この分析の裏側
方法論
薬局持久度カルテが使っているのは、すべて公開データです。ここでは、どのデータを、どう数え、どこまで言えて、どこから先は推計なのかを、できるだけ平易に説明します。
使っている公開データ
- 薬局の開設・廃止
- 厚生局の保険薬局指定・廃止情報(各地方厚生局の公表名簿)
- 薬局の機能
- 薬局機能情報提供制度(GMIS)の自己申告データ
- 処方せんの実績
- NDBオープンデータ(医療圏別・院外処方せん実績)
- 将来の人口
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(2023年推計)
- 行政区域・医療圏
- 国土数値情報(国土交通省)の行政区域ポリゴン・医療圏マスタ(第8次医療計画準拠)
- 徒歩でのアクセス
- OpenStreetMapの道路網(OSRM)による実徒歩時間。データが無い場合のみ直線距離での近似に切り替え、その旨を本文に自動で注記します
数え方・推計のしかた
薬局の数え方
市区町村と二次医療圏の対応は、全国共通の医療圏マスタ(NDBの335圏と一致)だけを正として使います。個別の記事ごとに違う対応表は作りません。ドラッグストア併設の調剤カウンターは、通常の「薬局が何軒あるか」には含めません(別途明示した場合を除く)。
閉局の数え方
廃止届のうち、移転・承継(新しい機関コードが発行され事業が続いたもの)を除いた「真の閉局」を基本の数字にしています。ただし移転・承継の件数も必ず併記し、「本当に無くなった数」と「経営体の入れ替わりの総量」を区別できるようにしています。地方厚生局ごとに名簿の作り方(画像PDFか構造化データか等)が違うため、地方をまたいだ閉局率の比較はできない場合があり、その場合は本文に明記します。
将来の需要(処方せん)の推計
二次医療圏単位のNDB実績を、対象地域の65歳以上人口のシェアで按分し、基準年より先は65歳以上人口の伸び率で延ばしています。「1人あたりの処方せん利用のしかたは今のまま変わらない」という単純化を置いた推計であり、実績ではありません。薬局の数は現在の水準で固定して計算しており、将来の開局・閉局は見込んでいません。
徒歩でのアクセス
250mメッシュの各地点から、市区町村境界をまたいだ実際の最寄り薬局までの、道路網に沿った徒歩時間を計算しています。道路網データが使えない場合だけ、直線距離に迂回のための係数をかけた近似値に切り替え、どちらの方式で出したかを本文に必ず記録します。
欠測(データが無い項目)の扱い
薬局機能の届出データ(GMIS)が県ごとまるごと未取込のケースがあります。この場合、届出率を「0%」と表示すると実在しない事実を作ってしまうため、「未算出(欠測)」として扱い、0%とは区別して表示します。同様に、供給の将来推計モデルなど学習データの範囲外の県では、その数字自体を出しません(無理に出すより、出さないことを選びます)。
検算文化
新しい都道府県・医療圏を公開する前に、次の確認を必ず行っています。数字を早く出すことより、間違った数字を出さないことを優先します。
- 別実装での突き合わせ。もとのプログラムとは別に、独立した集計方法で同じ数字を出し直し、一致するかを確認します(独立再実装)。
- 主張の自動監査。本文中の具体的な言い回し(「ここが厳しい」等)が、同じ記事の数値と矛盾していないかを機械的にチェックします。
- 階層の整合性チェック。都道府県の合計が、医療圏・市区町村の合計と一致することを確認します。
- 負のコントロール。「起きないはずのこと」が実際に起きていないかを確かめる検査も、公開前のチェックに含めています。
- 店名の混入チェック。公開する文章に、特定の薬局名が紛れ込んでいないかを、全県共通のプログラムで機械的に検査してから公開します。
これらは体裁のためではなく、私たちが自分の数字を信じ切らないための手続きです。見つかった誤りは直し、直した経緯も含めて誠実に扱うようにしています。
不確実性について
将来の数字(2045年・2050年などの推計値)は、実績ではなく推計です。人口推計や処方せんの按分方法など、置いている前提が変われば数字も変わります。各記事の本文・末尾の注記に、その記事固有の前提と限界をできるだけ具体的に書いています。データが足りない項目は、無理に埋めず「未算出」として扱います。不確実性を隠すことよりも、そのまま見せることの方が、長い目で見て信頼につながると考えています。
個店については、公開しないと決めていること
どのプラン(無料・会員のどちらでも)でも、個別の薬局を一覧にしたり、ランキングで並べたり、名指しで論評したりする機能は作りません。公開する分析は、都道府県・二次医療圏・市区町村までの集計にとどめています。ご自身のお店については、会員登録店にひもづく自店カルテのご相談を個別にお受けしています。
常夜灯機関との関係
この分析の裏には、私たちが「常夜灯機関」と呼ぶ研究組織(正式名称:社会保障持久度研究班)があります。一度きりの報告書ではなく、毎月自動で開かれる検証を続け、結論を押しつけるのではなくデータと不確実性をそのまま見せることを設計の軸にしています。現在の研究対象は薬局アクセスの持久度に絞っています。詳しくはAbout「常夜灯機関について」をご覧ください。