.5倍違う
知多半島医療圏の面積は392km²で、薬局255軒で割ると1軒あたり1.5km²。ただし半田市は0.8km²、美浜町は11.6km²と14.5倍の開きがあります。南部2町(美浜町・南知多町)は圏の面積の21.5%を占めますが、薬局は9軒=圏内の3.5%。そこに圏の65歳以上の8.3%が住んでいます。※この面積の指標は行政区域ポリゴンの幾何だけから出したもので、道路・公共交通・離島(篠島・日間賀島)への渡船は含みません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、愛知県分のメッシュが未投入のため出せていません。
ランキング ── 市町差経営がしんどくなる市町・楽になる市町
南知多町(-34.5%)から大府市(+12.9%)まで47.4ポイントの開き。マイナスは5市町です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏そのものが愛知県で増える側にいるため、絶対量に直すと向きが変わります。たとえば南知多町の-34.5%は65歳以上人口では-23.5%、大府市の+12.9%は+32.0%です。絶対量で減るのは南知多町の1町だけで、相対値でマイナスの5市町とは顔ぶれが違います。両方を併記しているのはこのためです。なお圏内10市町のうち2町が薬局8軒未満(南知多町5軒・美浜町4軒)で、1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。薬局8軒以上の8市町に限ると、1軒あたり処方せんは11,473〜24,932枚(2.17倍)に収まりますが、全市町だと11,473〜39,398枚(3.43倍)に広がります。
くわしい数字10市町データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 半田市 | 58 | 25.9% | 11,498 → 11,850 | +3.1% |
| 東海市 | 51 | 22.8% | 11,473 → 11,856 | +3.3% |
| 大府市 | 40 | 21.7% | 11,557 → 13,053 | +12.9% |
| 知多市 | 31 | 29.4% | 17,234 → 16,150 | -6.3% |
| 常滑市 | 26 | 25.8% | 12,850 → 12,912 | +0.5% |
| 東浦町 | 16 | 26.9% | 18,460 → 18,800 | +1.8% |
| 阿久比町 | 14 | 26.7% | 12,274 → 11,954 | -2.6% |
| 武豊町 | 10 | 25.7% | 24,932 → 24,904 | -0.1% |
| 南知多町 | 5 | 42.2% | 28,382 → 18,578 | -34.5% |
| 美浜町 | 4 | 33.0% | 39,398 → 34,536 | -12.3% |
※処方せん需要は知多半島医療圏全体の実績(NDB)を市町の高齢人口で按分した推計です。薬局8軒未満の町は1軒あたりの値が大きく振れます。閉局件数は名簿の収録漏れにより下限値です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 愛知県(ひとつ上・Lv1)=11の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 知多半島医療圏(このページ・Lv2)=10市町で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】知多半島医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間3,598,679枚)を、市町ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局が0軒の自治体が無いため、市町別の値を足し戻すと圏の実績にそのまま閉じます。ただし按分は居住地ベースなので、名古屋市や刈谷市の医療機関にかかって処方せんを受け取る流出入は映していません。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(愛知県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に116.8)。この圏は県内で増える側にいるので、相対値でマイナスでも絶対量では増える市町があります。両方(chg と chg_abs)を併記しています。
- 【薬局数は2025年で固定】市町別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(知多半島医療圏で2件)。廃止届は全部で8件出ていますが、そのうち6件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。愛知県の名簿は収録元の月次名簿に欠号があるため、集計期間は暦年ではなく号が連続してそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。
- 【閉局の件数は下限値です/他の地方と比較しないでください】薬局の廃止情報は厚生局ごとに公表されます。愛知県が属する東海北陸厚生局の名簿は画像PDFで、文字起こしの際に行が落ちます。全国がそろう12ヶ月で「廃止届の件数÷薬局数」を並べると、東海北陸6県は1.42〜2.65%で、他ブロックの最小を下回り、ブロックが完全に分かれます。したがってこの圏の2件・8件も下限値で、他の地方の県の公開値と並べることはできません。愛知県内の医療圏どうしの比較と東海北陸6県どうしの比較は可能ですが、市町どうしの閉局率の比較は件数が小さすぎて成立しません。閉局の地図に落とせる点は座標が取れた分だけです(愛知県全体で89.9%)。
- 【承継の議論には4年窓も使っています】12ヶ月の真の閉局は圏内2件しかありません。承継率については2022年5月〜2026年4月(4年)の窓(廃止届18件・真の閉局5件・引き継がれなかった割合27.8%)も併記しています。4年窓でも件数が下限値であることは変わりません。
- 【市町ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で2件、廃止届も8件です。5市町では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くうえ件数が下限値なので、市町どうしの閉局率の比較はできません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある255店を分母にしています(圏内全255店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局が4〜5軒の町では届出率が20%刻みでしか動かないため、市町どうしの届出率の比較には意味がありません。
- 【小さすぎる分母】知多半島医療圏では南知多町5軒・美浜町4軒が薬局8軒未満です(薬局0軒の自治体はありません)。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の8市町に限ると11,473〜24,932枚(2.17倍)、全市町では11,473〜39,398枚(3.43倍)です。
- 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・離島への渡船は含みません。「薬局1軒あたり1.5km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。250mメッシュ人口による徒歩アクセス率(千葉県版の指標)は、愛知県分のメッシュが未投入のため出せていません。
- 【北部・中部・南部の区分について】本文で使う半島の3区分は、読みやすさのために市町を地理でまとめた表示上のラベルです。公式の区分ではありません。集計の正はあくまで市町単位で、医療圏の区分は医療圏マスタ(国土数値情報A38由来・NDB335圏と一致)に従っています。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません(Lv1と同じ理由・供給の統計モデルが愛知県を学習していないため)。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
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