沖縄県北部(二次医療圏)

CrossHealth / 薬局持久度レポート

薬局のない村が、4つある

北部医療圏9市町村の薬局を、供給・高齢化・経営体力で見える化。市区町村ごとの詳細レポートは順次公開します。

対象 北部医療圏 9市町村期間 2025年 → 2045年概要版・無料

北部医療圏は、沖縄島北部の6市町村に、伊江島・伊平屋島・伊是名島の3村を加えた9市町村からなります。薬局は24軒——県内440軒の5.5%しかありません。そのうち17軒(70.8%)が名護市に集まり、4つの村には薬局が1軒もありません。薬局のない4村に住む人は合わせて12,293人。最も大きい今帰仁村は8,527人で、これは離島ではなく沖縄島の上の村です。

9
北部医療圏の市町村
24
圏内の薬局数
1
直近12ヶ月に閉じた薬局(承継・移転を除く)
4
薬局が1軒もない村

北部医療圏の需要は、圏全体では65歳以上人口が2025→2045年で+9.4%増えます。沖縄県5医療圏はどれも増える側にありますが、この圏の伸びは県内で最も小さく、総人口は-9.9%と県内で最も深く減ります。圏内を市町村に割ると、増えるのは名護市(65歳以上+25.1%)だけで、残る8市町村はすべて65歳以上人口そのものが減ります(-19.1%〜-0.5%)。経営体力(薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化・圏内での相対値)は伊江村(-26.1%)から名護市(+14.4%)まで40.5ポイント開きます。いっぽう供給の厚みを見ると、薬局1軒あたり処方せんは22,677枚と県内5圏で最も厚い——少ない薬局が広い圏を支えている構図です。閉局の面では、直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)に出た廃止届は2件(いずれも名護市)で、うち1件は移転・承継で事業が続き、そのまま消えたのは1軒でした。件数が小さいため、率にして圏どうしを順位づけすることはしていません。

地図 ── 地域差を見る薬局1軒あたり処方せんの、市町村ごとの将来

色は薬局1軒あたり処方せんの2025→2045変化(=経営体力)。緑=圏内で相対的に増える、赤=減る。いちばん赤いのが伊江村(-26.1%)、いちばん緑なのが名護市(+14.4%)です。ただし伊江村は薬局1軒の村で、1軒あたりの数値は大きく振れます。薬局が0軒の4村は色がつきません(分母がないため)。

伊江村:薬局1/1軒あたり処方せん -26.1%伊江村国頭村:薬局2/1軒あたり処方せん -21.3%国頭村本部町:薬局3/1軒あたり処方せん -17.1%本部町大宜味村:薬局1/1軒あたり処方せん -16.3%宜味村名護市:薬局17/1軒あたり処方せん +14.4%名護市東村:薬局なし東村今帰仁村:薬局なし帰仁村伊平屋村:薬局なし平屋村伊是名村:薬局なし是名村
色=経営体力の変化(→2045)
減る(-26%)増える(+14%)
薬局なし(東村・今帰仁村・伊平屋村・伊是名村)
市区町村そのものの形で塗り分けています。
北部医療圏には伊江島・伊平屋島・伊是名島が含まれますが、いずれも沖縄島から30km圏にあり、本島部と同じ縮尺で描けます(先島・大東を含む圏とは異なります)。

徒歩圏 ── 「近くの薬局」の実像(直線近似)徒歩10分圏に住む人は37.4%——県内で最も薄い

250mメッシュ人口(2025年推計)で見ると、北部医療圏で最寄り薬局まで徒歩10分圏(直線近似)に住む人は37.4%(沖縄県全体67.3%)、20分圏で53.5%です。徒歩10分圏の外には62,378人が住んでいます。圏の値37.4%は県内5圏で最も低く、県全体(67.3%)を29.9ポイント下回ります。市町村別では名護市が53.4%。薬局のない村では、今帰仁村(8,527人)を含む4村すべてで徒歩10分圏に住む人がいません。伊江村は島内に薬局が1軒あり、島内の薬局だけで測っても値は変わりません(island_ref照合済み)。この値は直線距離×迂回係数1.3÷分速80mの近似で、OSRMの実道路網による実測ではありません(実測化すると数ポイント下がる傾向があります)。公共交通・航路は含みません。

