【Vol.15】高騰する単価、飽和する患者数。〜医療費構造の転換とPHR経済圏の勃興〜(2026年3月8日号)

1本目: 最近の医療費の動向-MEDIAS-令和7年度10月号
引用元: https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/month/25/10.html
【事象の要約(What)】
厚生労働省が公表した令和7年10月の概算医療費動向によると、医療費全体は対前年同月比+3.0%(4.2兆円)と堅調に増加している。
調剤医療費の突出: 医科入院(+2.5%)や入院外(+2.2%)を大きく上回る+4.8%の伸びを記録。
「量」から「単価」へのシフト: 受診延べ日数は▲0.5%と減少した一方、1日当たり医療費は+3.6%と上昇。
構造的要因: 患者数の自然増ではなく、医療の高度化・高額化がコスト増の主因となっている。
【ビジネス・市場へのインパクト(So What?)】
薬局・ドラッグストア業界にとって、「処方箋枚数(量)で稼ぐモデル」の限界がデータとして証明された形だ。
収益構造の変化: 受診日数の減少は、立地依存型の「門前薬局」の集客力低下を意味する。一方で単価上昇は、売上高を押し上げるものの、高額薬比率の高まりによる在庫回転率の悪化とキャッシュフローの圧迫を招くリスクがある。
政策リスク: 調剤医療費の伸び(+4.8%)が突出している事実は、次期診療報酬改定において、調剤報酬(特に技術料)への下方圧力として作用する可能性が高い。
【戦略的アクション(Next Step)】
高単価処方への対応強化: 単なる枚数確保から、抗がん剤や特定疾患など「高単価・高専門性」の処方を受け入れられる体制(専門医療機関連携薬局の認定取得、無菌調剤室の整備)へ投資をシフトする。
在庫管理の高度化: 高額医薬品の廃棄リスクと資金拘束を最小化するため、AIによる需要予測や、グループ間での在庫融通システムの即時導入を検討すべきである。