← 医療政策ウォッチャー 記事一覧

第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の進捗状況を検証 家族支援や医療連携の最新取組を報告

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_77031.html

引用元: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_77031.html


令和8年10月30日、第38回アルコール健康障害対策関係者会議が開催されました。

会議では、第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の進捗状況や、最新の取り組みについて報告が行われました。

政府や関係機関による発生予防から回復支援に至る施策の実施状況が確認され、今後の方向性について活発な議論が交わされました。

第 38 回アルコール健康障害対策関係者会議 議事次第

日時:令和8年 10 月 30 日(金)15:00 ~ 17:00

(議事次第.pdf, Page 1)

第3期基本計画では、アルコール健康障害の当事者だけでなく、その家族や子どもへの支援が新たな重点課題として設定されました。

特にヤングケアラーを含む子どもや若者への支援を強化するため、児童福祉部門や女性支援部門との連携体制づくりが進められています。

実態調査の結果によると、当事者の家族の73.7パーセントが抑うつや不安といった精神的な健康問題を抱えている現状が判明しました。

こうした深刻な実態を受け、行政職員や地域の支援者が現場で活用できる相談支援ガイドラインの作成が進められています。

このガイドラインでは、当事者本人の状況に応じた支援方法だけでなく、家族の関係性に応じた適切な相談先や連携の指針が示される予定です。

アルコール健康障害の当事者及びその家族がより円滑に適切な支援に結びつくよう、相談支援体制等を構築

※ ヤングケアラーを含むこども・若者施策の強化が図られていることを踏まえた取組を推進

(【資料1】アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期)について.pdf, Page 3)

<家族の精神的健康> 「抑うつ・不安」の問題がある者:73.7%

(【資料2-1】アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期)の取組状況(概要)(令和8年9月末時点).pdf, Page 3)

行政職員、地域での支援に携わる者などがアルコールの問題を有する者の家族からの相談を受けるにあたり必要な知識の普及を図るとともに、関係機関との適切な連携を推進することを目的とした、好事例を活用した相談支援ガイドラインを作成

(【資料4】柴山参考人提出資料「「アルコール問題をもつ人の家族への支援に係る好事例等を活用した相談支援のガイドラインの作成」現在の計画について」.pdf, Page 2)

地域における早期発見と円滑な治療を実現するため、一般医療機関と専門医療機関をつなぐ医療連携手引きの整備が進められています。

かかりつけ医や地域の内科、精神科、救急などが参画し、スクリーニングから簡易介入、専門機関への紹介を行う体制の構築が目指されています。

医療現場で適切に治療へつながらない治療ギャップを解消するため、現場で簡便に使える医療連携マニュアルの策定が進められています。

さらに、専門医療機関の受診をためらう患者に対して一般医療機関で継続的な診療を行うための標準手順書のたたき台も作成される計画です。

これにより、身近な医療機関において減酒や断酒に向けた適切な支援が受けられる体制の構築が期待されています。

今後作成する手引を活用し、かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携を進め、より身近な場所で、アルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する。

(【参考資料1】アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期).pdf, Page 22)

目的:1)現場で即時に使える「簡便で視認性が高い」資料として、「かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携のための資材を作成する。

2)一般医療機関におけるSBIRTS のスクリーニングに用いられるAUDIT導入において、AUDIT等実施に対する一般医療機関の医療者障壁の検証、AUDIT実施後のサポート:特に患者が専門医療機関等に受診したがらない場合の「治療のための標準手順書」のたたき台を作成する。

(【資料3】吉本参考人提出資料「一般医療機関でのアルコール健康障害対策のさらなる充実に向けて 医療連携手引き・標準手順書の整備」.pdf, Page 16)

飲酒運転により免許取消処分を受けた受講者を対象とした、アルコール関連問題に関する実態調査の結果が公表されました。

処分前の状態を振り返る調査において、アルコール使用障害が疑われる15点以上の割合は43.1パーセントに上りました。

また、調査回答時点においても、全体の71.1パーセントの受講者にリスクのある飲酒行動が認められることが明らかになりました。

しかしながら、これまでに依存症などの治療を受けた経験がある受講者は、わずか11.8パーセントにとどまっています。

飲酒運転の再発を防ぐためには、その背景にあるアルコール健康障害を早期に発見し、適切な医療や相談支援へ確実に結びつける取り組みが強く求められています。

① 飲酒運転の背景にある飲酒問題

飲酒運転による飲酒取消受講者には、アルコール使用障害を含む飲酒上の問題を有する者が多く、処分後もリスクのある飲酒を続ける者が少なくない。

② 医療・支援につながらない現状

一方で、医療や支援につながっている者は限られており、飲酒問題への介入につなげる仕組みが課題である。

(【資料5】古賀参考人提出資料「令和7年度飲酒取消講習受講者におけるアルコール関連問題に関する調査」.pdf, Page 10)

アルコール使用障害が疑われる者(15点以上)

合計 434 (43.1%)

(【資料5】古賀参考人提出資料「令和7年度飲酒取消講習受講者におけるアルコール関連問題に関する調査」.pdf, Page 7)

リスクのある飲酒が疑われる者

回答時点 n=1007 71.1%

(【資料5】古賀参考人提出資料「令和7年度飲酒取消講習受講者におけるアルコール関連問題に関する調査」.pdf, Page 8)

治療経験の有無(生涯)

ある 116 (11.8%)

(【資料5】古賀参考人提出資料「令和7年度飲酒取消講習受講者におけるアルコール関連問題に関する調査」.pdf, Page 9)

アルコール健康障害対策は、教育や医療、福祉、司法など多様な分野が密接に連携して推進される必要があります。

今後、今回報告されたガイドラインや標準手順書の作成作業が順次進められ、現場への普及が図られる見込みです。

都道府県や自治体における具体的な連携の深化や、実態調査に基づく施策の推進について、今後の動向が注目されます。

連携会議における重点目標及び基本的施策の目標の達成状況について定期的に調査・点検を行い、計画全体の進捗状況の把握とともに、アルコール健康障害対策の効果の評価を行うことにより、目標達成に向けた取組を推進する。

(【参考資料1】アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期).pdf, Page 35)


← 記事一覧へ