人口動態 ── 需要の源圏全体では+9.4%。増えるのは名護市だけ

北部医療圏全体では、総人口は10.0万→9.0万人(-9.9%)と減り、65歳以上は2.9万→3.2万人(+9.4%)とわずかに増えます。高齢化率は29.2%→35.4%へ。65歳以上のピークは圏全体で2045年です。ただし圏内9市町村のうち6自治体ではすでに2025年がピークで、8自治体では65歳以上人口が2045年までに減ります。「圏では増える」という一行は、名護市(65歳以上+25.1%)が引き上げているだけで、残る8市町村の事情を含んでいません。

総人口65歳以上
0万2万5万8万10万2025203020352040204520509万3万
実データ(社人研 将来推計人口・2023年推計)。65歳以上のピークは圏全体で2045年。

ランキング ── 市町村差経営がしんどくなる市町村・楽になる市町村

伊江村(-26.1%)から名護市(+14.4%)まで40.5ポイントの開き。ただし圏内で薬局8軒以上あるのは名護市だけで、伊江村・国頭村・本部町・大宜味村は薬局が8軒に満たないため、1軒あたりの数値は振れやすい点にご注意ください。薬局0軒の東村・今帰仁村・伊平屋村・伊是名村は1軒あたりが計算できないため、表では「—」としています。

伊江村
-26.1%
国頭村
-21.3%
──── ここから経営が楽になる地域(需要増)────
本部町
-17.1%
大宜味村
-16.3%
名護市
+14.4%
薬局0の自治体(東村・今帰仁村・伊平屋村・伊是名村)はランキング対象外です

県の医療計画県の医療計画は、この圏域をどう書いているか

県が公表した保健医療計画の本文を、原文のまま引用しています(要約・言い換えはしていません)。

⑸地域医療構想等の実現に資する医療従事者の確保等北部医療圏においては、北部地域の医療機能の分化・連携を進めること等を目的に、令和10(2028)年度に県立北部病院と北部地区医師会病院を統合して公立沖縄北部医療センターを整備することとしております。

沖縄県医療計画 第7章 医療従事者の養成・確保 PDF 14ページ

北部医療圏や離島は中南部に比べて面積が広いため、遠方の地域まではカバーできていないほか、医療ニーズの高い人工呼吸器使用者等に対応できる事業所が少なく、充分に対応できていない状況があります。

沖縄県医療計画 第5章 医療施策 2/2 PDF 29ページ

さらに、令和4年3月に「沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律」が成立し、離島・北部地域の振興に関し、医療の確保等を図るために必要な措置を講ずることとする努力義務が新設されたことで、より一層のへき地医療対策が必要とされています。

沖縄県医療計画 第5章 医療施策 1/2 PDF 39ページ

並べているのは「県の計画にこう書いてある」という事実と、実データの数字です。計画の是非は論じません。

くわしい数字9市町村データ一覧

市区町村薬局高齢率
2025
1軒あたり処方せん
2025 → 2045
変化
名護市1724.5%17,372 → 19,870+14.4%
本部町336.2%26,998 → 22,383-17.1%
国頭村238.4%15,177 → 11,941-21.3%
伊江村139.8%28,763 → 21,265-26.1%
大宜味村141.1%22,644 → 18,955-16.3%
東村040.2%薬局なし
今帰仁村037.5%薬局なし
伊平屋村035.6%薬局なし
伊是名村035.3%薬局なし

※処方せん需要は北部医療圏全体の実績(NDB)を市町村の高齢人口で按分した推計です。かかりつけ・地域連携・在宅の届出率は、沖縄県では元データが未取込のため掲載していません。(→ この波で、厚生局の施設基準届出受理医療機関名簿で数え直した届出率をこのページに載せました。GMISの自己申告からは算出できないという直前の説明は、GMISについてはいまも有効です。)個店のランキングは作りません。

この地図の使い方(3段階のドリルダウン)

  • 沖縄県(ひとつ上・Lv1)=5つの二次医療圏で「どの地域が細るか」をざっくり。
  • 北部医療圏(このページ・Lv2)=9市町村で「同じ圏域の中の差」を見る。
  • 市町村(詳細・Lv3)=境界・薬局分布・経営シナリオまで。

