北海道 › 日高(二次医療圏)
CrossHealth / 薬局持久度レポート
7町のうち、65歳以上が増えるのはひとつだけ
日高医療圏7市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。
この記事の数字について:出所は公開データ(厚生局・薬局機能情報提供制度=GMIS・NDBオープンデータ・社会保障人口問題研究所の将来推計人口など)。分析期間は上の「対象・期間」のとおりで、将来値は推計であり幅があります。検算のやり方と不確実性の扱いは方法論のページ →で説明しています。
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日高医療圏の市区町村レポート(A4・6ページ)
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日高医療圏は新ひだか町を中心とする7市町村の圏域で、薬局は31軒——道全体2,185軒の1.4%です。内訳は1軒だけは3市町村、8軒以上あるのは新ひだか町・浦河町の2市町村。圏全体の65歳以上人口は2025→2045年で-17.7%と減ります(北海道全体は±0%)。ただし圏内を割ると、65歳以上人口の変化は様似町(-31.0%)から新冠町(+0.8%)まで31.8ポイント開いています。
まず供給の重心です。薬局14軒=圏内の45.2%が新ひだか町にあり、圏の65歳以上人口の34.1%も新ひだか町です。その新ひだか町自身は、総人口が19,789→13,367人(-32.5%)、高齢化率36.8%→45.3%、65歳以上人口は-16.9%で、ピークは2025年=すでに過ぎています。圏内7市町村のうち、65歳以上人口のピークがまだ来ていないのは新冠町の1市町村だけです。2045年までに65歳以上が実数で増えるのは新冠町の1市町村だけです。薬局0軒の自治体はこの圏にはありません(道内には31町村ある)。ただし薬局1軒あたりの面積は新ひだか町の81.8km²から平取町の741.8km²まで9.1倍の開きがあります。閉局の面では、この12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に出た廃止届は2件(日高町1件・新ひだか町1件)。うち1件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは1軒(圏内薬局の3.23%)でした。残り5市町村では、この12ヶ月に廃止届は1件も出ていません。機能の届出では、かかりつけ薬剤師指導料の届出率が71.0%と道平均(66.8%)を上回り、21医療圏中5位です。ただし薬局が1軒しかない自治体では、1店の届出の有無がそのまま0%か100%になります。市町村単位の率としては読めません。
地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来
色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが様似町(-16.2%)、いちばん緑なのが新冠町(+22.4%)です。ただし様似町・新冠町は薬局1軒・1軒の市町村で、1店の開廃で数字が大きく動きます。面積の広い自治体ほど地図では目立ちますが、薬局の数とは比例しません。
人口動態 ── 需要の源日高医療圏は「人も、お年寄りも減る」
なぜ市町村で明暗が分かれるのか。もとをたどると人口の動きです。日高医療圏全体では、総人口が5.8万→3.9万人(-33.2%)と減り、65歳以上は2.1万→1.8万人(-17.7%)と減ります。高齢化率は36.9%→45.5%へ上がります。圏の65歳以上のピークは2025年=すでに減少局面です。圏内7市町村のうち6市町村がそのピークをすでに通過しています。高齢化率が圏内で最も高いのは様似町の44.5%で、2045年には54.3%になります。
広さと徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像徒歩10分圏に住む人は36.8%(直線近似)
日高医療圏の面積は4,803km²で、薬局31軒で割ると1軒あたり154.9km²(広い順に道内8位)。市町村別では新ひだか町の81.8km²から平取町の741.8km²まで9.1倍の開きがあります。250mメッシュ人口で見ると、最寄り薬局まで徒歩10分圏に住む人は圏の36.8%(道全体69.2%)、徒歩20分圏で57.9%です。市町村別では平取町の9.8%から新ひだか町の53.6%まで開きます。※この徒歩分は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、実際の道路網(OSRM)による実測ではありません。実測化すると数ポイント下がる傾向があり、道路・冬期の通行止め・公共交通も含みません。
地域の差 ── 市町村差需要が減る市町村・増える市町村
様似町(-16.2%)から新冠町(+22.4%)まで38.6ポイントの開き。マイナスは5市町村です。ここでの色は圏内での相対値(圏全体の処方せん総数を固定して、高齢人口シェアの移動だけを見たもの)です。圏そのものの需要は-17.7%と減る側にあるため、絶対量では新冠町は+0.8%、様似町は-31.0%となります。なお圏内7市町村のうち5が薬局8軒未満で、1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。薬局8軒以上の2市町村に限ると、1軒あたり処方せんは8,357〜8,763枚(1.05倍)に収まります。
医療計画県の医療計画は、この圏域をどう書いているか
くわしい数字7市町村データ一覧
| 市区町村 | 薬局 | 高齢率 2025 | 1軒あたり処方せん 2025 → 2045 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 新ひだか町 | 14 | 36.8% | 8,763 → 8,845 | +0.9% |
| 浦河町 | 8 | 35.9% | 8,357 → 8,350 | -0.1% |
| 日高町 | 4 | 37.8% | 16,280 → 15,688 | -3.6% |
| えりも町 | 2 | 35.4% | 11,664 → 11,447 | -1.9% |
| 様似町 | 1 | 44.5% | 26,678 → 22,362 | -16.2% |
| 平取町 | 1 | 37.1% | 26,930 → 26,635 | -1.1% |
| 新冠町 | 1 | 33.6% | 28,209 → 34,525 | +22.4% |
※処方せん需要は日高医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。個店のランキングは作りません。
この地図の使い方(3段階のドリルダウン)
- 北海道(ひとつ上・Lv1)=21の二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
- 日高医療圏(このページ・Lv2)=7市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
- 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。
医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です
薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。日高医療圏にいまある31軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.13です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-33.2%です。社人研の推計では、この地域は減り方が急な側(20年で15%超の減少)に入ります。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。
