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【Vol.6】縮小するモノの経済、復権するヒトの資本。(2026年1月3日号)

はじめに

こんにちは、医療政策ウォッチャー編集長の木内翔太です。
第6号のニュースレターをお届けします。

あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします!

2026年がスタートしました。
医療・介護の現場では、令和8年度の報酬改定が目前に迫り、物価高騰と人材不足という二重苦に直面する中で、新たな経営戦略が求められています。

今週は、「トリプル改定の実態」「予算の行方」「世界の教訓」という3つの視点から、2026年の生存戦略を考える4つのニュースを厳選しました。

1つ目は、 「診療報酬改定の決定事項」
過去最大規模の賃上げ対応と物価高騰への対応が、病院経営にどう影響するのか。特に看護補助者や事務職員への5.7%引き上げは、人材確保の鍵となるでしょう。

2つ目は、 「介護報酬改定の5つの重要ポイント」
6月施行という異例のスケジュール、処遇改善対象の拡大、生産性向上要件の強化など、現場の経営判断を左右する重要な変更点を読み解きます。

3つ目は、 「厚生労働省予算案の全体像」
35兆円超の予算が、医療・介護・障害福祉のトリプル改定、医療DX、創薬力強化などにどう配分されるのか。現場の経営戦略を左右する財源の行方を追います。

4つ目は、 「WHOのコロナ対応総括」
世界が学んだ教訓は、次のパンデミックへの備えとして、どのような体制構築を求めているのか。地域医療のレジリエンス強化に活かせる視点を探ります。

今週も、足元の経営から世界の潮流までを繋げて、サクッと解説します。


過去最大規模の賃上げ対応が病院経営を変える
診療報酬改定が示す「物価高騰と人材確保」の両立戦略

導入

  • 2025年(令和7年)12月24日、政府は予算大臣折衝を踏まえ、令和8年度の診療報酬改定を決定しました。

事実

  • 今回の改定は、物価高騰や賃上げといった経済情勢の変化に、医療現場が追いつくための重要な転換点となります。

  • 診療報酬は、全体でプラス3.09%の改定となりました。このうち、賃上げ分としてプラス1.70%が確保されています。

  • 現場で働くスタッフの給与については、令和8年度と9年度において、それぞれプラス3.2%のベースアップ実現を目指します。

  • 特に、看護補助者や事務職員については、他産業との人材獲得競争が激しい現状を踏まえ、5.7%という高い水準の引き上げを支援する方針です。

3行要約

  • 過去最大規模の賃上げ対応

    • 令和8年度と9年度の2年間平均で、全体としてプラス3.09%の引き上げを行います。

    • これまで対象が限定的だった賃上げの原資を、今回は入院基本料などで措置される職種にも広げることが決まりました。

    • 医師や看護師だけでなく、医療現場を支える事務職なども含めた、全職種での処遇改善が加速します。

  • 物価高騰への対応

    • 物価対応分としてプラス0.76%を計上しました。配分にあたっては、施設ごとの経営実態や費用構造を細かく分析し、メリハリをつけています。

    • 特に、高度な医療機能を担う病院や大学病院などは、高額な医療機器の調達が必要であり、物価高の影響を強く受けているため、さらにプラス0.14%の上乗せ措置を講じることとしました。

  • 食事・光熱水費の負担見直し

    • 食材費やエネルギー価格の高騰は、医療機関の自助努力だけでは吸収しきれない状況が続いています。これに対応するため、入院時の食費基準額を1食あたり40円引き上げることとしました。

    • 患者負担については、原則として1食あたり40円の増額となりますが、低所得者については所得区分に応じて20円から30円の増額に抑えます。

地域現場への影響

  • [経営・収益]

    • 物価高の影響を受けやすい大規模病院や高度医療機関へ、資金を重点的に配分する構造へとシフトします。

    • 一方で、薬価についてはマイナス0.86%の引き下げを行い、材料価格もマイナス0.01%とし、これらによる国費ベースでの削減額は約1,063億円にのぼります。

    • 診療報酬本体を引き上げる財源を捻出するため、薬剤費抑制の流れは継続します。

  • [連携・実務]

    • 医師の偏在解消や経営透明化に向けた「構造改革」が進められます。

    • 都市部に診療所が集中しすぎている現状を是正するため、外来医師が多い区域で新規開業しようとする際、都道府県知事からの要請に従わない場合には、診療報酬を減額する措置を講じます。

    • 地域医療構想の推進が加速する中で、地域連携の重要性がさらに高まります。

  • [チャンス]

    • 看護補助者や事務職員への5.7%引き上げは、人材確保の鍵となるでしょう。

    • 特に、地域医療を支える基幹病院では、事務職員の処遇改善により、地域連携室の機能強化や、多職種連携のコーディネート業務の質向上が期待されます。

    • 薬局や訪問看護ステーションは、こうした病院との連携を強化することで、新たな収益機会を創出できるかもしれません。

引用

令和8年度診療報酬改定について www.mhlw.go.jp

特例改定が示す「処遇改善の本気度」 
介護報酬改定が現場に突きつける5つの重要ポイント

初出:note(@ski_sph)

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