医療圏の型 ── 競争で減るのか、需要で減るのかこの圏は郊外型(需要減)です

薬局が閉じていく筋道には、大きく2つあります。ひとつは近くに薬局が多く、競争のなかで数が絞られていく道(都市型)。もうひとつは周りに薬局が少ないまま、患者そのものが減っていく道(郊外型)。北部医療圏にいまある24軒それぞれについて、どちらの効き方が強いかを計算し、閉局の起こりやすさで重みづけて足し上げると、競争側の比率は0.20です(0.5以上なら都市型、それ未満なら郊外型)。この地域は郊外型(需要減)にあたります。需要の側は、この地域の総人口が2025→2045で-9.9%です。全国47都道府県・335の二次医療圏・65,634行(うち移転や承継を除いた本当の閉局3,952件)を学習した統計モデルによる分類です。特定の地方だけで学んだモデルを他の県に当てはめたものではありません。共通の係数は47都道府県すべての実データから学習しており、この地域の値は、この地域に実際にある薬局の実測値から計算しています。この分類は「どの筋道で薬局が減りやすい地域か」を示すもので、個々の薬局の見通しではありませんし、出店や撤退の判断もしません。

機能の届出 ── 厚生局の名簿で数える地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出は92.5%です

薬局の機能は、これまで薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告で数えていましたが、ここからは地方厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」で数え直しています。北部医療圏でこの名簿に載っている保険薬局は40軒で、そのうち届出があるのは──地域支援・医薬品供給対応体制加算 37軒=92.5%、かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定) 10軒=25.0%、在宅薬学総合体制加算 2軒=5.0%、電子的調剤情報連携体制整備加算(推定) 28軒=70.0%です。名簿の版は令和8年7月1日版(東北厚生局=青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県のみ令和8年6月1日版。7月分が未公開のため入手可能な最新を使用)。8つの厚生局・47都道府県をすべて同じ月の版でそろえてあるので、県どうしを並べて比べられます(GMISの自己申告は県によって取り込みの穴があり、これができませんでした)。推定を含む項目があります。「かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)」は令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は服薬管理指導料に統合され、単独の届出名称が無くなりました。新様式の名簿にある「服薬管理指導料の注1」を代理指標として数えた推定値です(告示・通知文の逐語確認はしていません)。「電子的調剤情報連携体制整備加算」は令和8年度改定で「医療DX推進体制整備加算」の後継と判断して数えた推定値です(同一制度の後継という対応関係は未確認)。分母は名簿に載っている薬局の数で、このページの他の場所に出てくるGMIS由来の薬局数とは出典が違うため一致しません。また届出は「その体制をとると届け出た」という記録で、実際に提供された量ではありません。

