CrossHealth(クロスヘルス)合同会社 政策研究 / 提言
副首都の設計図に、「医療」の一行を
3行で
- 近畿2府4県の住民 約2,003万人(2025年推計)のうち、徒歩10分以内に薬局が1軒も無い人は約345万人(17.2%)、1軒だけの人は約240万人(12.0%)です(図1)。
- 副首都法の整備方針には、副首都と圏域内の自治体との連携が入ります(第20条第2項第5号)。圏域の範囲は法律では定まっておらず、近畿なら図1の人たちも、ほかの道府県ならその周りの住民も含まれえます。ただ、成立した条文に「医療」「医薬品」「薬」の語は出てこず、政令案で道府県と指定都市が連携協約に定める「連携する事務」8つにも、医療・保健は名指しされていません(図2)。
- どこが副首都になっても、その整備方針と、道府県と大都市の役割分担に「医療と医薬品の供給」を名指しで書き込むことを提言します。同じ趣旨の意見を、政令案の意見募集に提出しました(下)。
数字は人口と薬局の配置、文書の記述の観測です。この提言は、副首都の指定の是非や、特定の道府県・政党を推すものではありません。どの道府県が指定されても、同じ提言が当てはまります。
数字で見る
図1 近畿2府4県の住民 約2,003万人(2025年推計)を、徒歩10分以内にある薬局の数で分けると
- 0軒 345万人(17.2%) 徒歩10分では届かない
- 1軒だけ 240万人(12.0%) その1軒が閉まると、徒歩10分では届かなくなる
- 2軒以上 1,418万人(70.8%)
図2 政令案で、道府県と指定都市が連携協約で定める「連携する事務」(特別区ではなく連携協約を選ぶ場合)
産業情報通信教育・研究都市計画公共施設公益的施設防災その他医療・保健 名指しされていない
徒歩10分は道路をたどった時間。保険薬局のみ。「1軒だけ」は徒歩10分以内の薬局がちょうど1軒の人で、「0軒」とは重なりません。0軒の割合と1軒だけの人数は、CrossHealth の府県ページ(2026年10月9日時点)と同じ集計の値で、ここでは6府県分を足しています。図2の「その他」に医療・保健が含まれうるかは、政令案からは分かりません。
提言
どこが副首都になっても、その整備方針と、道府県と大都市の役割分担に「医療と医薬品の供給」を名指しで書き込む。
政府の意見募集に出した意見
2026年10月10日、e-Gov の意見募集「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令等(案)」(案件番号 060261003・内閣官房 副首都整備等推進室)に、次の意見を提出しました。提出したままの文です(e-Gov が受け付けない丸数字・ローマ数字は、文中の注記のとおり書き換えています)。
国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令等(案)について
【該当箇所】
別紙1「2.副首都指定の要件」(3)必要な地方行政体制 のうち「地方自治法に基づく連携協約の締結及び推進体制の構築」<連携協約の締結等>「※連携する事務」
(案の丸数字・ローマ数字は、機種依存文字のため「2つ目の要件」「iからviii」と表記しています。)
【意見1】
地方行政体制の要件のうち2つ目(連携協約の締結等)を選ぶ場合に、道府県と指定都市が連携協約で定める「連携する事務」に、保健医療に関する事務が含まれることを明確にしていただきたい。
対象としたいのは、医療法に基づく医療計画の策定・変更、災害時の医療提供体制、医薬品の確保・供給に関する事務です。
本意見は、要件を重くする趣旨ではなく、iからviiiの範囲を明確にしていただく趣旨です。
【理由】
1. 案の「連携する事務」は、iからviiiに8つの分野を挙げています(産業、情報通信、教育・研究、都市計画、公共施設、公益的施設、防災、その他)。防災は名指しされていますが、医療・保健は名指しされていません。
2. 副首都は、大規模災害が発生し東京圏で首都中枢機能を維持することが困難となった場合に、必要に応じ一定期間、首都中枢機能の全部または大部分を代替する機能を担う道府県です(法第2条第4項)。その期間に、住民と、代替機能を担う職員等への医療と医薬品の供給が続くことは、機能を十分に発揮するための前提の一つと考えます。
3. 医療計画は道府県が定めます。一方、指定都市は保健所を設置し、区域内の薬局の許可等の薬事に関する事務も担います。道府県と指定都市の役割分担を連携協約で定めるのであれば、この分野も対象であることを明確にしておくことが望ましいと考えます。
4. 法律の条文には「医療」「医薬品」「薬」の語がありません。そのため、政令・内閣府令またはその考え方で明確にすることに意味があると考えます。
【意見2(解釈の明確化のお願い)】
結果の公示の際に、次の解釈について考え方をお示しいただきたい。
(1) 医療計画の策定・変更、災害時の医療提供体制、医薬品の確保・供給に関する事務は、vii(「国土強靱化地域計画その他の防災に関する重要な計画の策定及び変更その他防災に関する事務のうち連携することが特に必要であるもの」)に含まれ得るか。
(2) 含まれない場合、viii(「iからviiまでに掲げるもののほか、行政の一体性及び統一性の確保の観点から連携して処理することが特に必要である事務」)として、道府県と指定都市が連携協約に定めることは想定されているか。
なお、本意見は、特定の道府県の指定の是非や、特別区の設置と連携協約のいずれを選ぶべきかについて述べるものではありません。どの道府県が申し出る場合にも共通する点として申し上げます。
提出者:CrossHealth合同会社
結果の公示で、政府の「意見に対する考え方」が示されたら、このページに追記します。
提言の全文のPDF(無料・A4 2ページ)
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