機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算は、名簿の全店が届け出ています
薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。日高医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は28軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 28軒すべて、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 25軒=89.3%、在宅薬学総合体制加算 19軒=67.9%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 22軒=78.6%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。このページがこれまで載せていた届出率は、改定前の版の名簿を店名で突き合わせて数えたものでした。並べると、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)は今回89.3%/これまで71.0%(差+18.3ポイント)、地域支援・医薬品供給対応体制加算は今回全店/これまで51.6%(差+48.4ポイント)、在宅薬学総合体制加算は今回67.9%/これまで64.5%(差+3.4ポイント)です。差の主な理由は3つで、(1)令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算が地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されたこと(地域支援の届出率が跳ね上がる)、(2)かかりつけ薬剤師指導料が服薬管理指導料に統合され、代理指標に切り替えたこと、(3)これまでが店名の突き合わせ、今回が医療機関コードでの集計であること。どちらかが誤りという意味ではありません。これから先は、47都道府県を同じ月の版でそろえた今回の数え方を主に使います。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。
このレポートの範囲と、正直な限界
- 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
- 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
- 【処方せんの推計方法】日高医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間359,803枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。この圏は全市町村に薬局があるため、市町村別の値を足し戻すと圏の実績にほぼ一致します(100.0%)。
- 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(北海道=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に82.3)。
- 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
- 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。
- 【閉局の数え方と集計期間】厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(日高医療圏で1件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち1件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。北海道の廃止名簿アーカイブには月の欠落があるため、集計期間は暦年ではなく完全にそろう2025年5月〜2026年4月(12ヶ月)としています。件数は2026年7月29日時点の名簿によるもので、掲載の遅れにより今後増える可能性があります。兵庫県とは同じ12ヶ月窓です。京都府・大阪府も同じ長さの12ヶ月窓ですが期間が2ヶ月ずれており、千葉県の公開値(暦年2025)を含め件数を直接並べることはできません。
- 【市町村ごとの閉局は件数が小さい】圏内の真の閉局は12ヶ月で1件、廃止届も2件しかありません。1件で率が大きく動くため、市町村どうしの閉局率の比較はできません。
- 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています。
- 【機能の届出率】かかりつけ薬剤師指導料などの届出状況は薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告に基づき、申告データのある31店を分母にしています(圏内全31店のうち)。届出=実際の提供実績ではありません。薬局1軒の自治体では届出率が0%か100%にしかならないため、市町村どうしの届出率の比較には意味がありません。
- 【小さすぎる分母】この圏に薬局0軒の自治体はありませんが、5市町村が薬局8軒未満で、1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れます。圏内の1軒あたり処方せんのレンジは、8軒以上の2市町村に限ると8,357〜8,763枚(1.05倍)、全市町村では8,357〜28,209枚(3.38倍)です。
- 【面積の指標について】area_km2 は国土数値情報の行政区域ポリゴンから球面積を積算したものです。道路網・公共交通・冬期の通行止めは含みません。「薬局1軒あたり154.9km²」は幾何的な広さであって、住民が実際にどれだけ移動するかではありません。
- 【徒歩カバー率は直線近似】徒歩10分圏カバー率36.8%は、250mメッシュ推計人口(2025年)と道内の全薬局から、直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで近似した値です(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。OSRM実道路網による実測ではなく、実測化すると数ポイント下がる傾向があります(河川・線路・冬期条件で迂回が生じるため)。最寄り薬局は市町村・医療圏の境界を越えて探しています(越境あり・道内2,185店)。
- 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。
- 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。社会増減(移住・開発など)の影響が大きい町では、推計と実際のずれが他の地域より大きくなる可能性があります。
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似ている地域
類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。
もっとも近かったのは宮崎県日向入郷ですが、「1軒あたり面積」が基準を超えました。
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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。
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