静岡県熱海伊東(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

届出がいちばん厚い圏は、需要では下から2番目

熱海伊東医療圏2市の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 熱海伊東医療圏 2市期間 2025年 → 2045年概要版・無料

この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。

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熱海伊東医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

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熱海伊東医療圏は熱海市と伊東市の2市、薬局49軒の県内で2番目に小さな圏です。この圏は静岡県8医療圏の中で、かかりつけ81.6%・地域連携65.3%・在宅73.5%——機能の届出率が3項目とも県内最高です。1軒あたりの処方せん14,791枚も県内最大。ところが需要の先行きは-8.5%と、賀茂に次いで下から2番目。「届出のいちばん厚い圏」と「これから細る圏」が、同じ圏の名前で呼ばれています。

81.6%
かかりつけ届出率(県内8圏で最高)
73.5%
在宅の届出率(県内8圏で最高)
-8.5%
65歳以上人口 2025→2045(下から2番目)
49
圏内の薬局数(熱海17・伊東32)

2市はどちらも65歳以上人口が2025年ピーク済みで、温泉観光地として高齢化の先頭集団にいます。ただし中身は違います。熱海市は高齢化率50.0%が2045年に59.9%——住民の6割が65歳以上になる水準で、65歳以上人口も-15.6%と減少。経営体力は-7.8%で圏内の沈む側です。伊東市は薬局32軒と規模が倍近く、65歳以上は-4.4%と減り方が浅い。閉局は、この12ヶ月の廃止届が2件(いずれも熱海市)で、2件とも新しい機関コードが記載された移転・承継——そのまま消えた薬局は0軒でした。4年では廃止届4件・真の閉局2件(両市1件ずつ)。ただし静岡県の名簿はOCR由来で件数が下限値のため、「閉局が少ない」とは読めません。徒歩10分カバー率(直線近似)は55.4%で県内7位。斜面の温泉街という地形を考えると、実際の道路をたどる実測ではさらに下がる可能性があります。届出率の高さが実際の提供の厚さと同じかどうかは、この数字だけでは分かりません——それでも「需要が細る地域ほど届出が薄い」という兵庫県で見えた形の逆の実例がこの圏です。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが熱海市(-7.8%)、いちばん緑なのが伊東市(+4.4%)です。この圏に薬局8軒未満の市はありません。

熱海市:薬局17/1軒あたり処方せん -7.8%熱海市伊東市:薬局32/1軒あたり処方せん +4.4%伊東市
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-8%)増える(+4%)
市区町村そのものの形で塗り分けています。

人口動態 ── 需要の源熱海伊東医療圏は「人も高齢者も減る」

熱海伊東医療圏全体では、総人口が9.4万→7.0万人(-25.4%)と減り、65歳以上も4.4万→4.0万人(-8.5%)と減ります。高齢化率は46.9%→57.6%。圏の65歳以上のピークは2025年です。圏内2市のうち、そのピークをすでに過ぎているのは2市(熱海市・伊東市)。高齢化率が圏内で最も高いのは熱海市の50.0%、最も低いのは伊東市の45.3%で、同じ医療圏の中に4.7ポイントの差があります。

総人口65歳以上
0万2万5万8万10万2025203020352040204520506万4万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上人口のピークは2025年です。

距離 ── 「近くの薬局」の意味が違う徒歩10分カバー率55.4%(直線近似・県内7位)

熱海伊東医療圏の面積は186km²で、薬局49軒で割ると1軒あたり3.8km²(熱海市3.6km²〜伊東市3.9km²)。250mメッシュ人口で見ると、最寄り薬局まで徒歩10分以内に住むのは圏の人口の55.4%、20分以内は79.4%、中央値は8.5分です(県全体の10分カバー率は72.4%)。※徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mによる近似で、実際の道路網(OSRM)による実測ではありません。実測化すると数ポイント下がる傾向があります。道路・公共交通・地形は含みません。

2市の対比 ── ランキングは作りません熱海市と伊東市

この圏は2市のみで構成されるため、圏内ランキングは作っていません(順位が事実以上の意味を持ってしまうため)。経営体力の変化は熱海市-7.8%・伊東市+4.4%。これは圏内での相対値で、65歳以上人口の絶対量では熱海市-15.6%・伊東市-4.4%です。現在の1軒あたり処方せんは熱海市15,412枚・伊東市14,461枚(圏全体の実績を高齢人口で按分した推計)。

熱海市
-7.8%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
伊東市
+4.4%

医療計画 ── 圏域の記述県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

特に高齢化の進行が早い賀茂及び熱海伊東保健医療圏において早急な対策が必要です。

静岡県保健医療計画(第9次) 第9次静岡県保健医療計画(全県版・一括) PDF 117ページ

○特に、賀茂保健医療圏及び熱海伊東保健医療圏からの救急搬送体制の整備が必要です。

静岡県保健医療計画(第9次) 第9次静岡県保健医療計画(全県版・一括) PDF 133ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字2市データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
伊東市3245.3%14,461 → 15,098+4.4%
熱海市1750.0%15,412 → 14,214-7.8%

