【地域医療スポッター_Vol.03】急性期は余剰、在宅は高水準——市原圏域の「アンバランスな医療地図」を読む|医療政策ウォッチャー

「複雑な地域医療を、もっとクリアに。もっと鮮明に。」
——鷹見 ジン(地域医療スポッター ナビゲーター)
はじめに
Vol.01、Vol.02と続いてきたこのシリーズ。毎回「データを見ると、その地域の"息づかい"が見えてくる」という話をしてきましたが、今回の市原圏域はとくにそれが顕著です。
千葉県のほぼ中央部に位置する市原医療圏は、行政区域としては市原市の一市一圏域。面積は千葉県内で最大級の広がりを持ちながら、人口は令和2年時点で約26万9,000人(hokeniryouken.pdf p.2)と、決して多くはありません。しかも平成27年から令和2年の5年間で▲1.87%の人口減少が記録されており、県内9圏域のなかでも人口減が進む地域のひとつに数えられます。
そんな市原圏域を、今回は「病床機能のアンバランス」「薬局の在宅対応力」「医師の偏在状況」という三つのレンズで見ていきます。数字を並べるだけではなく、「なぜそうなっているのか」「現場はどう動いているのか」——そこまで一緒に考えていきましょう。
市原圏域の基本プロフィール


市原市は東京湾岸の工業地帯から、内陸部の里山・農村地帯まで、非常に多様な地形を抱えています。沿岸部は京葉工業地域の一角として工場や事業所が集中する一方、北部・中南部の内陸側は集落が点在し、公共交通も限られます。この「地形の多様性」が、医療アクセスの格差を生む構造的な背景のひとつになっています。
データで見る「市原圏域の課題」
医師偏在の実態
市原圏域の医師偏在指標(医師全体)は 200.1 で、全国335医療圏中第161位(ishikakuho.pdf p.22)。千葉県平均の213.0をやや下回るものの、「医師少数区域」には指定されておらず、数字の上ではほぼ中間的な位置づけです。
ただし、細かく見るとニュアンスが変わります。