このレポートの範囲と、正直な限界

  • 【このレポートで言えること】地域単位(二次医療圏・市町村)の薬局供給と、将来の高齢人口から見た需要の傾き。地域の持続可能性を映すためのものです。
  • 【言えないこと】個々の薬局の経営状態・存続の見通しは一切わかりませんし、扱いません。個店のランキングや「この店は無くなる」といった予測は作りません。出店・撤退の判断はしません。事実をお見せし、判断は読み手に委ねます。
  • 【地域の背景には踏み込みません】人口動態や閉局件数の背景にある歴史的・社会的な事情は、当データベースからは判定できません。本レポートは件数と推計人口の並置にとどめ、理由の断定は一切しません。
  • 【処方せんの推計方法】北部医療圏の院外処方せん実績(NDB 2023年・年間544,252枚)を、市町村ごとの65歳以上人口シェアで按分した推計です。実際の処方せんは市町村別には公表されていません(NDBの最小単位が二次医療圏のため)。離島の住民が島の外の医療機関を受診して島の外の薬局で調剤を受けた場合、その処方せんは按分では島側に配分されます。実際の受療動向とはずれる可能性があります。
  • 【「経営体力の変化」の意味】圏域全体の処方せん総数を現在の水準に固定したうえで、圏内での高齢人口シェアの移動だけを見た相対値です。圏全体として処方せんが増えるか減るかは、ひとつ上の階層(沖縄県=Lv1)の需要指数で別に示しています(この圏域は2025年を100として2045年に109.4=実数としては増えます)。
  • 【薬局数は2025年で固定】市町村別の推計では、薬局の数はいまのまま変わらないと置いています。新規開局・閉局による将来の店舗数の変化は含みません。
  • 【高齢人口=需要の代理指標】処方せんの多くを高齢者が占めるという前提を置いています。受診率・在宅化率・オンライン服薬指導・後発品比率などの制度変更は織り込んでいません。沖縄県は高齢化率が全国で2番目に低い県であり、高齢者以外の受診が需要に占める割合が他県より大きい可能性があります。この点は本推計では扱えていません。
  • 【閉局の数え方と集計期間】九州厚生局の保険薬局廃止情報のうち、移転・承継を除いた「真の閉局」だけを数えています(北部医療圏で1件)。廃止届は全部で2件出ていますが、そのうち1件は新しい機関コードが記載されており、別の担い手が事業を引き継いだ=その場所から薬局が消えてはいない、と読めます(内訳は clo_gross / clo_relo として別に保持)。集計期間は直近12ヶ月(2025年5月〜2026年4月)で、兵庫・京都・滋賀・北海道・神奈川・富山・岐阜・三重・石川・静岡の公開値と同じ期間です。福岡県・大阪府・千葉県の公開値(暦年2025)とは期間が異なります(参考として暦年2025の値は真の閉局1件・廃止届1件)。
  • 【閉局件数は2026年5月末時点の名簿にもとづく下限値】名簿には廃止日から掲載までのタイムラグがあり、集計期間内の件数もこの後静かに積み増される可能性があります。また名簿には2024年の5つの号が欠けており(当データベースの収集の穴)、年別内訳(clo_by_year)のうち廃止日2023年12月〜2024年7月の8ヶ月分は実際より少なく数えられています。既定の集計期間(2025年5月〜2026年4月)はこの欠けの影響を受けていないことを号の復元で確認済みです。
  • 【機能の届出率】厚生局の「施設基準届出受理医療機関名簿」(8厚生局・47都道府県を同じ月の版でそろえたもの)で数え直し、掲載に切り替えました。分母は名簿に載る40軒で、地域支援・医薬品供給対応体制加算92.5%/かかりつけ薬剤師(服薬管理指導料の注1)(推定)25.0%/在宅薬学総合体制加算5.0%/電子的調剤情報連携体制整備加算(推定)70.0%です。かかりつけ薬剤師と電子的調剤情報連携体制の2項目は、令和8年度改定で届出名称が変わったため代理指標を用いた推定です(本文に明記)。届出は「その体制をとると届け出た」記録で、提供実績ではありません。
  • 【徒歩圏カバー率は直線近似】徒歩分は最寄り薬局までの直線距離×迂回係数1.3÷分速80mで計算しており、OSRM実道路網による実測ではありません(walk_access.access_method = "fallback_haversine")。実測化すると数ポイント下がる傾向があります。最寄りは市町村・医療圏の境界を越えて県内の薬局から探します。直線は海をまたぎますが、徒歩10分=直線約615mを動かす海またぎは実際に架橋済みの水路にほぼ限られます。北部医療圏では薬局のない4村(合わせて12,293人)の全域が徒歩10分圏の外にあり、圏の値を大きく下げています。伊江村(島内1軒)は島内の薬局だけを供給点にした参考値(island_ref)と標準値が一致します。
  • 【薬局の範囲】調剤を行う薬局のみを対象とし、ドラッグストア専業(調剤なし)は含みません。薬局の位置は届出上の市町村コードで割り当てています(未割当0件)。
  • 【将来人口】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」。推計であり、実績ではありません。
  • 【小さすぎる分母】伊江村・国頭村・本部町・大宜味村は薬局数が8軒に満たない自治体です。1軒あたりの数値は1店の開廃で大きく振れるため、傾向としてのみお読みください。また東村・今帰仁村・伊平屋村・伊是名村の4自治体には調剤を行う薬局が0軒で、1軒あたりの数値そのものが計算できません。その高齢人口分(圏の按分需要の一部)はどの薬局にも按分されないため、圏内の按分合計は圏実績よりわずかに小さくなります。
  • 【地図の縮尺】北部医療圏の伊江島・伊平屋島・伊是名島は沖縄島から30km圏にあり、本島部と同じ縮尺で描けます。地図上の距離は実距離を表しません。
  • 【いま出していない数字】2045年の薬局店数の推計は、いまも出していません(参入と退出の数え方がそろわず、そのまま回すと全国で薬局が2割以上増える計算になってしまうため)。医療圏の「都市型/郊外型」分類は、供給の統計モデルが47都道府県フル学習になったので掲載に切り替えました。

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似ている地域

類似圏は見つかりませんでした。同一県を除いた全国330圏あまりの中に、5軸すべてが許容幅(ロバストz 0.75以内)に収まる圏がありません。この圏は全国的に特異です(無理に近い圏を当てはめない方針)。

もっとも近かったのは東京都島しょですが、「1軒あたり人口」が基準を超えました。

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自治体・薬剤師会・研究者の方へ。この地域のより詳しい分析や、地域医療構想調整会議・研修でそのまま使える資料の作成を承ります(圏域ブリーフ ¥100,000〜)。個店のランキングや出店指南は行いません。

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