【論文発表】日本の薬学部で、プライマリ・ケアはどう教えられているか。全国81校のシラバスを悉皆分析
CrossHealth初の学術論文が国際誌 Currents in Pharmacy Teaching and Learning に掲載。薬と社会健康科学研究所(IPhaS)との共同研究で、日本の薬学部のプライマリ・ケア教育を全国81校のシラバスから可視化しました。
CrossHealth初の学術論文が、国際誌 Currents in Pharmacy Teaching and Learning(Elsevier)に掲載されました。薬と社会健康科学研究所(IPhaS)との共同研究です。日本の薬学部で「プライマリ・ケア(PC)」がどれだけ、どのように教えられているかを、全国の大学シラバスを悉皆で分析しました。
なぜ、この研究をしたのか
日本は急速な高齢化と人口減少で、地域医療の持続性が問われています。その要となるのがプライマリ・ケアであり、薬剤師はその重要な担い手と位置づけられています。けれど、そのプライマリ・ケアが日本の薬学教育にどれだけ組み込まれているかは、これまで明らかではありませんでした。
何をしたか
薬学部を持つ全国81校の2024年度シラバスを、各大学の公式サイトから収集。「Primary care」というキーワードで、どの科目に・どのように記載されているかを悉皆的に分析しました。
わかったこと
- シラバスを閲覧できた63校(77.8%)のうち、49校(77.8%)がプライマリ・ケアを1科目以上で扱っていた一方、14校(22.2%)は扱っていませんでした。
- 記載の場所は「到達目標」が最も多く(各設置区分で50%以上)、国公立は「授業概要」、私立は「授業計画」に記す傾向が見られました。
- 7校(14.3%)は、プライマリ・ケアを実務実習の科目でのみ扱っていました。これは、実習の指導薬剤師(preceptor)が果たす役割の大きさを示しています。
この研究が示すこと
モデル・コアカリキュラムという国の指針があってもなお、プライマリ・ケア教育の実装には大学間で大きなばらつきが残っていました。地域医療の変化に応えられる薬剤師を育てるには、カリキュラム設計の強化・教材の開発・そして実習指導者の育成が必要だと、本研究は提言しています。
代表コメント(木内翔太)
地域のプライマリ・ケアにとって、薬剤師は欠かせない存在だと考えています。本研究でその薬剤師を育成する課程でプライマリ・ケアがどう扱われているか、その一端を明らかにできたことを嬉しく思います。今後も日本のプライマリ・ケアと薬剤師の役割について考え、自分のできることで貢献していきたいです。
論文情報
- タイトル:Primary care education in undergraduate pharmacy programs in Japan: A nationwide content analysis of publicly available syllabi
- 著者:木内翔太(Shota Kiuchi)/山崎瑞季(Mizuki Yamazaki)/秤谷隼世(Hayase Hakariya) ※3名とも薬と社会健康科学研究所(IPhaS)所属。木内はみどり薬局・CrossHealth・IPhaSに所属。
- 掲載誌:Currents in Pharmacy Teaching and Learning, 18(10), 102641(2026年)
- DOI:10.1016/j.cptl.2026.102641
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