※処方せん需要は熱海伊東医療圏全体の実績(NDB)を市の高齢人口で按分した推計です。閉局は直近12ヶ月(移転・承継を除く)で、静岡県の名簿はOCR由来のため件数は下限値です。2026年7月号時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後増える可能性があります。徒歩10分カバー率は直線近似(OSRM実測ではありません)。個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 静岡県(ひとつ上・Lv1)=8の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 熱海伊東医療圏(このページ・Lv2)=2市で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

熱海伊東医療圏 2市区町村すべての詳細レポート(薬局持久度レポート会員向け・有料)

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は89.1%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。熱海伊東医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は55軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 49軒=89.1%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 40軒=72.7%、在宅薬学総合体制加算 33軒=60.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 42軒=76.4%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回72.7%/これまで81.6%(差-8.9ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回89.1%/これまで65.3%(差+23.8ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回60.0%/これまで73.5%(差-13.5ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市区町)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【★閉局件数は下限値です】静岡県を含む東海北陸厚生局(富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重)の廃止名簿は、原本が画像PDFでテキスト層がありません。OCRで読み取り、機関番号を厳密に検証して読み違えた行は捨てる設計のため、件数は下限値です。厚生局のブロックごとに名簿の捕捉のしかたが違うため、熱海伊東医療圏の閉局0件・廃止届2件は、他ブロックの都道府県と並べないでください(根拠の数字は静岡県ページのデータ clo_source_caveat にあります)。使えるのは静岡県内の圏域どうし・東海北陸6県どうしの比較までです。
  • 【圏内の市を見るときは4年窓】12ヶ月では熱海伊東医療圏の真の閉局が0件しかなく、市の単位では率になりません。4年窓(2022年5月〜2026年4月(4年))では真の閉局2件・廃止届4件(薬局49軒の4.08%)です。それでも市どうしの閉局率の比較には足りません。4年窓には東海北陸ブロック全体で0件の月(2023年3月)が1つ含まれます。
  • 【処方せんの推計方法】熱海伊東医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間724,772枚)を、市ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏には薬局0軒の市が無いため、市別の値を足し戻すと圏の実績に100%閉じます。ただし按分は居住地ベースなので、圏をまたぐ受診の流れは映していません。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(静岡県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に91.5)。絶対量(65歳以上人口の変化)は各市の chg_abs に入れてあり、相対値と最大で8.8ポイントずれます。
  • 【薬局数は2025年で固定】市別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(熱海伊東医療圏で0件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち2件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます。集計期間は2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)で、兵庫県・京都府・北海道・神奈川県と同じ窓です(ただし件数の水準は他ブロックと比較できません)。件数は2026年7月号時点の値で、名簿の掲載遅れにより今後も増える可能性があります。
  • 【市ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で0件、廃止届も2件です。1市では廃止届が0件でした。1件で率が大きく動くため、市どうしの閉局率の比較はできません。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市区町村コードで割り当てています。
  • 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づきます。熱海伊東医療圏は49店すべてに申告があり、分母は薬局数と一致します(欠測0)。届出=実際の提供実績ではありません。
  • 【徒歩カバー率は直線近似です】徒歩分は「最寄り薬局までの直線距離×迂回係数1.3÷分速80m」で計算しています。実際の道路網(OSRM)による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(大阪・千葉での新旧比較より)。最寄り薬局は市・医療圏の境界を越えて県内の薬局から探しています(県境は越えません)。分母は250mメッシュの2025年推計人口です。
  • 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・地形は含みません。「薬局1軒あたり3.8km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計と、医療圏の「都市型/郊外型」分類は掲載していません。供給の統計モデルは47都道府県すべてを学習しましたが、静岡県は閉局名簿の側の条件(収録期間・欠号)が足りず、適用可否表で「不可」と判定されているためです。他県で学習した値の流用はしません。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【閉局の座標割当てを補正しています】名簿由来の座標には、住所がOCRで読み取りにくい場合に県庁などの代表点へ落ちるフォールバックが混入しています。座標だけで市区町に割り当てると他市の廃止が紛れ込むため、該当する行はOCR住所を読み直して割り当て直しました(対象は4年窓・暦年2025・アーカイブのみ。既定の12ヶ月窓に該当はありません)。静岡県ページ(Lv1)の4年窓の圏別内訳とは、この補正のぶんだけ差があります(機械可読の差分は closure_fix と _closure_fix.json)。
  • 【この圏のページが薄い理由】構成が2市のため、圏内ランキング・Lv3候補の次点は作っていません(順位が事実以上の意味を持ってしまうため。福岡県・宗像医療圏で確立した薄型様式を踏襲)。数値表・地図・人口動態は他圏と同じ基準で載せています。

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熱海伊東医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)

薬局の分布と、同じ医療圏の市区町村どうしの落差を1冊にまとめました。出典と作成時点を入れてあるので、そのまま社内やご相談の資料にお使いいただけます。受け取る地域をお選びください。

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類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。

もっとも近かったのは鹿児島県南薩ですが、「1軒あたり面積」が基準を超えました。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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